Silicon Valley NOW シリコンバレーナウ
2008年07月30日

タッチ方式花盛り:アップルさまのiPhoneとマイクロソフトSurface

Vol.108

タッチ方式花盛り:アップルさまのiPhoneとマイクロソフトSurface 
 
  7月上旬にはブッシュ大統領の北海道洞爺湖観光旅行も終え、今は、いよいよ本格的な夏休みの気分でいることでしょう。
  そう、今年に入って、ブッシュ大統領はアフリカ、ヨーロッパ、アジアと精力的に観光旅行に出かけておりましたが、先日は、ワインの名産地である北カリフォルニアのナパにまでやって来ました。史上稀に見る山火事の惨事を視察するという名目ですが、2時間滞在したナパでは、その実、ヘリコプターツアーの後に、おいしいワインでも試飲していたのでしょう。

  さて、そんな7月は、シリコンバレーの最近の表情をお伝えすることにいたしましょう。今回は、おまけの話も入れて5つありますので、どうぞごゆるりとお読みくださいませ。もちろん、アップルさまの「iPhone 3G」ははずせませんね!


<違反者が妙に少ない!>

  先月号のおまけ話で、「DWT(Driving While Talking)」という新しい交通用語をご紹介いたしました。そう、7月1日から、カリフォルニア州では携帯電話のハンズフリー機能が義務化され、違反者はどんどん摘発されることとなりました。
  ところがどっこい、「違反を厳しく取り締まってやる!」と意気込んでいたカリフォルニア・ハイウェイパトロール(CHP)の期待は、見事に裏切られる結果となりました。なぜって、ハンズフリー条例は州内津々浦々まで行き渡り、違反者の数が思いのほか伸び悩んでいるからです。

  条例施行初日、サンノゼ市界隈では、違反者はたったの12人。施行から1週間で、州内の違反者はわずか991人。このままのペースでは、州全体で一年に5千人しか違反者が出ないことになります。スピード違反は年間117万人、シートベルトを着用しない違反者は、年間20万人もいるのに。
  もちろん、違反者が少ないのはいいことですが、警察の収入源が減ってしまうのではないかと、ひとごとながら心配してしまいます。ただでさえ、カリフォルニア州はお金がなくて困っているのに。

  このハンズフリーの違反者の少なさは、そのまま携帯電話に対する一般消費者の関心の高さを表していると思うのです。「運転中にケータイは迷惑!」とか「ケータイを長時間利用すると脳に悪影響を及ぼすかも」なんていう話題には、人々の関心が一気に集中するのです。まさに「ケータイ」のひと言は、新聞の見出しやウェブサイトのヘッドラインにはもってこいなのです。
  けれども、個人的には、それだけではないような気がしています。なぜって、近頃、車を運転する人が減っているように見受けられるからです。ドライバーの数が減ると、自然と違反者も減ってくるでしょう。


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  たとえば、こちらは、7月中旬の平日午後5時の写真です。シリコンバレーの幹線道路のひとつであるフリーウェイ280号線を撮っています。普段なら、平日午後5時ともなると、フリーウェイの混雑はピークではありませんか。けれども、近頃はこんなにすいているのです。ということは、車を使って通勤している人が激減した(?)
  そうなんです。5月下旬に、シリコンバレーあたりのガソリン平均価格がガロン当たり4ドルを突破したあと、ずっと4ドルから5ドルの間で高止まりしています(1ガロンは、3.8リットル)。大きな車を満タンにするには、軽く100ドル(約1万円)を越えるそうで、「こんなんじゃやってらんないよ!」と、バス、電車、列車、フェリーの交通機関に乗り換えたり、「いっそのことオフィスには行かないよ!」と在宅勤務にスイッチしてみたりと、ライフスタイル自体を変えてしまった人が増えているようです。

  なんでも、全米公共交通機関協会によると、ここまで公共の交通機関が愛用されているのは、半世紀前の1957年以来の現象なんだそうです!


