English Words 英語ひとくちメモ
2023年05月19日

IRL(In Real Life を略して)

<英語ひとくちメモ その160>

時がたつのは早いもので、久しぶりの英語のお話となります。


春も終わりに近づき、もう田植えの時期。自然界はまさに繁殖期(mating season)でもありますね。


カリフォルニア州サンノゼ市に住む親友は、こちらの写真を送ってくれました。


自宅の庭に見つけた、鳥の巣(bird’s nest)です。器用に編まれた巣の中には、4つの卵がお行儀よく並んでいます。


「ちょっと大きいから、ハミングバード(hummingbird、和名ハチドリ)じゃないみたいだけど、早くヒナを見てみたいわね」とのコメントでした。


彼女がハミングバードを例に出したのは、昨年、自宅のレモンの木に小さなハミングバードの巣を見つけたから。巣の中の卵からヒナがかえり、立派に巣立っていくのを、毎日見守っていたのでした。


その時の卵よりは大きいそうですが、かわいらしい卵には、ソバカスみたいな模様があります。これを見たわたしは、アメリカで愛用していたグリーティングカードを思い浮かべました。


マージョリーン・バスティン(Marjolein Bastin)さんというオランダ生まれのアーティストがいらっしゃって、彼女のお得意なテーマは、色鮮やかな小鳥や卵。彼女の作品を見て初めて、鳥の卵は色や模様のバラエティーに富んでいることを学んだのでした。


自然界は奥深い。「ところ変われば品変わる」という慣用句がありますが、まさに「ところ変われば、卵も変わる」といった感じでしょうか。


親友の庭の巣からどんなヒナが出てくるのか、楽しみなところなのです。



というわけで、本題に入りましょう。


今日のお題は、IRL


 英語には、TV(television、テレビ)のような略語が多いですが、こちらも略語ですね。


IRL とは、In Real Life の略で、「ほんとの世界で」といった意味。


Real は「本当の、リアルな」という意味ですが、Life は「人生」というよりも「日々の生活」といった意味合いです。


この「リアルな世界」に相対するのは、「仮想の(virtual)世界」。つまり、インターネット上の仮想空間でお話ししたり、会議をしたりするのではなく、「生身で」行動すること。


I talk to him every day, but I’ve never met him IRL

彼とは毎日お話しするけど、一度も会ったことがないのよ


ネット上でソーシャルネットワークが流行り始めたころには、「なんでも仮想空間で済むんじゃない」という思い込みも生まれました。が、これに対して「オフライン(offline)」の行動だって大事にしたい、という反発も生まれます。


その反発を表したのが、IRL


なんでもオンラインに頼りがちな昨今、そんな傾向に一線を画して「実世界」を強調した表現になります。


この in real life に似た言葉で、in person というのもありますね。


こちらはネット以前にも使われていた表現ですが、書面などに頼らずに、「面と向かって、顔を合わせて」という意味。


I’d like to meet with you in person

あなたに(対面で)お会いしたいです


コロナ禍を経験して、世界じゅうで直接会うことの意義が問われるようにもなりました。なにも、顔を突き合わせなくても、ネットで十分じゃない、と。


勤務形態だって「自宅勤務」が当たり前。


WFT、つまり Work From Home(家で勤務します)という略語も生まれました。


ビジネス界でも、どんなときに実際に会って話し合うのが効果的なのかと議論されるようにもなり、in-person-meeting という言葉も生まれています。


ひと昔前までは、ミーティングといえば、メンバー全員が会議室に揃って話し合いをすることでしたが、in-person-meeting(生身で集うミーティング)と特記しなければならないほど、時代は進化しています。


けれども、いつの時代も変わらないのは、実際に顔を合わせたときの効果。相手の目を見ながらお話しすると、こちらの意見も理解されやすくなりますし、相手がどう感じているかも手に取るようにわかりますよね。


