English words
英語ひとくちメモ/おもしろ表現
English Words 英語ひとくちメモ
2009年02月22日

A flock of geese (ガチョウの群れ)

先月の中旬、嘘みたいなお話がありましたよね。

ジェット機が、マンハッタン島の西を流れるハドソン川に不時着した!と。

不思議なことに、あんなに大きな鉄のかたまりでもちゃんと水に浮くように設計されていて、不時着後30分くらいは水に浮かんで、合わせて155人の乗客・乗員は、全員無事に助け出されましたよね。

そのときビジネスニュースを観ていたわたしは、水面に浮いた飛行機から人を助け出すシーンを生中継で観ることになったのですが、画面がスタジオから現場に切り替わった瞬間、自分の目を疑ってしまいましたよ。映画か何かの作り話ではないかと。

救助活動には、民間のフェリーもたくさん出動し、さすがにアメリカ人は、とくにニューヨークの方々は惨事への対応が素早いものだと感心いたしましたが、それと同時に、過去の悲劇を思い出し、神妙な気分にもなったものでした。

「ニューヨーク」と「飛行機」と聞くと、どうしても2001年9月の大惨事を思い起こすわけですが、ここで誤解されてはいけないと、生中継ではニュースキャスターが繰り返し、繰り返し、この言葉を使っておりました。

It’s a flock of geese! 「ガチョウの群れなのよ!」

つまり、エンジンにガチョウの群れがからまって、両翼のエンジンがダメになったために、緊急着陸したのだと。

なにはともあれ、ベテランのパイロットの方の機転が利いて、無事に不時着となったわけですけれど、この「ハドソン川の奇跡(Miracle on the Hudson)」とも呼ばれる離れ業(わざ)に、チェスリー・“サリー”・サレンバーガー機長は、一躍アメリカの「ヒーロー」となりました。

このサリーさんは、サンフランシスコ・ベイエリアのダンヴィルという静かな街に住んでいるのですが、地元では、ヒーローをお迎えする大きな祝賀会が開かれたし、かの有名なオバマ大統領の就任式や、アメフトの祭典・スーパーボウルなんかにも招かれ、みんなの拍手喝采を一身に受けたのでした。

けれども、そこは、パロディーが大好きなアメリカ。
 そんな「ヒーロー」のサリーさんに対抗するかのように、パロディー番組の王様『サタデーナイト・ライヴ(Saturday Night Live)』では、ジェット機のエンジンに散っていった仲間たちを思う「ガチョウのラリー(Larry the Goose)」が登場したのでした。

「ふん、パイロットがヒーローだ、ヒーローだって言うけれど、犠牲になったガチョウたちのことも考えてくれよ」と視聴者に訴えるのです。


さて、この表題になっている a flock of geese ですが、英語には、動物を数えるときに、いろんな数え方があるのです。

そう、ちょうど日本語に「一匹」とか「一頭」とか「一羽」があるように、英語にも動物によって、適切な表現というのがあるのですね。

まあ、厳密には、一匹の「匹」に当たるような「助数詞(数を数えるときの助詞)」ではなくて、「~の群れ」といった表現になります。

表題の a flock of geese は、「ガチョウの群れ」という意味ではありますが、ガチョウの geese(単数形 goose)に使われるだけではなくて、ほかの鳥にも使います。

たとえば、a flock of swans(白鳥の群れ)、a flock of crows(カラスの群れ)、a flock of cranes(鶴の群れ)、a flock of seagulls(カモメの群れ)と言ったりしますね。

港街のサンフランシスコなどでは、海沿いに行くと、カモメを見かけたりするものですね。
 近くで見ると、かなり大きいのでびっくりしますが、鮮やかな黄色いくちばしがベイブリッジの遠景にも映えるのです。

そして、ときに、ガチョウの群れを a gaggle of geese と言ったり、カモメの群れのことを a colony of seagulls と言ったりもします。

カモメに使われている colony というのは、「群棲(ぐんせい)」、つまり、群れをなして生活する動物のことをさします。だから、南極大陸にいるペンギンさんの群れなんかも、colony と言います。「あ~、寒い、寒い」と、みんなで固まって、極寒の南極の冬を越すのです。

一方、gaggle という単語は、「ガアガア鳴く」という動詞が転じて、ガチョウの群れを表すようになったようですが、いかにもガアガアとうるさそうですよね!


さて、a flock of ~ という表現は、鳥だけではなくて、a flock of sheep(羊の群れ)と四本足の動物に使うこともあります。

けれども、四本足の動物で a flock of ~ を使うのは、羊(sheep)とヤギ(goats)くらいなものでしょうか。ふむふむ、だとすると、a flock of ~ は、おとなしい四本足の動物に使われるということでしょうか?

ちょっと恐い動物になると、a pack of ~ という別の表現が登場します。

たとえば、a pack of wolves(オオカミの群れ)、それから a pack of hounds(猟犬の群れ)。なんとなく、強そうな響きがあるのです。

一方、同じ四本足でも、牛さんの場合は a pack of ~ ではなくって、a herd of ~ を使います。
 つまり、a herd of cattle(牛の群れ)。

(注:このcattleという表現は、メス牛のcow、オス牛のbull、子牛のcalf などの総称となりますので、厳密には、メス牛だけの群れという場合は、a herd of cows となるようです。ちなみに、オス牛 bull の複数形は、bulls。子牛 calf の複数形は、calves となりますね。)

それから、ちょっと厄介なことではありますが、a herd of ~ は、牛、ロバ、馬、シマウマといった大きな動物に使うばかりではなく、ウサギのような小動物や、はたまた七面鳥にも使うらしいのです。

ウサギさんはまだ四本足だからわかりますけれど、鳥の仲間であるはずの七面鳥も a herd of turkeys とは!

