Life in California
ライフ in カリフォルニア/歴史・習慣
Life in California ライフ in カリフォルニア
2008年09月15日

ナパの一つ星レストラン

この「ライフinカリフォルニア」のセクションでは、前回「ナパの小さなワイナリー」と題して、ワインの名産地ナパバレーにある小さなワイナリーふたつをご紹介しておりました。

そのときのことをちょっと振り返ってみると、このナパの旅は、ごくきままな一泊旅行なのでした。どちらかと言うと、せっかく人気のホテルが取れたから、泊まりに行こうかしらといった感じでしょうか。

それでも、ナパまで足を伸ばすとなると、とても楽しみな旅路ではあります。連れ合いは、この日を待ち望んでいたようで、朝からいそいそとお弁当作りに励みます。

そうなんです。ちょっと変な話ですが、我が家ではどこかにドライブするというと、連れ合いがお弁当を作る習慣となっているのです。なぜって、お弁当を作るのが大好きだから。それに、朝は、女性はいろいろと準備に忙しいでしょ。だから、万年時差ぼけで朝の早い連れ合いが、シャキシャキッとお弁当を作ることになっているのです。


というわけで、無事にお弁当もできたし、11時ちょっと過ぎにエンジンをスタートします。

シリコンバレー南端の我が家からはドライブルートは結構複雑で、まず101号線をちょっと北上して680号線に移り、そこから780号線、80号線、37号線を経由して、ようやくナパバレーの目抜き通りとなる29号線にたどり着きます。

サンフランシスコ近郊にお住まいの方は、市内を経由し、観光名所のゴールデンゲート橋を渡って101号線を北上し、そこから37号線で東に折れナパ方面へと向かう、というのが常套手段だと思います。

けれども、サンノゼ市南部に住む我が家の場合は、サンフランシスコの対岸(バークレーとかオークランドのある所)の少し内陸部を北上し、直接ナパに出るようなルートとなります。いろいろと試したのですが、これが一番近道のようです。サンフランシスコ市内を通ると、途中、渋滞にひっかかることもありますしね。

幸いなことに、この日は独立記念日を目前に控えていたわりに、思ったよりも道が混んでいなかったので、最初の目的地であるピクニックエリアには、ほぼ2時間後に到着です。


そう、ナパやソノマのワイナリーには、ピクニックができるお庭のあるワイナリーがいくつかあって、そういうピクニックエリアでは、手弁当を食べたり、ワイナリーで購入したワインで舌鼓を打ったりできるのですね。

わたしたちが選んだのは、Vサトゥーイ(V. Sattui)というワイナリー。今では、日本の皆さんにもお馴染みになっていて、観光ツアーのルートにも入っていると聞きますが、ここのピクニックエリアは、ふかふかとした緑の芝生が広がる、とっても気持ちの良いお庭なのです。だから、我が家も、かなり前から愛用させてもらっています。

ワイナリーに付属するデリカテッセンでは、チーズやオリーブ、ハムやサラダと、ピクニックランチには最適の食材が手に入りますし、普段はあまり流通していない自家製ワインも買うことができます(近頃は、シリコンバレーのワイン小売店でもV. Sattuiのワインを見かけるようになりましたが、以前は、現地でなければ購入できませんでした)。

そんなVサトゥーイのピクニックエリアは、さすがに独立記念日を目の前にして、お客さんでいっぱい、ピクニックテーブルは満杯。だって独立記念日というと、みんなバーベキューやピクニックをするものと相場が決まっていますものね。
(ちなみに、こちらの写真の後方に写っている壁のようなものは、ナパバレー名物のワイン列車です。ゴトンゴトンと揺られながら、ランチを楽しめるようになっているのです。)

そんなわけで、テーブルはどこも満杯。けれども、心配はいりません。わたしたちは、折りたたみ式の椅子とテーブルという秘密兵器を持っているのです!

