Essay エッセイ
2014年01月21日

あなたって、ラッキーね!

2014年の幕開けから、もう3週間がたっています!

月日が過ぎるのはほんとに早いものですが、今年の元旦は、病院からの電話で目がさめました。

べつに具合が悪かったわけではなくて、お約束の超音波検査の予約をしなさいという催促でしたが、なにもお正月の朝からするような話じゃないですよね!

おかげで、なんとなく気持ちが暗くなった新年のスタートでしたが、そんな心の雲も、連れ合いの「おせち料理」ですぐに晴れました。

そう、以前も書いたことがありますが、我が家のおせち料理は、連れ合いがつくることになっているんです。いえ、わたしがつくりたくないんじゃなくって、連れ合いがつくりたくってしょうがないんです。

今年は、重箱に詰めずに「簡易バージョン」となりましたが、シャカシャカと品数豊富につくってくれました。

いろいろと定番はある中で、一番大事に思っているのは「黒豆」でしょうか。

「いかにおいしい黒豆を煮るか?」と、毎年いろんな工夫をしています。

例年、大晦日の前日には、黒豆づくりに着手します。今回は用事があって、黒豆をつくり始めたのは、大晦日になってから。

時間が足りずに、お豆がシワシワになった・・・と、できばえに少々落胆していました。

やっぱり、黒豆は、調味料を全部入れた水に一晩浸け込んで、それから長時間コトコトと煮る方がおいしいと、今回の失敗から学んだようでした。

なんでも、黒豆づくりは、子供の頃からおとうさんの役割だったそうです。

でも、これには苦い思い出があって、それは、おとうさんが煮る黒豆の鍋が吹きこぼれること。毎年、鍋から煮汁が吹きこぼれては、キレイ好きのおかあさんとケンカになっていたそうで、子供ながらに「黒豆」と「口げんか」というイメージが対(つい)になっていたらしいです。

ですから、わたしは、黒豆には口を出さないことにしています。

毎年の修練で、あんまり吹きこぼすこともありませんし、どうせ吹きこぼれても自分で掃除しているみたいですので。


そんなわけで、大晦日と元旦は連れ合いが台所を占領することになっているのですが、穏やかな大晦日の夕刻、わたしはお隣さんに用事があって玄関を出てみると、道に出ていた彼女は、こう言うのです。

「これって、お宅なのかしらね?」

何かと思えば、誰かが料理をしている「いい匂い」がする、と言うのです。

あなたの家の台所って、わたしの方に向いているわよね? と。

日本にはお正月の特別料理があって、うちは毎年、連れ合いがつくってくれると説明すると、「まあ、あなたってラッキーね!(Lucky you !)」と、目を輝かせて賛辞を述べてくれました。

お隣さんは、一年前にご主人を亡くしたばかり。金婚式もとっくに過ぎて、次は60周年を目指していたときでした。

お隣さんの家にも伝統があって、大晦日(New Year’s Eve)はステーキとロブスターと決まっていたそうです。

彼女は、料理がお得意な方。そして、東海岸マサチューセッツ州ご出身の方。ですから、「祝い事にロブスターはつきもの」で、ステーキ肉とロブスターを市場から調達して来ては、料理の腕をふるうのが新年を迎える恒例となっていたとか。

今はひとり暮らしとなったので、「つくり甲斐」に欠けるのでしょう。ごく簡単なものしかつくらなくなったようですが、「今年は、彼との思い出を大切にしたいので、お友達に誘われた大晦日のパーティーも行かないことにしたわ」とおっしゃっていました。

ステーキとロブスターのコンビネーションは、アメリカのレストランではよく見かけますし、お隣さんの家でも「ご馳走」のシンボルだったのでしょう。以前も、こんなことを聞いたことがありました。

子供が小さい頃は、お祝い事があってもレストランに行くことはなかったけれど、子供たちを寝かしつけたあとに、二人きりでワインを傾けながらステーキとロブスターで祝ったものだったわ。

暖炉に火を焚いて、その前で食べると、格別な味がするのよね、と。

なるほど、家によって、何かしら「特別な味」があるようですね。

とすると、我が家の場合は、お正月の黒豆でしょうか?

追記: 冒頭に出てきた超音波検査ですが、先日、検査の担当者が開口一番こう言うのです。
 「まあ、あなたって若く見えるわねぇ。いったい何を食べているの?」と。

この方はインド系のレディーで、わたしよりも年上に見える方でしたが、彼女いわく「あなたたちって(アジア系の女性)、ほんとに年齢よりも若く見えるのよねぇ」。だから、何か食べ物に秘密があるのかしら? と、常々考えていたようです。

こちらとしては、「連れ合いの料理です」とは答えなかったですが、食べ物だけじゃなくって、心の持ちようもあるんじゃないかな? と秘かに思ったのでした。そう、「もう若くないわぁ」と思ったら、それが外観にもにじみ出てしまうとか・・・(と、自分にも言い聞かせているのでした)。


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