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  ガソリン価格の高騰に対抗しようと、こんな光景も見かけるようになりました。トヨタのハイブリッド車「プリウス」など、新しいコンセプトの車が大受けするシリコンバレーでは、ドイツのダイムラーの子会社スマート(Smart GmbH)が製造するスーパーミニカーが街に出回り始めたのです。
こちらの写真は、同社のかわいい二人乗りミニカーをサンノゼの街中で試乗しているところです。

  環境保護や新しいテクノロジーにうるさいシリコンバレーでは、トヨタのプリウスは大ヒット作となっています。昨年7月には、「シリコンバレーのベストセラー車」とうたわれていましたが、それは今でも変わっていないのではないかと思います。
そこに、スマート社の超小型ガソリン車「ForTwo」が加わったことで、プリウスとForTwoとどっちにしようかなと迷う人も出てくるのかもしれません。
  まあ、厳密に言うと、ForTwoの燃費はプリウスには劣るようですが、「僕は環境問題をしっかりと考えているんだよ」と意思表示をするには、かなり目立つ、好材料となりますね。


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  実は、わたしもスマート社のスーパーミニカーを利用したことがあって、小型ながら、その馬力には驚いた記憶があります。
エーゲ海に浮かぶギリシャのサントリーニ島でレンタカーとして借りたのですが、狭くて入り組んだ街中やアップダウンのある幹線道路を運転するには、まさに最適の車でした。

  大型車の多いアメリカでは、安全性の面で若干の不安は伴いますが、オフィスに通ったり、家の近くを移動したりする分には、充分かもしれません。
  だってアメリカ人って、基本的にケチなんですよね。ガソリン代が浮くと聞けば、どんな方法でも採用したいと思うのかも。

< You can do it! >
   いえ、たいした話ではありません。ビジネス番組で車の燃料効率(fuel efficiency)を取り上げていたのですが、キャスター曰く、「ホンダのフィット(コンパクトなガソリン車)の燃費が、フォードのSUVエスケープのハイブリッドモデルとまったく同じなら、なにも、無理してハイブリッドモデルを買わなくてもいいんじゃない? だって、ハイブリッドモデルなんて普通より高いし、第一、ハイブリッドとは名ばかりで、燃料効率はぜんぜんよくないじゃない」と。

  なるほど一理ありますが、ゲストとして招かれた車業界のアナリストは、やんわりとこう反論していました。「あら、フィットなんてとても小さいから、人がいっぱい乗れないし、ライフスタイルに合わない人はたくさんいるのよ。みんながみんなホンダのフィットでいいわけはないわ」と。

  それを聞いていたわたしは、意地悪くこう思ったのでした。それは、あなただからそう思うのであって、ホンダのフィットにもフィットする(スリムな)人はたくさんいるでしょうと(現にさっき、4人が乗ったフィットを見かけましたよ)。

   こういう実話があるんです。テキサスの刑務所で、ある男が脱獄しました。彼はコンビニ強盗の末、人殺しまでしでかした凶悪犯なのですが、彼の脱獄ルートは、通気孔。エアコンの通気孔は独房にも完備してあるわけですが、そのわずか30センチ四方の隙間をすり抜けて、まんまと外界へ。
  身長180センチの大柄な彼が、小さな穴を抜けるのは難しい。しかし、刑務所に服役した4月中旬からの3ヶ月、ひたすらダイエットに励むことで脱獄に成功したようです。

  ふむふむ、目的意識さえあれば、ダイエットでも何でも可能だということでしょうか。 アナリストさん、You can do it(君ならできるよ)!

<お見逸れいたしました、アップルさま>
   はい、はい、わたしが悪うございました。何がって、アップルさまの新しい「iPhone(アイフォーン)3G」が、こんなに人気が出るわけはないとタカをくくっていたのです。


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  まあ、少しは人が並んでいるだろうと、7月11日の発売初日、のうのうと午後3時にアップルストアに向かうと、そこには予期せぬほどの長~い列。
列の最後尾にアップルストアのお兄さんが立っているので、「ここが列の最後なの?」と軽く尋ねてみました。すると、ディズニーのティーンエージャー向けの映画にも出られそうな、まつげのクリッとしたかわいいお兄さんは、こう答えるのです。「いや、違うよ。ここからは見えないけれど、ショッピングモールの外に延々と列が続いているんだよ。」


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  ここは、昨年の元祖iPhoneの発売時に、アップルの創設者のひとりであるスティーヴ・ウォズニアック氏が一晩キャンプしていたアップルストア。サンノゼ市とサンタクララ市にまたがるバレーフェアというショッピングモール内の新し目のアップルストアです。

今年は、ウォズニアック氏は午前4時にドーナッツを持って現れ、居並ぶアップルファンたちをねぎらったとのこと。ウォズニアック氏といえば、サンノゼ市ダウンタウンの道路にも「ウォズ・ウェイ(Woz Way)」として名が使われているほどの名士(サンノゼ生まれのウォズニアック氏の愛称はウォズ)。やはり、「ウォズ氏」ゆかりの場所には、たくさんのファンが集まるのです。そして、そんな長い列をテレビ番組のクルーが取材しています。

