Essay エッセイ
2011年09月19日

スイング中、失礼します

前回のエッセイには、二本足の鳥たちが登場いたしました。

なんだか、最近のエッセイには、野生の生き物たちがたくさん登場しますが、とにかく、近頃、彼らの「出演回数」が多いんですよ。

というわけで、今回は、四本足の動物のお話をいたしましょう。


先日、連れ合いが、近所のゴルフ場でプレーしたときのお話です。

6番ホールにさしかかると、マーシャル(ゴルフ場をまわっている監視係の人)が待機していて、こんなことを言うのです。

あの左の先の方は、今、入れないようになっています。ですから、そこにボールを打ち込んだら、「グラウンド修理中(ground under repair)」のルールに従って、ゲームを続けてくださいと。

この「グラウンド修理中」というのは、たとえば、水でビチャビチャにぬかるんでいるとか、なんらかの理由でプレーできない状態になっているという意味です。
 ですから、ここにボールを打ち込んだ場合は、ペナルティー無しで近くにボールを落として、そこから打ち直して良いことになっているのです。

まあ、ゴルフはルールの厳しいスポーツですので、一打ずつが真剣勝負というわけですね。

それで、どうして左の先の方が入れない状態になっていたかって、そこが臭かったからなんです。

いえ、少々の臭さではありません。

スカンクの臭さなのです。

なんでも、ちょっと前にスカンクがプ~ッとオナラをしたので、臭くて、とっても近寄れない状態になっていたのです!

う~ん、近くの家の誰かがスカンクを怒らせたのでしょうか。それとも、大きな動物が近寄って来て、スカンクを驚かせたのでしょうか?


まあ、日本にお住まいの方は、スカンクのオナラをご存じない方が多いことでしょう。

もう「オナラ」なんてカワユイもんじゃないのです。

それこそ、鼻がひんまがるような「激臭」とでもいいましょうか。

なんとなく、何かがこげたような香ばしい類(たぐい)のニオイなのですが、何かをこがしたときの100倍、1000倍の強烈な臭さなんですよ。

だって、あの大きなクマさんだって、さっさと逃げて行くそうですから。

そして、困ったことに、それがなかなか消えてくれない。

いつまでも、いつまでもイヤなにおいが残るので、靴なんかについたら一大事!

だから、「グラウンド修理中」を示す白線を描くまでは、マーシャルの方が待機して、プレーヤーに警告を出さないといけなくなったのでした。

「あそこに入っちゃダメですよ」と。

それを聞いて、「よし、自分はそっちに打ってやるぞ!」と心躍った連れ合いですが、運悪く、ボールは逆側の隣のホールへと・・・

ようやくグリーンに達したときには、スカンクのことなんか、すっかり頭から消えてしまっていたのでした。


カリフォルニア(少なくとも北カリフォルニア)は、スカンクの多い所なんですよ。

忘れもしない、あれは、ロスアルトスの緑に囲まれた友人宅に招かれたとき。

辺りが暗くなり始めた頃、どこからともなくプ~ンと香ばしいにおいが漂ってくるのです。

なんだろう、誰かがオナラ? それにしては、豆を炒ったような香ばしいにおい・・・

などと考えていると、「あれは何のニオイだかわかる?」と、友人は面白そうに問うのです。

え~、何だろう? と答えをしぶっていると、「あれはスカンクなんだよ」と教えてくれたのでした。

そういうときには、まず窓を閉めないといけませんね。家の中ににおいが充満してしまいますから。

それから、困ってしまうのは、スカンクが車にひかれること。

路上に小動物が横たわっているときには、その多くがスカンクです。(上の写真のように、スカンクは黒い体に白の縞のイメージですが、この辺では、このような茶色のスカンクが主流でしょうか。)

そんな彼らを間違って車で踏んでしまったら、さあ、大変。

激臭がタイヤについてしまうんです。

そして、その激臭が、車によって道路や住宅地へとまき散らされることになる・・・。

どこからともなくプ~ンとにおってくると、「あ、誰かがスカンクを踏んだな」とブツブツ言いながら、仕方なく窓を閉めるのです。


先日、日本からの来客をナパバレーにお連れしたときも、ナパの幹線道路29号線で、なにやらにおってきたのでした(写真では、ぶどう畑の向こうに左右に走っている道が29号線)。

そこで、連れ合いとわたしは「あ~、スカンクだねぇ。誰かが車でひいたのかな」と会話をしていたのです。が、来客の方は、それを「田舎のにおい」という風に解釈なさっていたようです。

あとで、ほんもののスカンクのにおいだったんですよと説明すると、エ~ッと驚いていらっしゃいました。

「まさか、ほんものだったとは・・・」と。

初めて経験なさる方には、なかなかニオイの正体はわからないかもしれませんね。

というわけで、スカンクくんの威力はスゴいのです。

彼らを見かけたら、なるべく怒らせないように、ソッとしておいてくださいね。

写真出典: スカンクの写真2枚は、Wikipediaより


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