こんもりとした大木の陰に陣を敷き、さっそく連れ合いお手製の弁当を広げます。豚肉のケチャップソース炒めは、もうすっかり定番でしょうか。昨夜作ったマカロニサラダも、サラダ菜にくるまれてお出ましです。
 そして、ワイナリーのデリカテッセンで買ってきたリースリング(Riesling)が、ランチのお供となります。なかなか味わい深い、フルーティーな白ワインなのです。

食前酒の働きもあるのでしょうが、屋外で食べるランチは、なぜだか食が進みます。おかずもおにぎりもパクパクと平らげてしまいました。

お腹が満たされてまわりを見回すと、ピニックエリアにはさすがに家族連れが目立ちます。目の前の芝生では、よちよち歩きの赤ちゃんを連れたお母さんを見かけました。

そして、木の根元に寄り添い、愛を語らう女性同士のカップルも。
 直前の6月には、カリフォルニア州で同性の結婚が法的に許されることになりました。自分の州で同性結婚が禁止されていない限り、他州の人もカリフォルニアで結婚することが可能だそうで、遠い所からやって来たカップルもたくさんいることでしょう。
 ワインの名産地ナパバレーというロマンティックな場所は、そんなカップルには最適なのかもしれませんね。


というわけで、そろそろチェックインできる時間となったことですし、食後にひと休みした後は、まっすぐにホテルへと向かいます。

ここはホテルというよりも、リゾートと呼んだ方がいいのかもしれません。広大な敷地の中にはコッテージ風の建物が点在していて、緑に囲まれた高台の部屋からは、遠くにナパバレーの盆地が望めます。

ここから眺めてみると、青々としたぶどう畑が盆地いっぱいに広がっているのが、手に取るようにわかります。まさに平和な、牧歌的な眺めなのです。

リゾートの名は、オーベルジュ・ドゥ・ソレイユ(Auberge du Soleil)。つまり、フランス語で太陽の宿屋ですね。

もともとは、1981年にレストランとしてスタートし、その4年後にホテルを建て増しして、宿泊客を受けるようになったそうです。それから20年以上、質の高いサービスで人気を保ってきました。決してお安い場所ではありませんが、その知名度のために、なかなか予約が取れないのです。

以前、フォトギャラリー「ワインの産地、ナパバレー」でご紹介したカリストーガ・ランチ(Calistoga Ranch)は、こちらのオーベルジュ・グループの系列リゾートとなります。


そんなオーベルジュ・ドゥ・ソレイユの部屋に案内してもらうと、シンプルで機能的なインテリアや行き届いたアメニティー、そして、木に囲まれた静かな環境にほっと息をつきます。連れ合いはピクニックランチのワインが効いてきたのか、さっそくふかふかのベッドでお昼寝です。

邪魔をしてはいけないとバルコニーに出たわたしは、近くの大木に集る小鳥たちを観察しながら、いつの間にか長椅子でまどろみます。この日はとても暑く、摂氏40度近くあったようですが、木陰のバルコニーはちょうどいいくらいの涼しさです。


お昼寝でリフレッシュした後は、いよいよレストランでお食事です。ここのレストランは、単に「オーベルジュ・ドゥ・ソレイユのレストラン(The Restaurant at Augerge du Soleil)」と呼ばれていて、ミシュランガイドのサインフランシスコ・ベイエリア版(2008年)では一つ星をいただいています。

お部屋からは、丘の斜面に作られた庭園をゆっくりと登り、あちらこちらに置かれた奇抜なオブジェやオリーブの木や草花を楽しみながらの到着となります。

この日は暑かったので、夕方6時半といえども、辺りはまだまだ暖かい空気に包まれています。というわけで、ディナーのお客様はみんな、ナパバレーのパノラマを望む、見晴らしのいいバルコニーに着席です。

ディナーはすべてコース料理になっていて、シェフご自慢のテイスティングメニュー2種類を選んでみたのですが、フレンチの伝統とシェフ独自の斬新さが相まって、お味もプレンゼンテーションもなかなかおもしろいものでした。

