Essay エッセイ
2008年12月18日

宝物

もうお気付きになっていらっしゃるとは思いますが、こちらのエッセイサイト「夏来 潤のページ」では、ごく最近、新しいセクションが加わりました。
 「シリコンバレー・ナウ(Silicon Valley NOW)」という、ちょっとだけ毛色の異なるシリーズ物です。

http://www.natsukijun.com/svnow/

ご存じの方もいらっしゃることでしょうが、この「シリコンバレー・ナウ」というのは、8年前の2000年12月から連載している、月刊のコラム・シリーズとなっております。原則的には、ハイテク産業のメッカであるシリコンバレーについて書く場所ではありますが、ときには、あちらこちらの旅行記なんかを書いたりしておりますので、お題目から大きく外れていることもあります。

この12月からは、「シリコンバレー・ナウ」シリーズは、こちらの「夏来 潤のページ」に統合されたわけですが、このお引越しが、思いもよらぬ「大事業」になってしまいました。なぜかというと、だいぶ前に書いた記事を移行するのが、かなり厄介な作業となったからなのです。

わたし自身はウェブサイトを構築するスキルもセンスもありませんので、3年前に「夏来 潤のページ」を立ち上げるときも、プロのデザイナーの方にご依頼していたのですが、今回、いざ新しく「シリコンバレー・ナウ」の移動場所を作っていただいたところ、あまりにデータのお引越しが煩雑なので、急遽、別のデザイナーの方にバトンタッチということになりました。

そこでふと思ったのですが、きっと過去の記事なんて、「厄介なお荷物」なんだろうなと。

それでも、書いた本人としては、8年前に書いた第一号から漏れなく保存しておきたいと願ってしまうわけなのですね。そして、それはどうしてかというと、どんな昔に書いたものでも自分にとっては宝物だから。

それは、今読み返すと、「あーでもない、こーでもないと、よく飽きもせず書いたものだ」とか、「よくもまあ、こんな(ひどい)文章で書いたものだ」と思うこともありますよ。けれども、どんなにおかしな部分があったにしても、一生懸命に書いたことに変わりはないですものね。


不思議に思われる方もいらっしゃることでしょうが、そもそも、どうしてこのエッセイサイト「夏来 潤のページ」を運営しているのでしょう。自分でも、ときどき「なんでこんなに一生懸命やってるんだろ?」と考えてみることがあるのです。

それは、多分、どなたかひとりでも楽しんでいただける方がいらっしゃるのではないかと思うからなのでしょう。
 世の中にたったひとりだけでも「あ~、おもしろかった、読んでよかった」と思ってくださる方がいらっしゃるのなら、それはもう、わたしとしては大成功なのです。

ちょっと大袈裟だなぁと思われるかもしれませんが、それほど、人の心に触れるのは難しいことだと思うのです。

でも、それだけではなくて、何よりも、書いていて自分が楽しいということもあるんですけれどね。

先日、お気に入りのラジオ局を聴いていてびっくりしたことがありました。すっきりとした美声が魅力的な、ジャズシンガーのキャット・パラさんが、こんなことをおっしゃっていたのです。

たくさんいる聴衆の中で、たったひとりの心に触れることができたら、わたしの仕事はもう完了よ、そう思うことにしているの。

If I can touch only one person, I know I’ve done my job.

そうかあ、似たような(子供じみた)ことをおっしゃるエンターテイナーもいらっしゃるんだなぁと、ちょっぴり安心したのでした。


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