Life in California
ライフ in カリフォルニア/日常生活
Life in California ライフ in カリフォルニア
2012年04月23日

蛇行するパトカー

アメリカでは、車が必需品ですね。

ですから、車を運転する機会も増えますし、運転していると、いろんなことに遭遇します。

そして、あれはいったい何だろう? と思うことも、しばしばあるのです。

きっと、こちらも、「あれはいったい何?」と思われる類(たぐい)に違いありません。

それは、道路で蛇行するパトカー。


たとえば、先日、こんなことがありました。

シリコンバレーからサンフランシスコに向けて北上し、いよいよ市内に入るあたりから、フリーウェイ101号線(US 101)を280号線(Interstate 280)に乗り換えました。

この路線は、湾沿いの野球場 AT&Tパーク(メジャーリーグ野球のサンフランシスコ・ジャイアンツのホームグラウンド)なんかに行くときに便利です。

どうしても、101号線は市内に入ると混んでくるので、その渋滞を回避して、すいすいと快適に球場まで行くことができるのです(写真は、街の西側から眺めた球場。ご覧のとおり、サンフランシスコ湾のすぐそばで、特大のホームランはポチャリと入り江に落ちる近さです)

この日、280号線を快適に進んでいると、間もなく後ろの方から、黄色いランプをぴかぴかしたパトカーがやって来ました。

パトカーは、州のハイウェイパトロール(the California Highway Patrol、通称 CHP)のものですが、もし誰かをスピード違反で捕まえたいのであれば、のランプをぴかぴかさせて、違反車を追いかけるはずです。

ところが、黄色のランプのまま、その辺の車をグイグイと追い抜いて行くのです。

そして、パトカーがあるところまで行ったと思ったら、前を運転する車がすべてノロノロ運転になりました。

あ~、また始まったぁと、連れ合いとブツブツつぶやいていたのですが、このノロノロ運転の原因は、一般車の前で、CHPのパトカーが「蛇行運転」をしていたから。

そう、ほんとに文字通り、クネクネと蛇のように蛇行運転をするんですよ。

もし一方向5車線あるとしたら、その5車線全部を使って、クネクネと蛇行するんです(写真では、先頭に小さく黒っぽく見えるのが CHPのパトカー。この瞬間は、真ん中の車線を走っています)

後ろを運転する車は、まさかパトカーを追い越すわけにはいかないので、当然のことながら、全員がノロノロ運転になってしまうんですね。


それで、どうしてパトカーがそんな「異常行動」をとるのかと言えば、それは、後続の車に注意を促すためなのです。

たとえば、「前方で事故が発生していて、ちょっと先から渋滞している」とか、「なんだか、みんなスピードを出し過ぎているから、スローダウンするように」とか、警察官が「危ない」と思ったときにとる行動なのです。

けれども、この日の蛇行は、「いったい何だったの?」という感じでした。

いえ、きっと警察官は、こう考えていたのでしょう。

「この280号線を下りた先の球場では、今晩ジャイアンツのナイターがあるから、そろそろファンが球場に向かうころ。だから、ここから徐行運転し、フリーウェイを下りたら、通行人には気をつけるように」と。

けれども、道路はまったく混んでいないし、球場はまだまだずっと先だし、なんでこんな場所で蛇行してるの? と不思議に思ったくらいでした。

そして、連れ合いと出した結論は、こうでした。「あれは、絶対に趣味でやってるよね!」

この日は、抜けるような青空の土曜日。左に少しずつカーブしていくフリーウェイは、サンフランシスコの高層ビルに向けて「発射台」のように登り坂になっています。たぶん、ここからの眺めは、市内の道路でも一番いいんじゃないかと思えるほど(この瞬間は、パトカーは右端の車線を走行中)

その気持ちのいい道路をひとりじめにして、彼(彼女)はクネクネと蛇行してみたかったに違いありません。

そう、あれは「職権」を利用した、フリーウェイのひとりじめなんです!

ま、それは単なる想像でしかありませんが、「いいなぁ、わたしも一度でいいからやってみたい!」と思わせるような、見事なまでの蛇行運転なのでした。

ちなみに、そのあと球場のあたりに来てみたら、車は少ないし、人だってまばらでしたね。

この晩は、シーズン始まって最初のナイターのホームゲームでしたので、球場は満席だったようですが、それにしても午後3時って、試合が始まるまでには、まだまだ時間があるでしょう!


というわけで、カリフォルニアのフリーウェイでパトカーの蛇行運転を見かけたら、まずはスローダウン。間違っても、パトカーを追い越してはいけません(たとえ「あれは趣味でやってるんじゃないの?」と、いぶかしく思ったにしても)

これがカリフォルニアだけの習慣なのか、それとも他州でもやっているものなのかは、わたしにはわかりません。

少なくとも、以前住んでいたフロリダでは見かけたことはありませんし、連れ合いもいろんな州で運転してみて、見たことはないと言っていました。

まあ、蛇行していようと、まっすぐ進んでいようと、路肩に止まっていようと、パトカーを見かけたらスピードを落とすというのは、運転の常識かもしれませんよね。

そう、万が一スピードを出していたにしても、パトカーを見かけたら、「敬意を表して」スピードをゆるめる。それは、警察に対するエティケットなのかもしれませんし、向こうだって「ふん、かわいいヤツ」と、見逃してくれるかもしれません。

というわけで、今日のお話は、カリフォルニアの警察の「奇行」、蛇行運転についてでした。

(最後の写真は、フリーウェイを下りて、市内の2番通りを北上中。街のあちらこちらには、サンフランシスコ・ジャイアンツの選手の垂れ幕が飾ってあって、こちらは55番。長めの散切り頭がトレードマークの看板投手、ティム・リンスコム選手の垂れ幕です)


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