Life in California
ライフ in カリフォルニア/日常生活
Life in California ライフ in カリフォルニア
2007年04月18日

だから、算数ヘタなのよ

おもしろいもので、人間というものは、いつも理にかなった行動を取るわけではありませんよね。

かく言うわたしも、たまに自分でおかしいなぁと思う行動を取ることがあるのです。

たとえば、おしゃれなお店でアクセサリーなんかを衝動買いするくせに、スーパーに行くと、1ドルをケチる。


先日、1ドルをケチったのは、バターでした。

いつも牛乳を愛用しているオーガニック・ブランドのバターを買おうとすると、これがまた、ダントツに高い。
 他のものが4ドルちょっとなのに、この赤い箱のバターは、7ドル以上するのです。

そこで、考えたのでした。値段がこんなに違うなんて、ほんとに分量は同じなの?

でも、ちょっと見には判断がつきません。どうしてって、箱の形状が違うから。容器の形が違うと、往々にして容量の判断がつかないですよね。

で、仕方がないので、表示されている分量を見てみることにしました。けれども、ハタと困った。どっちが大きい分量なのかわからない。

赤い箱には、こう書いてあります。「NET WT. 16 OZ.(正味重量 16オンス)」

比べた黄色い箱には、こう書いてあります。「NET WT. 1 LB.(正味重量 1ポンド)」

幸いなことに、但し書きを見ると、両方とも454グラムだということがわかったので、すかさず、安い方を買ったのでした。
 こちらは、「オーガニック」とうたってないけれど、「成長ホルモンは一切使っていません」と書いてあるので、まあ、同じようなものでしょう。


みなさんご存じのとおり、イギリスからの影響を受けている手前、アメリカの計量単位は、いまだに十進法のメートル法(metric system)ではありません。

以前、メートル法に変えようよという試みはあったようですが、結局、みんなの習慣は治りませんでした。

というわけで、長さ、高さ、重さ、速さといった単位は、みんなバラバラ。

たとえば、センチメートルに代わる、インチ(inch)。

1インチは2.54センチなんですが、次の単位のフィート(feet)に達するには、インチが12個集まります。

つまり、1 inch x 12 = 1 foot

けれども、上に出てきたオンス(ounce)とポンド(pound)の関係でいうと、1オンス(約28グラム)が16個で1ポンドになります。

つまり、1 ounce x 16 = 1 pound

ちょっとあなた、12か16で統一してちょうだいよ、と言いたくなりますよね。


長さの単位「インチ」は、単に「フィート」との換算が厄介なだけではありません。端数に困ってしまうのです。

上に書いたとおり、1インチが12個で1フット(フィート)となりますが、1インチ自体は、細かく16個に分かれています。(おっと、ここでもまた不揃いですね。)

だから、センチメートルのように、「2.54センチ」といった表現をするのではなく、「16分の1インチ」とか、「8分の5インチ」とか、分数の表現を使います。そう、図面には、そう書かれてあるのです。

学生時代、製図のクラスを取ったことがありますが、日本人のわたしでも、ちょっと頭が混乱することがありました。アメリカ人はなおさらのこと、分数は嫌いなんじゃないかな?


おまけに、分数の表記は、こんなところにも登場です。道路標示が分数なのです。

たとえば、この写真の箇所。看板には、こう書いてあります。
 別のフリーウェイに乗り換えるには、2分の1マイル、それから、次のフリーウェイの出口までは、4分の3マイルですよと(1マイルは、1.6キロメートルですね)。

まあ、普通は、距離の短い方が上に書かれているわけではありますが、分数嫌いの人にとっては、一瞬、え、どっちが先?って、頭を悩ますのではないでしょうか。
(今は書き換えられたみたいですが、この辺には、以前、8分の5マイルという表示も使われていました。4分の3マイルと、8分の5マイルを並べられた日には、さあ、大変!)


一般的に、アメリカ人は算数が不得意だと言われますが、わたしには、自分なりの立派な仮説があるのです。

計量の単位がすっきりとした十進法じゃないので、余計なところで頭を悩ませる結果となり、子供の頃から、自然と数字が嫌いになるのではないかと。
 算数の文章問題になったら、頭が混乱して困りますよね。

アメリカの場合、まだ、お金の単位が単純なので、ちょっとは救われているのかもしれませんね(1セントが100個で1ドルですが、これは、日本の円と銭の関係と同じですね)。


ま、重さと長さの話だけでもこれだけ複雑なのですが、液体の容量なんかは、またまた別世界なんですね。

いきなり、新たな単位の登場です。

ガソリンや牛乳なんかのガロン(gallon)、その下のクォート(quart)、更に下のパイント(pint)。
 それから、ガロンの上の、バレル(barrel)。これは、おもに石油に使われますね。

上で出てきた重さのオンスの場合は、個体と液体という違いがあって、「液量オンス(fluid ounce)」なる単位も存在するのです。こちらは、約30ミリリットルなんですが、いやらしい話、イギリスでは、28ミリリットルだそうな・・・

いや、アメリカ人だって、そんな単位の嵐を、空で覚えているわけではありません。だから、こういう風な、キッチンのお助けメモが出回っているのですね。


去年の夏、お向かいさんに頼まれました。1週間バケーションに行くから、その間、植木鉢に水をやってくれないかと。

そのとき、手渡されたメモがこちら。マーガレットには2ガロン、それから、ブーゲンビリアには1クォートあげてちょうだい、と書かれています。

ガロンは、牛乳の容器にも書いてあるので、なんとなくわかります。4リットル弱ですよね。でも、クォートって何?

そんな目を白黒させるわたしに、お向かいさんは、自分の庭で、ちゃんと実物で説明してくれたのでした。
 2ガロンは、この大きなジョウロに、なみなみ1杯。それから、1クォートは、こっちの小さなジョウロに、ほんのちょっと。ちょうど、この一番下の目盛りのところね、と。(1クォートは、1リットルを少し切るくらいの分量です。)

そして、水やりの週、いつもより早起きして、週に2回のミッションを無難にこなしたのでした。マーガレットもブーゲンビリアも無事に生き延び、ひと安心。

優しいお向かいさんは、ご褒美にと、シンガポールで買ってきた、鮮やかなオレンジ色のパシュミナのショールをくれたのでした(パシュミナは、ヒマラヤに生息する山羊で作った毛織物ですね。フワフワで気持ちいいのです)。

ご丁寧なことに、お得意のカリグラフィー(西洋ペン習字)の手書きカードも添えられていました。

ま、こんなのだったら、もう一度やってもいいよ、と密かに思ったのでした。

追記:ふ~ん、やっぱり人は、いろんな場面で最初に接した単位がしっくりいくのでしょうね。
 たとえば、わたしは運転免許をアメリカで取ったので、速度や距離を語るときは、マイル(mile)の方が調子がよいです。
 それから、ゴルフの距離なんかも、ヤード(yard)の方がいいですね。メートルで言われても、こればっかりは、さっぱりわかりません。

それでも、多少は学習することもあるようで、温度は、日本の摂氏(Celsius)だけではなく、華氏(Fahrenheit)でも感覚的にわかるようになりました。
 「あ、今日は64度しかないから肌寒い」と、寒がりのわたしなりの感覚が培われたようです。そう、せめて73度(摂氏23度)はないと、心地好くないですね。

それから、冒頭に出てきた1ドルをケチる人。この「けちん坊」というか「しっかり屋さん」のことを、英語では、penny-pincher と言いますね。
 最初の penny は、1セント硬貨のペニー。後ろの pincher は、「(お金を)切り詰める人」です。だから、「1セントでも、切り詰めようとする人」という意味ですね。


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