たとえば、こちらのお魚。前菜のひとつですが、白身の刺身に、なにやらベージュ色のプツプツしたものが添えてあります。ちょっとしょっぱくて「いくら」の一種かとも思っておりましたが、あとでその正体を聞いてびっくり。ゼラチン状のものに塩や生姜などで味付けしたものだそうです。きっと魚の卵みたいに丸くする道具があるのでしょうね。
 刺身はもやしとわかめの上に盛られていて、かかっているソースは、日本風のお出しとなっています(英語では「Dashi」と書きますが、ダにアクセントのある「ダーシー」のように発音します)。

それから、こちらのリゾット。夏っぽく、エビとグリーンピースのリゾットに仕立ててありますが、お味は「ゆず風味のクリームソース(Yuzu cream sauce)」でした。ゆずの香りが、なんともすがすがしい清涼感を与えてくれます(Yuzu は、やはり最初のユにアクセントのある「ユーズー」みたいに発音します)。
 ごていねいなことに、緑を添えるために、かいわれも入っていましたよ。

そして、こちらはかつおのたたき。かつおのたたき自体は、カリフォルニアのレストランではよく見かけるメニューではありますが、こちらには豚の角煮が添えてありました。
 こってりしたソースのかかった香ばしい角煮が、お魚とおもしろい取り合わせとなっています。

このように、とくにお魚料理には「和」の影響が色濃く見られ、最後のお肉のメインディッシュよりもおいしく、印象深いものとなりました(もうそろそろお腹いっぱいというときに「ドン!」とお肉が出てきても、あまり食欲をそそられないですものね)。

とは言うものの、デザートは「別腹」。こちらのアイスクリームは、香辛料のタラゴン(tarragon、日本語ではエストラゴンというのが一般的でしょうか)の風味となっています。
 添えてある揚げ物は、ギリシャ伝来のフィロ(Filo)でチョコレートクリームを包んで揚げたものです(フィロは薄く延ばしたパイ生地のようなもので、揚げるとパリッとして口当たりがとてもいいです)。
 チョコレートで皿に描いた模様が、画家モンドリアンの絵のようでもありますね。ところどころに、黄金色(こがねいろ)のオリーブオイルをたらしてあります。色を添える意味もあるのでしょうけれど、フィロの揚げ物につけてもおいしいのです。

メインのお食事を終え、ちょうどデザートが運ばれて来る時刻になると、ナパの盆地は沈みかけた夕日で輝きを放ちます。
 きっとこれも、ディナーに添える大事な「見せ場」のひとつなのでしょう。

この日は、連れ合いの手弁当と、ナパの一つ星のレストランで舌鼓。比べようもないけれど、わたしにとってはどちらも満足のいくものでした。

追記: 前回掲載した「ナパの小さなワイナリー」では、ソース・ナパ(Source Napa)というワイナリー(の事務所)を訪ね、オーナーのひとりであるトム・ギャンブルさんにテイスティングを披露してもらったお話をいたしました。実は、このソース・ナパのワインを勧めてくれたのが、今回ご紹介したオーベルジュ・ドゥ・ソレイユのレストランなのでした。
 「もし白のソーヴィニョン・ブランがお好きなら、お勧めのものがありますよ」と、ベテランの給仕係の女性が持ってきたのが、ソース・ナパの「Gamble Vineyard Sauvignon Blanc」。その味わい深いソーヴィニョン・ブランにほれ込み、翌日事務所に押しかけたのが、トムさんとの出会いとなりました。
 そのトムさんはこうおっしゃっていました。「そういえば今日、オーベルジュ・ドゥ・ソレイユからソーヴィニョン・ブランの追加注文が来ていたな。きっとあなたたちが最後の一本を飲んだんでしょう」と。

あの一本があったから、そして、レストランの女性がわざわざネットで検索したソース・ナパの情報を手渡してくれたからこそ、この嬉しい出会いに結び付いたんですね。


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