Essay エッセイ
2015年07月31日

ストーンフルーツの季節

 アメリカにいると、ちょっと季節を感じにくいかもしれませんね。

 

 とくにカリフォルニアは、春夏秋冬の「四季」ではなくて、乾季と雨季の「二季」。

 

 それでも、食べ物の移り変わりに季節を感じることも多いでしょうか。

 

たとえば、年が明けると、お店にはイチゴが並び始めます。

 

 その頃は、値段もまだお高いですが、3月、4月になると、真っ赤に熟れた甘いイチゴもだんだんお買い得に。

 

 カリフォルニアはイチゴの名産地なので、おいしいイチゴは、わたしの朝のサラダの大事な定番。こちらは、冬の味覚ブラッドオレンジ(blood orange)との鮮やかな赤いコンボです。

 

そして、5月中頃になると、そろそろ「ストーンフルーツ」が出始めます。

 

 以前もご紹介したことがありますが、ストーンフルーツ(stone fruits)というのは、桃とかプラムの実の柔らかなフルーツのこと。

 

 実は柔らかいですが、種が大きくて硬いので「ストーン(石)」フルーツと呼ばれます。

 

 やはり出始めはお高いですが、7月ともなると、お店の果物コーナーでは立派な主役。色とりどりに、いろんな種類のストーンフルーツが山積みです。

 


 そうなんです、わたしもまったく気にしていなかったんですが、桃やプラムの仲間には、種類が多いんですよね。

 

 まず、桃の仲間(peaches)には、日本でもおなじみの白桃(white peach)や黄桃(yellow peach)がありますが、ネクタリンもこの中に入るそうですよ。

 

ネクタリン(nectarines)にもいろいろあって、代表的なものは、白ネクタリン(white nectarine、写真)と黄ネクタリン(yellow nectarine)でしょうか。

 

 いずれのネクタリンも、桃とは違ってツルツルとした感触。でも、実はとってもジューシーで、桃にも劣らないくらいです。

 

 わたし自身は白ネクタリンが大好きですが、こちらはマンゴみたいな、蜜っぽい独特の香りと甘みがあって、おすすめのネクタリンです。

 

 桃も、白桃が好みなんですが、ネクタリンだって、黄色よりも白の方がデリケートなお味じゃないかと思っているんです。

 


 そして、プラムの仲間(plums)になると、もっと色とりどり。

 

行きつけのオーガニックスーパーでは、赤プラム(red plum)、緑プラム(green plum)、黒プラム(black plum)と、地元で採れたプラムをいろいろと紹介してくれます。

 

 まずは、赤プラム(写真の一番左)。こちらは、もともとの品種じゃないかな? と思っているのですが、オーソドックスなプラムといった感じ。

 

 ちょっと繊維質で、甘みも酸味も控えめな、素朴なお味です。そう、あんまり人が手を加えていないような印象でしょうか。

 

 緑プラムは、その名のとおり緑色(写真真ん中の二つ)。色もお味もブドウのマスカットにも通じるものがあります。甘みも酸味も強く、青リンゴのような爽やかさを感じます。

 

 清涼感をお好みの方には、おすすめのプラムでしょうか。

 

そして、わたし自身の「一押し」は、黒プラム!

 

 なぜって、甘くて、ジューシーで、熟した黒プラムは、まるで巨峰のようなコクのあるお味だから。

 

 そう、外観は黒ずんでいてパッとしませんが、皮をむくと、果汁したたる透きとおった果肉。皮の下には、赤い葉脈がはりめぐらされていて、これが黒っぽい色に見せているのでしょう。

 

この日のサラダは、ごくシンプルに黒プラムが主役。

 

 熟してくると、実も黄色っぽい発色から、だんだんと赤くなってくるようです。

 


 一方、桃やプラムのストーンフルーツにも、さまざまな「ハイブリッド」があります。そう、品種を交配させて、新しいものが栽培されているんですね。

 

こちらは、その代表品種であるプルオット(pluot)。

 

 外観は、赤プラムのようでもありますが、切ってみてビックリ。まるでビーツのように、実が真っ赤です!

 

 お味は意外と淡白で、甘みは控えめなんだけれど、とってもジューシーな果実です。

 

そして、アプリアム(aprium)というのもあります。

 

 こちらは、外観もお味も、アプリコット(apricot:英語の発音は「エイプリコット」)に近いフルーツです。

 

 それもそのはず、アプリアムはアプリコットとプラムを交配したものだそうですが、だとすると、たぶん「エイプリアム」と呼ぶのが一般的なんでしょう。

 

果実はジューシーというよりも、ちょっとモソモソした感じで、日本の果物で言えば、ビワみたいな印象でしょうか。

 でも、発色が鮮やかなので、他のものと混ぜても、ひときわ目立ちますね。

 

 アプリアムは、ストーンフルーツの中でも早生(わせ)の品種で、アプリコットは、遅い時期に出回るようです。

 


 というわけで、色とりどりのストーンフルーツ。

 

 カリフォルニアはアジアに近いので、桃をはじめとして、ストーンフルーツの宝庫です。

 

 とりわけ、「シリコンバレー」と呼ばれるサンタクララバレーは、日系農家も多かったので、桃やプラムの果実は深く親しまれてきましたし、大事な作物でもありました。

 

春にはかわいらしい花が咲き誇り、夏になると、立派な実を結ぶ。

 

 シリコンバレーは、その昔「喜びの谷間(the Valley of Heart’s Delight)」と呼ばれました。ストーンフルーツは、その原点のようなものかもしれません。

 


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