   アップルのお兄さん曰く、最後尾だと軽く4、5時間は待つことになるけれど、果たして在庫がもつかどうかは僕にはわからないと。なんでも、オンラインで行う携帯キャリアAT&T Mobilityとのサービス契約と、ひとりひとりのカスタマイズ(ユーザごとのセットアップ)に時間がかかり、なかなか列が進まないとのことです。たしかに、一度に10組を入れ替えるカタツムリのようなスピードでは、なかなか顧客ははけないのでしょう。 


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  というわけで、アップルストアはあきらめ、AT&T Mobilityのショップに向かったわけですが、もう夕方になるのにショップは大混雑。普段はAT&Tショップなんて、どこもガラガラと相場が決まっているのに、この日ばかりは様子が違います。 

  ちゃんとiPhone 3Gの見本(模型じゃなくて本物)が2台も置いてあるので、もしかしたら在庫ありかと期待しながらショップの担当者に尋ねると、ちょっと呆れ顔でこう返事するのです。「iPhoneなんて、もう何時間も前に売り切れているよ。」
  きっとアップルストアに比べショップには配給が少なかったのでしょう。次の在庫は、いったいいつ配達になるのかわからないといいます。ショップの前では、午前6時には長蛇の列となっていたそうですが、それもむなしく、何十人かで「打ち止め」となったのでしょう。

  それにしても、アップルストアでもAT&Tショップでも痛感したのですが、並んでいる顧客層が昨年と違うのには驚いてしまいました。
  昨年のiPhone発売当日には、やはりどう見ても「テクノロジーおたくっぽい人(geeks)」が集っていました。そう、あたりには「ギークの祭典」の雰囲気が漂っているのです。チラチラ見かける女性客だって、なんとなくグーグルにでも勤めていそうな、ハイテク系の香りがしていました。
  ところが、今年は、若いアップルファンに混ざって「普通の消費者」と見受けられるお父さんやお母さんが目立ちました。やはり、値段がグンと下がったお陰で、iPhoneの裾野はどんどん広がっているに違いありません。
  まあ、そのせいで、ギークであってもすぐには買えない!という大きな弊害が出てきましたが、裾野が広がることはアップルさまにとっては大歓迎でしょう。

  最初の3日間で、全世界で100万台。今年末までには、目標1000万台。発売1年で600万台売れた元祖iPhoneを、大きくしのぐ勢いですね。


<マイクロソフトの優れもの>

   「iPhone 3G」発売から数日たったある日。連れ合いがアップルストアに行くと、「1時間45分待ちだよ」といわれたそうです。列でおとなしく待つなどという芸当のできない連れ合いは、今度はAT&Tショップに向かいました。しかし、当然のことながら、そこには在庫なんてありません。その日はあきらめて、すごすごと帰って来ました。
  そして、発売から10日ほどたったある日。もう我慢できないから予約しに行くといいます。とりあえず、愛用している元祖iPhoneのソフトウェアをアップグレードするという手もありますが、それをやったら途端に遅くなったという嫌~な体験談も耳にします。やっぱりどうしても新しいのを買わないといけないのでしょう。

   そんな連れ合いに同行し、AT&T直営店を訪れました。月曜日の午後なので、広い店内はガラガラです。平日だからというよりも、ここには在庫がないことを皆が嗅ぎ分けているのでしょう。
まあ、何日か待つのは仕方がないと、カウンターのお姉さんに16GBモデルを注文したのですが、「いつ入手できるの?」という質問に、「そうねぇ、10日から2週間かしら」と、なんとも暢気な答えが返ってきます。ということは、7月末!

   そんなやり取りを聞いていたわたしの目には、何やら新しいものが飛び込んでくるのです。なんとマイクロソフトの新手の製品が置いてあるではありませんか!
いえ、ウィンドウズ・モバイルOSを搭載した、パーム社の新しい「Treo 800w」ではありません。だって、今のところTreo 800wを販売しているのは、携帯キャリアSprintだけですから。
  見かけたのはケータイの新機種ではなくって、「サーフェス(Surface)」という名のおもしろい製品。しかも、広々としたフロアには4台も置いてあるのです。

  マイクロソフト「サーフェス」とは、とってもお利口さんなテーブルでして、表面を手で触ったり、いろんなものを置いたりすると、それを認識してちゃんと反応してくれるのです。製品名のSurfaceとは、「表面」という意味ですね。
  大きさは昔の喫茶店のゲーム機をちょっと大きくしたくらいで、30インチのディスプレイがはめ込まれています。テーブルの表面はツルツルではなく、ちょっとザラザラっとした感じですが、きっと指紋や傷がつきにくくなっているのでしょう。

