English words
英語ひとくちメモ/おもしろ表現
English Words 英語ひとくちメモ
2015年10月03日

Hath September(9月31日?)

ふと気がついたら、

 

 パンの袋に「(賞味期限)9月31日」って書いてありました。

 

 あれ、9月って、30日まででしょう?

 

 9月31日って、10月1日のこと?

 

 でも、アメリカ人って、そういうのに疎(うと)いんだろうなぁと、ひとり納得したのでした。

 

 そう、暦には、9月のように、31日までない月がいくつかありますよね。

 

 ですから、日本には「ニシムクサムライ」という便利な言葉があります。

 

 言うまでもなく、2月(ニ)、4月(シ)、6月(ム)、9月(ク)、11月(サムライ、士)は、31日より短いですよ、という意味。

 

 語呂がいいので、とっても覚えやすいですね。

 


 実は、英語にも、似たようなものがあるんですよ。

 

 Thirty days hath September

 

 と言います。

 

 こちらは、古語と倒置法を使っているので、わかりにくいですが、

 

「9月は30日持っています」という意味です。

 

 本来は、September has thirty days となるべきですが、

 

 後ろの thirty days を先に持ってきて、「30日だよ」と強調しています。

 

 こういった使い方は、Tomorrow it is(そうね、明日にしましょう)という倒置法と同じですね。

 

 そして、hath というのは、has(持っている)の古語になります。

 

 ですから、Thirty days hath September で、「9月には30日ある」という意味。

 


 それで、31日より短いのは9月だけではありませんので、当然ながら、続きがあるのです。

 

 調べてみると、いろんなバージョンがあるそうですが、こちらが一番、語呂合わせがいいでしょうか。

 

 Thirty days hath September,           30日、9月は持ってる

 April, June, and November.             4月、6月、そして11月も

 All the rest have 31,                         その他すべては31日持ってる

 Except for February all alone,         たったひとつ2月は例外

 It has 28 each year,                          毎年28日持ってる

 But 29 each leap year.                     でも、閏(うるう)年には29日さ

 

 

 英語では、詩はすべて「韻をふむ(rhyme)」ようにできていますので、こちらの英語版ニシムクサムライも、とってもリズミカルにできています。

 

 ですから、何回か唱えるうちに、自然と覚えられるようになっているんですね。

 

(たとえば、and, the, for といった言葉は軽く流して、他の単語にアクセントをつけるようにすると、英語風の抑揚になるでしょうか)

 


 それで、ちょっと難しい言葉になりますが、mnemonic rhyme というのがあります。

 

 発音は「ニューモニック・ライム」ですが、mnemonic (「ニューモニック」の「モ」にアクセント)は、「記憶するのを助ける、つまり記憶術」という意味になります。

 

 後ろの rhyme(ライム)というのは、リズミカルに韻をふむこと。

 

 ですから、mnemonic rhyme というのは、「リズミカルな語呂合わせで物事を覚える」ことで、その代表例が、日本の「九九」ではないでしょうか。

 

 1の段の「1 x 1(いんいちがいち)」「1 x 2(いんにがに)」から始まって、

 

 9の段「9 x 8(くはしちじゅうに)」「9 x 9(くくはちじゅういち)」で終わる「九九」。

 

 日本の小学校では、低学年でマスターするでしょうか。

 

 ところが、英語圏の文化では、「九九」みたいな覚え方がないので、掛け算表(the multiplication table)を頭に叩き込まないといけないようです。

 

 そう、1の段、2の段、3の段と、ずらずらと数字が並ぶような掛け算表。

 

こちらは、ネット検索で出てきた掛け算表ですが、他にも、色を使い分けてカラフルにしたり、動物を登場させてかわいくしたりと、退屈な掛け算表にも、いろんな工夫が見られます。

 

 が、結果的には数字を覚えないといけないので、うまく覚えられないと、暗算ではなく「掛け算表」に頼ることになるのです。

 

 何かいい方法はないのかな? と友人に聞いても「日本の九九みたいなものはないわ」という答えでした。

 

 さらにネットで検索してみたら、ユタ州立大学の修士論文が出てきました。

 

 なんでも、「学校でちょっと遅れを取っている生徒の場合は、絵を見せながら、いろんなお話をつけて覚えさせた方が良い」という学説があって、それを自分の生徒で試してみたら、学説は正しかった、という内容の修士論文。

 

 おのおのの数字に pegword(ペグワード、記憶を助けるためのキーワード)をつけておいて、そのキーワードからお話を組み立てるのです。

 

論文で出されていた例が、こちら。

 

 「3 x 4 = 12

 

 「Tree x Door = Elf

 

 3 と 4 と 12 には、それぞれ発音の似ている Tree と Door と Elf というペグワードをつけておいて、こんなお話を展開しています。

 

 昔、森にホームレスの小人が住んでいました。一日中、木々の中で遊び、夜には大好きな星と木々の下で休みます。ときどき寒くなったり、雨で濡れたりするので、お家が欲しくなりました。ある日、木(Tree、3)に大きな穴を見つけたので、そこに小さなドア(Door、4)を取り付けて、なんとも居心地のいい小人(Elf、12)の家にしましたとさ。

 

 う~ん、なんとも厄介なお話でしょうか。

 

 だったら、そのまんま

 

 Three times four is twelve

 

 と覚えた方が、手っ取り早いかもしれません。

 

 みなさん、日本の「九九」は偉大なんです。子供の頃に覚えていて、良かったですねぇ!

 

 

Reference cited: Logan James Eubanks, “The Effects of Mnemonics to Increase Accuracy of Multiplication Facts in Upper-Elementary School Students with Mild to Moderate Disabilities”, 2013, Utah State University, All Graduate Plan B and other Report, Paper 297; mnemonic figure taken from Appendix C “Example of Mnemonic story with visual support”, p28

 


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