English words
英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2013年10月07日

Expect the unexpected(何が起きるかわからない)

先日、ライフinカリフォルニアのセクションでは、『ヨットっておもしろい!』と題しまして、「アメリカスカップ(America’s Cup)」というヨットレースのお話をいたしました。

スポーツトロフィーとして世界最古(!)という伝統があり、ヨットレースとしても世界最高峰とも呼べる、スリリングなスピード競技です。

今大会は初めてサンフランシスコで開かれ、しかも、優勝カップの激しい争奪戦となり、ヨットには乗ったこともないわたしも、いつしか夢中になってしまったのでした。

連日、そんなスリル満点のレースをテレビで観戦していて、ひどく耳に残った言葉がありました。

それは、こちら。

Expect the unexpected
 
 直訳すると、「予期できないようなことを予期しておきなさい」

最初の Expect は、「~を予期する」とか「~を期待する、予想する」という他動詞。

で、何を期待しておくのかというと、 the unexpected つまり「予想もつかないようなこと」。

ですから、Expect the unexpected とは、

「予想もしないようなことが起きることを心しておきなさい」

つまり、「これから何が起きるかわかりませんよ」という忠告ですね。

そうなんです、実際に予想もしないようなことが起きました。

The unexpected actually happened

だって、アメリカのオラクル・チーム(Oracle Team USA)が、ニュージーランド・チーム(Emirates Team New Zealand)に大きくリードされ、優勝カップにあと一勝と「王手」をかけられていたのに、そこから8連勝して、大逆転優勝を遂げたのですから。

崖っぷちに立たされながらも、次々とレースに勝っていくオラクル・チームを目の当たりにして、解説者がもらした言葉。それが、

Expect the unexpected

勝負はやってみなければわからない。予想を裏切られるのは、世の常なのです。


そして、この解説者が心の底からしぼり出した、もうひとつの言葉がありました。

それは、こちら。

The race is predictably unpredictable
 レースは、予測されるとおりに予測不能である

A is B のシンプルな構文ではありますが、B にあたる unpredictable「予測不能である」という形容詞に、predictably「予測されるように」という副詞が付いています。

なんとなく矛盾する言葉をつなげたようではありますが、predictably unpredictable というのは、「(レースというものは)みんながよくわかっているとおりに、予測なんてできないよ」といった感じでしょうか。

こちらも、「レースには何が起きるかわからない」と、勝負事の真髄を付いた表現なのではないでしょうか。

「試合をする前から、(どっちが勝つとか)結果を思い描いてはいけないよ」という警告でもあるでしょうか。


そして、このアメリカスカップのレースを観ていて、もうひとつ印象に残った言葉がありました。

それは、レースの最終日。優勝ゴールを目前にして、オラクル・チームのヨットから聞こえてきた掛け声。

(Photo of Race 19 at Gate 1 by D. Ross Cameron, the San Jose Mercury News, September 26, 2013)

ごくシンプルに、

Work your arses off!

リードしていたって、気をたるませることなく、最後までゴールに向かって突進するぞ!

そんな風に、チームのみんなを鼓舞する掛け声です。

で、印象に残ったのは、arses (米語で ass、お尻)という言葉。

実は、こちらは放送禁止スレスレの言葉なんですが、生中継だったのでどうすることもできませんでした。

かわいそうに、困った解説者は、こう言い繕(つくろ)います。

As commented by Mr. Ben Ainslie…
 まさに、ベン・エインズリーさんがコメントしたように・・・(笑)

いえ、「お尻」を言い換える婉曲語はあるんですよ。

たとえば、こう言えば、放送にはまったく問題ありません。

Work your butt off!
 懸命にがんばって働け!

こう言ってもいいかもしれません。

Work your tail off!
 力をふりしぼってがんばれ!

でも、懸命にゴールに向かっているクルーにとっては、いちいち言葉を選んでいる余裕なんてありません。

だって、とにかく相手より先に、ゴールを切りたいんですから!

そんなわけで、ちょっとした放送スレスレ用語も許してあげましょうと、みなさんも大いに納得したことでしょう。

ちなみに、この work one’s butt (tail) off という慣用句は、よく使われるものですので、覚えておくと便利だと思いますよ。

We worked our butt off to achieve the goal
ゴールを達成しようと、わたしたちは懸命に働いた

ま、上品に「お尻」と言おうと、ちょっと下品に「ケツ」と言おうと、「懸命に働く」ときには、お尻が登場することを覚えておきましょう。

おっと、またまた話がそれてしまいましたが、今日のお題はこちら。

Expect the unexpected

何かしら思いもよらないことが起きるだろうと、心しておきましょう。

ま、勝負事に限らず、それが人生というものなのかもしれませんね。

付記: アメリカのオラクル・チームUSAの大逆転優勝には、上に出てきたベン・エインズリー卿の功績も大きいと言われています。

イギリス人の彼は、オリンピックのヨット競技で5回連続してメダル(うち4個は金)を獲得した方だそうですが、今回のアメリカスカップでは、第6レース以降、前任者に替わりタクティシャン(攻略担当)を務めました。
ヘルムスマン(操舵手)ジェイムズ・スピットヒル氏とストラテジスト(戦略担当)トム・スリングズビー氏(写真、ともにオースオトラリア人)と3人で、実に見事にチームを守り立て、逆転優勝に導いたようにお見受けいたします(アメリカ・チームの11人のクルーのうち、アメリカ人は2人だけというコスモポリタンな顔ぶれでした)。

ちなみに、本文最後のサンフランシスコの航空写真は、市を西から眺めたもので、アメリカスカップは、赤い(左の)ゴールデンゲートブリッジと(右の)ベイブリッジ間のサンフランシスコ湾で行われました。

それから、話題となった「お尻」に関しては、ちょうど5年前に『お尻が痛い?』と題しまして、お尻の婉曲語などをご紹介しております。
 「お尻」のお話は後半部分に出てきますが、偶然にも、前半部分ではオラクル社(オラクル・チームUSAのオーナー、ラリー・エリソン氏が設立した会社)がちょっとだけ登場しています。


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