Life in California
ライフ in カリフォルニア/季節
Life in California ライフ in カリフォルニア
2017年04月07日

そろそろブルーベリーの季節?

日に日に春めいてくる季節となりました。

 

 英語では、Spring is here(春がきた)といった陽気。

 

 Spring has sprung(春がはじけた)と表現した方もいらっしゃいます。

 

 3月に日本から戻って来ると、カリフォルニアの方がだいぶ暖かく感じました。が、まだまだ冷たい雨が降ったりして、一気に春! というわけにはいきません。

 


そんな変わりやすいお天気の中、お店でブルーベリーを見かけました。

 

 表のラベルには「クマさん」が描かれていて、いかにもカリフォルニアっぽい図柄です。

 

 そう、クマさんって、カリフォルニアらしいんです。

 

 なぜって、以前もご紹介したように、カリフォルニア州の旗には、クマさんが登場するから。

 

カリフォルニアの旗のクマさんは、クマの王様ともいえる、グリズリーベア(the grizzly bear)。

 

 残念ながら、カリフォルニアのグリズリーは絶滅してしまって、今は旗の中だけで生き続けています。

 

 同じくカリフォルニアの象徴ともいえる「ゴールドラッシュ」によって、金鉱のある山奥にも人が分け入るようになり、乱獲の犠牲となったのでした。

 


そして、ブルーベリーのクマさんも、明らかにカリフォルニアの旗を意識しています。

 

 クマさんは旗とは逆向きですが、頭上には赤い「ひとつ星(the Lone Star)」が描かれていて、カリフォルニアらしさを演出しています。その昔、統治されていたメキシコに抵抗しようと、アメリカ人住民の結束を表した赤星。

 

 そんなラベルからもわかるように、こちらのブルーベリーは、カリフォルニア産。

 

 南カリフォルニアのサンタバーバラ郡(Santa Barbara County)から運ばれたものでした。

 

 北カリフォルニアよりもずいぶんと南なので、ブルーベリーが採れるのも早いのでしょう。

 

もともとブルーベリーは、初夏から夏にかけて採れる木の実。ですから、今の時期にお店に並んでいるものは、チリを始めとして南半球で収穫したものが多いです。

 

 そんな中、こんなに立派な実を出荷できるなんて、きっとサンタバーバラの農園は「季節を先取り」しているのでしょう。

 


 ブルーベリーと聞くと、頭に浮かぶことがあるんです。

 

 それは、マサチューセッツ州出身のお向かいさんの思い出話。

 

 彼女は、マサチューセッツ州といっても、ボストンのような街中ではなく、海沿いの小さな港ウェストポート(Westport)に生まれました。

 

 マサチューセッツの海沿いには、1620年、イギリスの清教徒たちがメイフラワー号でたどり着いたプリマス(Plymouth)という有名な街がありますが、このプリマスからは、ケープコッド半島をくるりと回って南側にある港街。

 

 夏の別荘地で知られるマーサズヴィニヤード(Martha’s Vineyard)という島は、ちょうど向かいに浮かびます。

 

 ウェストポートは、昔は捕鯨(whaling)で有名な港だったそうですが、そんな海の街で育ったお向かいさんも、小さい頃からヨットに乗って船遊びをするのが大好き。ヨットでマーサズヴィニヤードに渡る、というのも年中行事のひとつだったとか。

 

 ある夏の日、みんなで森に出かけることになりました。

 

夏を過ごした祖母の家の近くに森があって、ここには野生のブルーベリーが生い茂っています。このブルーベリーの実を摘みに行くのも、夏の楽しみのひとつでした。

 

 姉妹でカゴいっぱいにブルーベリーを摘んでいると、なにやらガサゴソと音がします。

 

 何かと思って音のする方を見てみると、そこには、大きなクマさんが!

 

 真っ黒な、立派なブラックベア(the American black bear)です。

 

 たぶん、クマさんも美味しいブルーベリーを食べにやって来たのでしょう。

 

いろんなものを食べるブラックベアではありますが、夏の間は、好んで果物やベリー類を食べるそうで、ブルーベリーだって大好物なんでしょう。

 

 立派なクマさんと鉢合わせして、びっくりした姉妹ではありますが、動かずにじっと息を凝らしていると、クマさんは何事もなかったかのように、ノソノソと通り過ぎて行きました。

 

 そのときに見たブラックベアの背中が、まるで草原に揺れる光る穂のように、キラキラと輝いて美しかった!

 

 と、今でもお向かいさんの脳裏に鮮明に刻まれているそうです。

 

(Photo of blueberries by PhreddieH3; photo of the American black bear by Diginatur, both from Wikimedia Commons)

 


 そんなわけで、ブルーベリーを見ると、クマさんと鉢合わせしたお話を思い出すんです。

 

 まるで、自分がクマさんと遭遇したかのように。

 

 そういえば、昨年の初夏を母と過ごしたときのこと。

 

 珍しく、実家に近いスーパーマーケットにブルーベリーが置いてあったのでした。

 

 けれども、ほんの20粒ほどしか入ってないわりに、お値段も高かったので、買って帰らなかったんです。

 

この滞在が、元気な母と過ごす最後となったので、「あのときにフレッシュなブルーベリーを食べさせてあげればよかった」と、ひどく後悔しているのです。

 

 たぶん、これからはブルーベリーを見るたびに、クマさんと母の姿を思い浮かべることでしょう。

 


追記: お向かいさんが遭遇したブラックベアですが、グリズリーベアの親戚である茶色いヒグマ(the brown bear)よりも小さい種類だそうです。

 

 アジアに広く住む「月の輪グマ」は、ブラックベアの仲間で、アメリカ大陸にいるブラックベアとは親戚スジ。

 

なんでも、遺伝的に見ると、アメリカのブラックベアは、同じ国内にいるヒグマよりも、アジアの月の輪グマに近いそう。ですから、ときどき胸のあたりに月の輪(crescent moon)の模様が出ることもあるとか。

 アジアとアメリカは離れているのに、それって、なんだか不思議な感じもするのでした。


(Photo of a black bear with “crescent moon” by Ken Thomas, from Wikimedia Commons)