  アップルのiPhone登場以来、手で触るタッチ方式、しかも複数の指で触るマルチタッチ方式は、今や大流行となっています。iPhoneの場合は、二本の指をビュッと広げれば、触れた画面が大きくなったりするわけですが、マイクロソフトは、独自のマルチタッチ方式を「サーフェス・コンピューティング」と呼んでいます。
  キーボードやらマウスやらと、ともすると人と機械の接点(インターフェイス)は仰々しくなりがちですが、表面を触るだけで機械が動いてくれるようなると、ユーザにとっても一段と敷居が低くなるはず。しかも、テーブル型にすれば、もっともっと親しみ易くなるだろう。そんなコンセプトで「サーフェス」の開発が始まったようです(あとで種明かしをいたしますが、ユーザがどこを触ったか表面で直接センスするiPhoneのタッチ方式と比べ、サーフェスは異なるメカニズムを持っています)。

  この「サーフェス」という製品は、アメリカでは昨年5月に発表され、それ以来メディアでも話題となっておりました。しかし、実物となると、ほとんど人の目に触れるものではありませんでした。広くお披露目となったのは、今年1月初頭のコンシューマ・エレクトロニクスショー(通称CES)あたりからでしょうか。


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  ラスヴェガスCES会場のマイクロソフトブースでは、群がる見学者を前に、サーフェスのさまざまなデモが行われました。

まず、写真のように、指や絵筆を使ってフリーハンドでお絵描きができるでしょう。画面上のパレットから好きな色を選べば、子供が画用紙に絵を描くように、ほんとに自由にお絵描きができるのです。


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   それから、デジカメをテーブルの上に置くと、あら不思議。撮影したデジタル写真が画面いっぱいに出てきます。
それを一枚、一枚、見やすいように指で動かしたり、二本の指を使ってビュッと拡大したりと写真を自在に扱えるのです。
もちろん、指定した写真をテーブル内蔵のパソコンのフォルダーに保存することもできますし、携帯電話など新たなデバイスをテーブルに置いて、そちらの方にコピーするなんて芸当もできるのです。保存やコピーをするのに、ケーブルなんていらないのです。

  このCESの頃から、幅広い分野のパートナーに試験的に導入されるようになり、たとえば、シェラトンホテルを持つスターウッド・グループでは、ホテルのロビーに置かれているそうです。顧客が自分で好きな音楽を選んで聴いたり、食事やドリンクをオーダーしたりするのに使われているようです。
理論的には、顧客が選んだ音楽を自分の携帯デバイスにコピーすることもできますが、これは著作権の問題が絡んできそうですね。


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  おもしろいもので、サーフェスはレストランでも応用できるのです。
たとえば、ワインを注いだグラスをサーフェスの上に置くと、バーチャル・コースターがピッと現れ、そのコースターの回りにワインに関する情報が出てきます。
これは何という種類のワインで、どこで採れたブドウを使ってどんなワイナリーで造ったかとか、このワインに合うお料理はどんなもの(food pairing)だとか、そんな細やかな情報ももれなく教えてくれるのです。
このワインは好きとか嫌いとか、自分で採点もできるようになっています。


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  わたしが実機を見たAT&Tショップでは、さまざまな携帯電話の紹介に使われていました。

こちらの写真は、CES会場で紹介された携帯キャリアT-Mobile向けのプログラムですが、AT&Tショップでは、たとえば、モトローラ「Razr2 V9」、リサーチ・イン・モーション「BlackBerry Curve」、そしてLG「Shine」といった売れ筋の機種をサーフェス上に置くと、各々の機能やサービスプランなどを的確に紹介してくれるようになっていました。
  それから、2台を同時に置き「Compare(比較)」というメニューを選ぶと、2台の機能紹介が並んで出てきて、さて、どちらがいいかなと吟味できるようになっているのです。
AT&Tでは、今年4月から本格的にサーフェスを各店舗に導入しているようです。

  こんな風に、サーフェスとはなにやらマジックのようなテーブルではありますが、種明かしをいたしますと、テーブルの表面はアクリル板になっていて、その表面を赤外線の発光ダイオードが底から照らし出しています。ユーザが表面を指で触ると、そこから反射した光をテーブルに内蔵する赤外線カメラ数台が逐一追い、「ユーザがどこを触ったぞ」という情報をWindows Vista搭載コンピュータに伝達する仕組みとなっています。

