Essay エッセイ
2016年04月29日

あさっては雪でしょう

 日本は、いよいよゴールデンウィークに突入し、「どこにお出かけしようかなぁ?」と考えをめぐらせていらっしゃる方も多いことでしょう。

 

そんな4月は、一足先にヨーロッパで2週間を過ごしてきました。

 

 今回は、イギリスのロンドンからスペインへ、そしてロンドンに戻ってアメリカに帰る、という行程でしたが、半分「用事」で、半分は「観光」のようなものでした。

 

 ロンドンの業界イベントに参加したあと、スペインのバレンシアという街を訪れる用事があったのですが、まあ、イギリスが大好きなわたしとしましては、ロンドンに行けるだけで嬉しいのです。

 

 ロンドンといえば、何年も前に、サンフランシスコから「一泊出張」のトンボ帰りをして以来、未知の世界のままでしたが、数年前に、チェコ共和国の首都プラハから乗った『オリエント急行』が、ロンドンのヴィクトリア駅に到着したのをきっかけに、初めて街歩きをしてみました。

 

 それ以来、ロンドンとイギリスという国の大ファンになってしまって、業界イベントを口実に、再度ロンドンを訪ねることにしたのでした。

 


二度目のロンドンとなると、少しは「余裕」が出てきて、だんだんと街のつくりもわかってきたのですが、まあ、この街は、各々の地区に特色があって、たくさんの違った表情を見せてくれるところですよね。

 

 どこに足を向けても、何かしら発見があって、まったく飽きることがない街。

 

 そして、あちらこちらを歩いていて感心するのですが、都会なのに「緑」が豊かです。

 

 だいたい、バッキンガム宮殿を中心とした街の真ん中に、グリーンパークだの、ハイドパークだの、ちょっと北にはリージェンツパークだのって、広大な緑が残されていること自体が驚きです。

 

それに、人々の住む街角だって、ちょっとしたスペースがあると、みなさん美しく「緑のじゅうたん」を敷かれて、屋外の時間を大切にされています。

 

 アメリカ人はよく、「ドイツは緑が美しい」とか「アイルランドほどきれいな国は見たことがない」と言いますが、わたしとしましては、大国の首都なのに、これほど自然を感じるロンドンの緑が美しい! と思ってしまうのでした(それも、ひいき目で見ているのかもしれませんが)。

 


 そんなロンドンにも、弱点があるようにも感じるのです。

 

それは、「肌寒い」ことと、「天気が変わりやすい」こと。

 

 到着したのは、4月ももう中旬という頃なのに、風は強いし、まるで真冬のように肌寒かったです。

 

 そして、朝はカラリと晴れていても、午後からは急に黒雲が張り出してきて、突然、大雨になったりするのです。

 

 そんな風だから、月曜日は午後から驟雨(しゅうう)で、火曜日は日焼けするほど天気が良くて、水曜日は、昼間は17度と例年より暖かいのに、夜は冷たい小糠雨(こぬかあめ)と、コロコロとお天気が変わります。

 


スペインで一週間を過ごしたあと、戻ってきたロンドンも、まったく同じ感じでした。

 

 チェックインしたホテルでは、「明日はエリザベス2世のお誕生日を祝って、目の前のハイドパークで空砲が鳴りますので、驚かないでくださいね」とお手紙を受け取りましたが、翌日の4月21日は、まさに90回目のお誕生日を祝うかのような晴天!

 

正午の礼砲(Gun Salute)に間に合うようにと、急いでハイドパークに向かいましたが、吹きっさらしの風は冷たいけれど、日が差して気持ちの良い一日でした。

 

 ところが、その翌日は、朝から真冬の冷え込みで、正午を過ぎる頃にはパラパラと雨も降り出します。

 

 その午前中にホテルでミーティングをしていた連れ合いは、相手の方から「あさっては、雪になるかもしれませんよ」と言われたのでした!

 

 いえ、翌日はアメリカに戻るタイミングだったので、実際に雪が降ったのかは存じませんが、まあ、4月の下旬に雪が降る可能性があるなんて、このロンドンという街は、どこまで天気が悪いんだろう? と、恐れ入ったのでした。

 

 どうやら、ロンドンは、日本の最北端・宗谷岬(そうやみさき)よりもにある(!)ようなので、なかなか春がやって来ないのも、仕方のないことかもしれませんが・・・。

 

たとえばロンドンで雨に降られると、無料で楽しめる美術館や博物館に入ったり、数々の有名なデパートめぐりをしたりと、充実した屋内の過ごし方はたくさんあります。

 

 でも、「う~ん、美術館やデパートが多いのは、お天気が悪いからなのかなぁ?」と、妙な勘ぐりをしてしまうのでした。

 


たぶん、ロンドンの肌寒さが気になったのは、いきなりカリフォルニアから訪れたからなんでしょうけれど、ロンドン最後の晩に、こんな会話をしたのが印象に残りました。

 

 どこから来たの? と現地の女性に聞かれたので、カリフォルニアに住んでいて、明日はサンフランシスコ空港に向けて飛び立つと答えると、いきなり彼女の声がワントーン上がって、

 

 まあ、うらやましい! わたしと代わってほしいくらいだわぁ!

 

 アメリカっていえば、10月にサンフランシスコとラスヴェガスに行くんだけれど、もう待ちきれないわよ~、と情熱をこめておっしゃるのです。

 

 なるほど、ロンドンに住んでいらっしゃると、「一日じゅう晴れる」ことが少ないので、乾季の夏は一滴も雨が降らないカリフォルニアが、うらやましく感じられるのでしょう。

 

でも、その一方で、ロンドンの緑が美しいのは、「恵みの雨」があるからこそ、とも思うんですけれど。

 

 カリフォルニアなんて、夏の山は真っ茶色で、「黄金色」と言うとカッコいいですが、その実、カラカラと音がしそうな「枯れ草」の色ですもの。

 

 やっぱり、どこに住んでいても、「あっちの方が良さそうだなぁ」と、無い物ねだりをしてしまうものなんでしょうか。

 

 

追記: 明日はスペインに向かうからと、ロンドンのピカデリーで「夏の帽子」を探しまわったのですが、老舗のバーバリーをはじめとして、「まだ冬用の毛糸の帽子しか置いていません」というお店も多かったです。

 

 素敵なレストランでディナーをする前で、ホテルで着替える時間もなくなってジーンズのまま食事をすることになったのですが、やっぱり「餅は餅屋」です。

スペインのバレンシアに到着して、さっそく街歩きをしてみると、最初に見かけたお店で素敵な帽子を見つけました!

 

 4月のロンドンは、まだまだ春が待ち遠しい季節なんでしょうけれど、そういえば、何年も前に「一泊出張」をした8月下旬だって、まったく暑かった記憶がないんです・・・。

 


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