Essay エッセイ
2006年05月24日

エーゲ海のミコノス島

先日、ようやく2週間の旅が終わり、カリフォルニアに戻って来たところです。

前回のエッセイでは、アテネ3日目のハプニングをお話しておりましたが、その後の旅のお話を続けましょう。


アテネで4日間を過ごしたあと、エーゲ海に浮かぶミコノス島に向かいました。船だとかなり時間がかかるので、飛行機で移動です。

空路わずか20分の距離ですが、天気のいいアテネと違って、こちらは午前中激しい雨だったそうです。それが証拠に、空港のあちらこちらに水溜りができています。この時期に雨が降ることは、滅多にないそうですが。

それを聞いて、飛行機に乗り合わせたイギリス・マンチェスターからの老夫婦が、こう自慢するのです。自分たちがオーストラリアのエアーズロックに行ったときは、絶対に雨が降らないはずなのに降られちゃったよと。
 この夫婦は同じホテルに向かう仲間。なんだか雨ばっかりにならなきゃいいけど、と不安になります。


結局、雨の心配はいらなかったけれど、ミコノス島の冷たい風には泣かされました。吹き荒れる風で気温は上がらないし、レンタル・スクーターでお出かけしても、向かい風に身を切られるようです。
 もともとここは、風の島。北風が一年中吹き、あちらこちらに風車があるのもそのせいなのです。

とくに痩せているわけではないけれど、こういうときだけは、セイウチのように皮下脂肪の厚いアメリカ人がうらやましく感じるのです。

アテネよりも、エーゲ海の島々は寒いというのは、本当のことなんですね。

エーゲ海のシーズンは6、7月、そして9月といいますが、5月はちょっと早いのかもしれません。


ミコノス島で泊まったのは、ちょっと高台にあるおしゃれなリゾートホテル。徒歩5分でプライベートビーチに下りて行けます。
 ビーチは内海になっていて、白い砂浜にエメラルド色が広がっています。残念ながら、泳ぐには、ちょっと寒すぎですが。

一泊目の部屋は、バルコニーにプールが付いていて、見かけはとってもいいものでした。けれども、部屋の中はがらんとして冷え切っているし、冬の間締め切っていたせいでかび臭いしで、翌日はさっそく、日当たりのいい、ジャクージのある部屋に変えてもらいました。

すると、現金なもので、心が晴れたせいか体も温かくなって、その日一日、元気にスクーターで島を探索して回りました。


ミコノス島で有名なものといえば、白壁の家々。

実は、この島にはおもしろい規則があって、民家やホテルの建物は、すべて外壁を白に塗らなければならないのです。白い壁には、青や赤の鎧戸がよく映えます。

そして5月は、一年に一回、白いペンキを塗り替える時期なんですね。あちらこちらでやっていました、ペンキの塗り替え作業を。

そして、もうひとつ。建物は2階の高さまで。地下を入れて、せいぜい3層まで許されています。
 だから、ホテルも横に広がるしかなく、各々の棟は渡り廊下で繋げられ、エレベーターも別の場所で乗り継いだりします。ちょっとした迷路のようです。


ホテルも迷路のようですが、島の繁華街ミコノスタウンは、もっと迷路のよう。地図を手にしていても、誰しも必ず一度は道を誤ります。道は狭くて入り組んでいるし、同じような造りの家が軒を連ねているからです。

あれっ、まっすぐに進んでいるはずなのに、いつの間にか街のはずれに出ちゃった、なんていうこともしょっちゅうです。

なんでも、この迷路のような造りは、その昔、島を襲ってきた海賊に対する策だったそうです。海賊を袋小路に追い込んでは、皆で撃退していたのでしょうか。


ミコノス島自体には、これといって有名な遺跡はありません。
 けれども、島の中心部、アノメラの丘陵地帯に行ってみると、古代の石壁や中世のビザンチン様式の城跡が、そのままの姿で残されています。石壁は、今でも畑の区画整理に利用されているよう。

静かな丘陵には、修道院もいくつか建っています。誰にも邪魔されず、自給自足と祈りの生活を送っているようです。


ミコノス島2日目、ホテルの人がこう尋ねてきました。ここはいい所なのに、どうして2泊しかしないのと。そこで、こちらはこう答えます。これからサントリーニ島に行くからよと。

すると、彼女は間髪を入れず、こう言うのです。“Oh, OK, then go(な~んだ、そうなのね。だったら早く行きなさい)”。
 彼女に限らず、ミコノス島の人は言うのです。サントリーニ島は、自分が一番好きな所。きれいだから、写真をいっぱい撮ることになるよと。

ミコノス島は、人が親切で気さくで、とてもいい所でした。けれども、こんなミコノス人のコメントを聞いていると、次の目的地サントリーニへの期待は、自然と大きく膨らむのです。


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