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2015年08月15日

サンフランシスコの新しい交通ルール

 そろそろ子供たちの学校も始まり、夏のバケーションシーズンも終わりに近づいた、8月11日。

 

 サンフランシスコ市では、新しい交通ルールが施行しました。

 

 街一番のメインストリート、マーケット通り(Market Street)では、一部区間で自家用車の乗り入れを禁止するようになったのです。

 

マーケット通りは、高層ビルが密集するダウンタウン地区を斜めに横切る大通りで、東の終点は、海沿いのフェリービル(Ferry Building)。

 

 西の終点は、夜景で有名なトゥイン・ピークス(Twin Peaks)という山で、ここからポートラ通り(Portola Drive)という名前に変わって、山を越えます。

 

 そう、サンフランシスコの街を西へ東へと車で移動するなら、かなりの確立でここを通る、という幹線道路なのです。

 

 8月11日に始まった新しい規則では、マーケット通りの3番通り(3rd Street)から8番通り(8th Street)の区間を自家用車で運転してはいけないことになりました。

 

 厳密には、マーケット通りを北から南へ、南から北へと超えることはできますが、縦に走る3番通り~8番通りからは右折や左折でマーケット通りに入れないことになります(地図の赤い矢印が禁止)。

 

 同じように、マーケット通りの北側に走る道路、たとえばオファーレル通り(O’Farrell Street)やストックトン通り(Stockton Street)からは右折や左折でマーケット通りには入れません。

 

こちらの写真では、左のオファーレル通りから来た車は、手前のマーケット通りには入れないので、向こう側のグラント通りに曲がらないといけません(今まで通れたところは、市交通局のスタッフがしっかりと「通せんぼ」をしています)。

 

 ちなみに、この箇所からマーケット通りを超えて南に行こうとすると、右折を繰り返して、ちょっと離れたモンゴメリー通り(Montgomery Street)で超えることになります。

 

(Map provided by SFMTA, adopted from ABC7News)

 


という風に、車にとっては面倒くさいルールですが、ご覧のとおり、効果はてきめん。

 

 新ルール施行後は、マーケット通りはウソのように空いています。

 

 それで、どうしてこんな面倒くさいルールをつくったかと言うと、近年、右折や左折でマーケット通りに入って来る車と、歩行者や自転車がぶつかるケースが増えてきたからだそうです。

 

 マーケット通りには、バスやトロリーやストリートカー(路面電車)が走り、地下にはベイエリア高速鉄道(BART、通称バート)という地下鉄も走ります。

 

 交通機関の幹線道路であるとともに、お店もたくさん並びますので、自然と歩行者も増えますし、交通渋滞を嫌って、自転車で移動する人も近年とみに増えています。

 

 3番通りから8番通りの区間では、過去2年で160件以上の負傷事故が起きていて、そのうちの8割が、自家用車が引き起こした事故。自家用車は、交通量の3割にも満たないのに多くの事故原因となっていて、「自家用車を制限しよう!」ということになったとか。

 

わたし自身も、マーケット通りの一本南、ミッション通りを渡ろうとして自家用トラックとぶつかりそうになったことがありました。

 

 このときは、歩行者であるわたしの方が「緑」だったんですが、車は「赤」でも右折できるので、ずんずんと突き進んで来たのでした。

 

 いえ、「赤」だったら、車は一旦停止して徐行発進しないといけないのですが、多くのサンフランシスコのドライバーは、そんな規則は守らない(知らない?)のです!

 

 ですから、それ以来、横断歩道が「緑」であっても、キョロキョロと左右に目を配るようになったのでした。

 


 現在、サンフランシスコ市は、『ビジョン・ゼロ(Vision Zero SF)』という目標を掲げていて、2024年までに交通事故死をゼロにしよう! とがんばっています。

 

 その一環として始まったのが、今回のマーケット通りの自家用車制限。

 

 バスやタクシー、業務用トラックは規制されませんが、乗車シェアサービスのUber(ウーバー)やLyft(リフト)などは、自家用車同様に乗り入れ禁止です(こういった乗車サービスは、自家用車を使っていますものね)。

 

『ビジョン・ゼロ』のキャンペーンにのっとって、街中には「バスとタクシーのみ(Bus and Taxi only)」の赤い車線も登場しています。

 

 こちらの車線は、通れるのはバスとタクシーのみ。

 自家用車は、乗り入れ禁止となります。

 


 そして、新しい交通ルールとともに脚光を浴びていたのが、ケーブルカーにまつわる規則。

 

そう、ケーブルカーと言えば、サンフランシスコの名物。街に集まる観光客が、まず乗ってみたい乗り物です。

 

 ところが、今年に入って、ケーブルカーの運転手や車掌さんが車にひかれて、大けがを負う事故が二件も起きています。

 

 一件では、体じゅうの骨折という重傷、もう一件では、昏睡状態に陥ったあと、延命措置を終了するという悲劇となっています。

 

 原因は、ケーブルカーが止まった際、道路に降りた従業員を車がひいてしまった、というもの。

 

ケーブルカーは、歩道に近づいて止まるバスとは違って、道の真ん中で止まります。
 そして、同じく道の真ん中で止まる路面電車には停留所が設けられていますが、ケーブルカーに停留所はありません。

 

 ですから、ケーブルカーに乗客が乗り降りするときには、車が往来する道路を超えることになり、従業員もケーブルカーから降りて車道に出ることもあります。その際、車とぶつかる危険性があるのです。

 

 いえ、「ケーブルカーが止まっているときには、車は追い越してはいけない」つまり「止まれ」という州の交通規則があるんですよ。(California Vehicle Code Section 21756)

 

 ところが、二件のケースでは、飲酒運転のドライバーが、徐行もせずに従業員をひいてしまったのでした。

 

こちらの写真は、サンフランシスコ・エグザミナー紙の記者が撮影したものですが、ケーブルカーが停車しているのに、白い車がルールを無視して、通り越そうとしています!

 

 残念ながら、こんな光景は日常茶飯事。

 

 事故をきっかけに、ケーブルカーの車掌さんに真っ赤な「ストップ(Stop)」サインを持たせて、車を止まらせるようにしたそうです。

 

が、こちらの車掌さんのように、まだまだ体を張って交通整理をする場面もあって、不十分。

 ですから、 警察の取り締まりを強化するとともに、レンタカー会社やホテルにも通達して、観光で訪れたドライバーにも交通ルールを守ってもらうように徹底してほしい、と従業員側は要求しています。

 

 ケーブルカーが止まっていたら、人が乗り降りするので、車は後ろで止まる。これが規則です。

 

(Photo of “Do Not Pass” sign by Joe Fitzgerald Rodriguez, from “SF cable car operators call for safety reforms in wake of devastating injuries”, San Francisco Examiner, July 13, 2015)

 


遠い昔、サンフランシスコの街が整備された頃には、道を走っているのは、馬車やケーブルカーのみでした。

 

 時代の流れとともに、バスやタクシー、自家用車が増えたばかりではなく、近年は、テクノロジー企業の社員をピストン輸送するコーポレートバスや、乗車シェアサービスの車も増え、狭い街はますます渋滞しています。

 

 混んだダウンタウン地区ばかりではなく、市西部の住宅地でも、歩行者が横断中に車にはねられるケースが後を絶ちません。

 

 今回ご紹介した「マーケット通りの自家用車乗り入れ禁止」も、「ケーブルカー停車中は止まれ」も、人の命を守るためのもの。

 

 「交通事故死をゼロに!」という『ビジョン・ゼロ』の目標を実現するために、みんなが肝に銘じる時期にきているようです。

 


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