  上記のワイングラスやAT&Tショップの携帯電話などの物体の場合は、裏側や底の部分に小さなタグが貼られていて、これでサーフェス内蔵のコンピュータが機種や種類を識別し、各々の情報を画面に表示する仕組みとなっています。
  そして、サーフェス上に置いたデジカメから写真を取り出すというトリックには、デジカメにWiFi機能の付いたものを利用し、写真やデータの保存・コピー先として使用する携帯デバイスには、Bluetooth機能が付いたものを利用します。各種デバイスと内蔵コンピュータの間で近距離の無線通信を行い、データのやり取りを実現するのですね。

  わたしはAT&Tショップでサーフェスを見て、すごくありがたいなと思ったのでした。なぜって、これさえあれば、ショップ担当者が堂々と告げる「誤報」で顧客が振り回されることもなくなるからです。シリコンバレーあたりでは、ショップの担当者よりも顧客の方が製品に詳しいことも多々あります。だって製品仕様なんて、発売と同時にテクノロジーサイトで明らかにされるでしょう。だから、ときには、担当者よりも機械の方が安心な場合もあるのです。
  それに、何よりも、ショップにとってもありがたいのではないでしょうか。だって説明要員に大人数を雇うこともなくなりますので。とくにAT&Tショップでは暇そうな人が多いので、AT&Tのマネージメントもちょっと頭をひねったのかもしれませんね。1台買うのと、人を雇うのはどっちがお得かって。

<おまけのお話:iPhoneを出せるアップル>
  日本でもiPhone加熱はすごいらしいと、海を渡ってアメリカにも映像や情報が届いております。あの東京・表参道での華々しいカウントダウンは、CNNやシリコンバレーのローカルニュースでも目玉映像として取り上げておりました。

  当然のことながら、iPhoneはアップルの製品だから人気が出るといっても過言ではないわけですが、そのアップルを取り仕切るCEO(最高経営責任者)スティーヴ・ジョブス氏のことが、ちょっと心配なこの頃ですね。

  7月中旬、アップル本社のCEOフロアでジョブス氏を見かけた知り合いが、「もう信じられないくらいに痩せてたよ。腕なんか、ガリガリに細いんだから」と、ジョブス氏の様子を語っていました。
すると、それから間もなく、7月21日の第3四半期業績発表の後、アップルの株価はガクッと下がってしまいました。今期の利益は伸び悩みそうだとの予測もさることながら、「いよいよジョブス氏の健康状態は芳しくないんじゃないの?」との噂が駆け巡ったからです。
  ご本人は、4年前にすい臓ガン(摘出で完治する珍しいタイプ)を克服して以来、ちょっと栄養の面で問題があると近しい人に述べているそうですが、「ちょっと心配だなあ」というのが正直な感想ではあります。悪い噂をかき消そうと、ジョブス氏ご自身がニューヨーク・タイムズ紙のビジネスコラムニストに「大丈夫だよ」と電話をかけてきたそうですが、「もしかして、それってアップルお得意の作戦?」と、わたしなどはかえって懐疑心をあおられているのです。

  1997年、12年ぶりにアップルに戻ってきたジョブス氏は、それこそ目を見張るほどに会社の建て直しに成功しています。やはりアップルは、ジョブス氏でなくてはならないんです。

  そして、ここシリコンバレーには、これから世界に羽ばたく若者を叱咤激励してくれる名士がなくてはならないのです。
「自分が情熱を持てるものを探し出せ。自分の心に正直に生き、自らの直感を信じる勇気を持て。ハングリーであれ、おバカさんであれ!(Stay Hungry. Stay Foolish.)」と。

出典:これは、2005年6月のスタンフォード大学卒業式にてジョブス氏がスピーチした内容を抜粋したものですが、これほど美しく、ストレートに心に響くスピーチも珍しいものだと思います。

  全体は三部構成になっていて、一部では彼の人生を、二部では情熱を、三部では死を語っています。生れ落ちてすぐにジョブス家に養子に出されたスティーヴさんは、大学をドロップアウトし、ウォズニアック氏とアップルを創設して大成功を収めたものの、自分の会社をクビになり、新たに設立した会社がアップルに買収され古巣に戻るという、波乱万丈の人生を歩まれてきました。

  とくにすい臓ガンの摘出手術を受けてからは、「もし今日が最後だったら」という意気込みで生きてこられたそうですが、こんな風にも語っていらっしゃいます。「死こそ、生命の最上の発明だよ。だって、死は古いものを排除し、新しいものを迎えてくれる。だから、時間は限られているんだ。この限られた時間を他人の人生を送って無駄に過ごしてはいけないよ」と。

  ここで全文を和訳できないのが残念ですが、もし英語がお得意であれば、ぜひこちらをお読みください。

夏来 潤(なつき じゅん)

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