やっぱり七面鳥は、かわいい小鳥さんなんかとは違って、どっぷりと大きな鳥だからなのでしょうか?


さて、「群れ」という表現には、 a school of ~ というのもあります。こちらは、おもに、水の中の生物に使います。

たとえば、a school of fish (魚の群れ)

それから、a school of tadpoles (おたまじゃくしの群れ)

この school という単語は、べつに「学校」という意味ではなくて、「何やら水の中に泳ぐ群れ」といった意味ですね。クジラやイルカもこの仲間に入ります。

そう、a school of whales (クジラの群れ)

そして、a school of dolphins (イルカの群れ)

きっと、マナティーの群れだって a school of manatees となるのでしょう。

でも、きっと、あの童謡『めだかの学校』だって、a school of killifish と言うんでしょうね!

(注:ちなみに、クジラの場合は、a pod of whales とか、a herd of whales という説もあるようです。そして、水中をユ~ラユラ浮遊するクラゲの群れは、 a smack of jellyfish と呼ぶそうです。なんでも、この smack という単語は、一本マストの小型帆船のことだそうですが、そういえば、そんな風にも見えるでしょうか。)


それから、驚くなかれ、おたまじゃくし(tadpoles)の群れが a school of tadpoles だからって、カエルの群れは a school of frogs とは言いません。

動物ではないので a herd of frogs とも言いませんし、鳥ではないので a flock of frogs とも言いません。

こちらは、なんと、an army of frogs と言うそうです!

え、なに、「カエルの軍隊」?

おたまじゃくしとは同じ生き物であるはずなのに、どうして呼び方が変わるのでしょうか?

まあ、もっぱら水の中に生きているおたまじゃくしが、水陸両用のカエルに変態するわけですから、科学的にも合っているわけではありますが、なんともややこしいことですね。

それから、「軍隊」ごときで驚いてはいけません。なんと、a parliament of owls という表現があるのです。

こちらは、いわば「フクロウの議会」!

(そう、parliament は「議会」で、 owls は「フクロウ」。ちなみに、Parliament が一般的にイギリスの国会をさすのに対し、アメリカの国会は Congress と言いますね。それから、日本の国会は、「ダイエット」と同じ発音の Diet です。)

う~ん、たしかにフクロウは賢そうな生き物ではありますが、それにしても変な数え方ですよね! なんとなく、フクロウが一堂に会して、みんなで眉間にしわを寄せて討論している図なんかを思い浮かべるのです。

こんな風に、日本語と同じように、英語の(生き物の)数え方とは実に厄介なものでして、それだけ、日本語圏でも英語圏でも自然に対する愛着が大きいということでしょうか。

追記: ちなみに、英語の動物の表し方をもっともっと詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら、こちらの米国政府機関USGSのサイトをご参照くださいませ。
http://www.npwrc.usgs.gov/about/faqs/animals/names.htm

USGS(United States Geological Survey)というのは、自然界を科学する国の研究機関です。地震や地滑りなどの災害を研究したり、絶滅に瀕している生物を長年にわたって観察したりと、人間や動植物の保護者の役割も果たしています。
 ただし、こちらは研究機関が作成した表ですから、ここに出てくるのは、あくまでも、普段は使わないような「学術用語」みたいなものです。ですから、わからなくても気にする必要などありませんし、覚える必要もありませんよ!

それから、ちょっと蛇足とはなりますが、カエルの子供「おたまじゃくし」が出てきたところで、こんな逸話をどうぞ。
 なんでも、人間とおたまじゃくしとは、深い縁(えにし)があるそうです。なぜって、人間のしゃっくり(hiccup)は、おたまじゃくしの「真似(まね)」だから。
 エッと驚いてしまうような仮説ではありますが、人間がひくっと声を出して(hic)しゃっくりをするメカニズムは、生物の進化のプロセスでは、おたまじゃくしの呼吸法の名残(なごり)だというのです。

両生類であるおたまじゃくしは、変態した後の陸上生活のために肺を持っているのですが、水の中で生活しているときは、お魚のように「ひれ呼吸」をしています。ということは、水を口から吸い込んで、ひれから出して、水中の酸素を体内に吸収しているのですが、肺の中に水が入ったらそれこそ大変! むせてかえってしまいます。
 そこで、肺の手前にある声門(glottis)を閉じながら、口から水をヒーッと勢いよく吸い込むことになるのです。そこのところが、人間さんのしゃっくりと似ているというのです。
 人間のしゃっくりは、何らかの理由で横隔膜(diaphragm)にけいれんが起こって生じるものですが、ひくっと声が出るのは、喉の奥。ここにある柔らかい部分(喉頭蓋「こうとうがい」と呼ばれるふた、epiglottis)を閉じた状態で、息を勢いよく吸い込む現象が、ひくっという音のしゃっくりになるそうです。
 まあ、人間のしゃっくりはひくっと短いわけですが、おたまじゃくしの「しゃっくり呼吸法」は、ヒーッと比較的長いしゃっくりだというわけなのです。

生物の進化のプロセスで考えると、人間のような陸上の霊長類だって、もとは水中で生活していた生き物。だから、ちょっと意外なことではありますが、人間とお魚、人間と両生類は、ずいぶんと構造的に似ている部分があるのだそうです。
(参考文献: Neil E. Shubin, “This Old Body”, Scientific American, January 2009 : 64-67)

すみません、とんだ蛇足ではありましたが、それでも、こんなお話を聞いてみると、小さな生き物に対しても、なんとなく親近感が湧いてきませんか?


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