Essay エッセイ
2013年09月23日

ワンちゃんだって家族でしょ?

8月の終わりから9月初めにかけて、日本に2週間滞在いたしました。

8月末、列島に上陸した台風が過ぎ去ると、実家のあたりは涼しい秋風が吹くようになりました。が、東京に戻って来ると、まだまだむし暑い!

なんとなく、昔に比べて、だんだんとむし暑く「亜熱帯」になっているようではありませんか?

さすがに、「中秋の名月」も「秋分の日」も過ぎたので、少しは過ごしやすくなったのではないかと思いますが、さて、ここで夏の思い出などをつづってみましょうか。

これは、8月中旬、東京に出張した連れ合いが体験したお話です。


真夏の太陽が照りつける午後、東京・六本木の「けやき坂」を歩いていました。

外資系のオフィスが集まる六本木ヒルズや、高層マンションやブティックが建ち並ぶ、けやきの緑が美しい、快適な散歩道です。

あ~、暑いなぁ、暑がりの僕は、真夏は苦手だなぁ、と汗をふきふき歩いていると、道路を隔てたあちら側の歩道を、小動物を連れた女性が歩いています。

どうしたわけか、その4本足の動物は、ヒョコッ、ヒョコッと足を上げながら、奇妙な歩き方をしています。

あの小動物は、いったい何だろう?

よ~く見てみると、どうやら小さなワンちゃんのようです。

そう、ちょうど海水浴場の砂が熱くて、サンダルを脱ぎ捨てた足をヒーヒー言いながら蹴り上げている子供みたいに、ぴょこぴょこと歩くんです。

だってワンちゃんは靴を履いていないでしょう。舗装道路が熱くて、「裸足」では歩きにくいんでしょうね。

でも、ワンちゃんを連れた女性は知らんぷり。もうほとんどワンちゃんを引きずるようにさっさと前を歩き、ワンちゃんの苦労にはまったく気づいていません。

うわ、かわいそう! と連れ合いが見ていると、そのとき後ろからこんな声が聞こえたのでした。

ちょっとあれって、動物虐待じゃねぇか?

どうやら、後ろを歩いていた若いカップルも、その光景を観察していたようで、見かねた男性が「動物虐待か?」と同情の声を発したようです。

それほど、誰が見ても「ひどい!」と思えるような光景だったのでしょう。


いえ、このあたりの方々は、早朝にワンちゃんを散歩させる方が多いのです。

だって、夏の早朝って、とっても気持ちがいいですからね。

わたしも時差ボケで5時半に起きて散歩に出かけると、かわいいワンちゃんを連れた方々を何人も見かけました。

夏場は、コンクリートジャングルは熱を持ちやすいですから、自分にとってもワンちゃんにとっても、そうやって熱を避けるのが常識でもあるのでしょう。

それなのに、真っ昼間の午後2時に、小さな、か弱いワンちゃんを散歩させるなんて・・・。


いえ、わたし自身はワンちゃんと一緒に暮らしたことがないので、偉そうなことは言えません。でも、獣医さんも、こんなアドバイスをしていらっしゃいましたよ。

真夏は、足の裏(paws)を火傷しやすいので、アスファルトを歩くのは避けて、できるだけ草の上を歩かせましょう。

犬は人間と体のつくりが違っていて、おもに足から汗をかくし、ハァ、ハァとあえぐ(pant)ことで、肺から水分を出して、体温を下げようとしています。ですから、湿度が高いときには、水分蒸発が起きにくくなって体温を下げにくいので、熱中症(heat stroke)になりやすくなります。

もともと、犬は人間よりも地面に近いところを歩いているので、地表からの熱の影響を受けやすいのです。ですから、日頃から犬が暮らしている状況も、ちゃんと考えてあげましょう、と。

なるほど、とくに日本の夏は、気温が高いだけではなくて、湿度も高いです。

人間さんにとっては、湿気でお肌が潤って嬉しいことではありますが、ワンちゃんにとっては、体温を下げにくい条件がそろっているのかもしれませんね。

そんなわけで、ワンちゃんをお散歩させるときには、どうか真夏の真っ昼間は避けてくださいませ。

だって、ワンちゃんだって、大事な家族の一員でしょう?


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