まさに、IRL の効果なのです。



というわけで、上にも書いたように、英語には略語が多いです。


ご存じのものもあるかとは思いますが、ここでいくつかご紹介いたしましょう。


まずビジネスでよく使われるのは、FYI


 For Your Information の略で、「ご参考までに」という意味。


普通は、メールの最初(宛名のすぐあと)に書く略語ですが、口頭でも「エフ・ワイ・アイ」と言うことがあります。


「参考までに言っておきますけどね」と、自分の発言を強調するような時に使います。


ASAP もよく見る略語ですね。


As Soon As Possible の略で、「至急」の意味。


Please solve this technical issue ASAP

この技術的な問題を至急解決してください


やはり口頭で「エイ・エス・エイ・ピー」とか「エイサップ」と言うこともありますが、命令調なので、気をつけて使った方がいいでしょう。


ASAP は、切迫感があるわりに不明瞭なので、漠然と「なる早で」と言うよりも、「いつまでにお願いします」と期限を設けた方が好ましいかもしれませんね。


STAT というのも、これに類似した略語です。


こちらも「至急(immediately)」という意味ですが、おもに医療現場で使われます。至急検査や処置などが必要な時に、STAT とカルテに明記したりします。


なんでも、ラテン語の statim の略だそうで、ラテン語から派生した言葉の多い医学用語ならでは、といった感じですね。


お医者さんを真似して「スタット」と言うこともありますが、ASAP ほど一般的ではありません。


ビジネス用語でポピュラーなものでは、TBD というのもあります。


To Be Determined の略で、「あとで決めましょう」という意味。


たとえば、お仕事の項目リストを作った時、ある項目は「Done(済み)」、こちらは「TBD(あとで詳細を詰めましょう)」と、現状を把握するのに使います。


「これが決まっていないので、先に進めません」ではなく、「こちらはあとで詳細を検討することにして、とりあえず先に進みましょう」といったニュアンスでしょうか。


BTW というのもポピュラーな表現です。


メールでよく見かける略語ですが、By The Way(ところで)の略です。


ところで、こんな話もありますよ、と話題を変える時に使います。


RSVP というのも、ビジネスメールでよく見かけるものです。


もともとは Respond, if you please のフランス語からきているそうですが、「(出欠の)お返事をいただけますか」という意味。


こちらは、ちょっと気をつけたいですよね。もちろん、出席する場合は返事をすべきですが、欠席する際も返事をしておいた方が良いのではないか、と個人的には思います。


近頃は、アメリカでは invitation(招待状)もデジタル化されていて、YesNo に印をつけて Send(送信)ボタンを押せばいいというサービスも人気です。


よく「出席」と返事をしておいて、当日は現れないこともありますが、これなどはルール違反でしょうか。サンノゼ市のお向かいさんが立食パーティーを開いたら、no-show(事前連絡もないドタキャン)が何人かいて、ひどく憤慨していたのが印象に残っています。主催者は、出席人数を前提に準備するものですからね。


そして、ちょっと珍しい略語では、FYEO というのもあります。


For Your Eyes Only の略で、「あなただけに宛てたもので、情報共有は禁止」といった意味です。


「あなたの目だけよ」と面白い表現になっていますが、響きが流麗で、映画のタイトルにもなっていますね。


そう、かの有名なスパイ映画「007」シリーズ。1981年にリリースされた作品に『For Your Eyes Only(邦題:007 ユア・アイズ・オンリー)』というのがあります。


2代目ジェイムズ・ボンド役のロジャー・ムーアさんの5作目で、シーナ・イーストンさんが歌う同名のオープニング主題歌が大ヒットした作品。シーナさんといえば、この歌が代名詞にもなっています。


FYEO という略語は秘密めいていて、情報機関でもない限り、目にすることはないかもしれません。


けれども、For Your Eyes Only という表現は覚えていて便利だと思います。



ところで、映画「007」シリーズが出たところで、ちょっと発音のお話を。


この 007 というのは、ゼロゼロセヴンとは言いませんね。


英語では「ダブル・オウ・セヴン」と発音します。ゼロは「オウ」と発音し、ゼロが二つ続くので「ダブル(double)・オウ」となります。


AAA というのを「トゥリプル(triple)・エイ」と発音するのと同じですね。


AAA は、日本のJAFみたいなドライブお助けサービスなので、アメリカではよく耳にする名前です。


NAACP というアメリカの有名な団体もあります。こちらは人種間の平等を目指す市民運動の団体で、「エヌ・ダブル・エイ・シー・ピー」と呼びます。


AA とAが二つ続くところを「ダブル・エイ」と発音しています。


このような英語と日本語の発音の違いは、よくあるお話で、たとえば UFO


Unidentified Flying Object(未確認飛行物体)の略ですが、英語の発音は「ユー・エフ・オウ」です。「ユーフォー」と言っても、相手には通じませんね。


それから、日本語の SF も気をつけましょう。


Science Fiction(サイエンスフィクション)の略で、SF映画などと表現しますね。


けれども、英語では Sci-Fi というのが普通で、発音も「サイ・ファイ」となります。


日本語風に「エスエフ」と言っても通じませんので、どうぞご注意を。



というわけで、今日の話題は、IRL


生身の人間ですから、In Real Life でリアルにお話ししたいのが人情なのです。


コロナ感染の広がりも収束に向かっていて、これからは、人の行き来も増えるばかり。


リアルに顔を合わせたり、実際に観光地を訪れたりと、楽しいことが増えていきますね!



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