English words
英語ひとくちメモ/おもしろ表現
English Words 英語ひとくちメモ
2021年06月06日

Light at the end of the tunnel(トンネルの向こうの光)

久しぶりの英語のお話となりますが、今日は、こちらの慣用句をどうぞ。



Light at the end of the tunnel



直訳すると、「トンネルの端っこ(向こう)の光」ということですが、



「暗いトンネルの先に輝いて見える光明」といった感じでしょうか。



こちらは、とってもポピュラーな言い回しで、普段は、こんな風に使います。



I see the light at the end of the tunnel

トンネルの先に光が見えてきた



もうおわかりのように、「トンネル」というのは困難な問題とか難しい状況をさしていて、「光が見えてきた」というのは、解決策が見つかって難しい状況をもう少しで脱出できることを意味しています。



つまり、真っ暗なトンネルや、その向こうに輝く光は比喩的な表現ではありますが、文字通り、情景が目の前に浮かんできそうな慣用句ですね。



トンネルを抜けると景色がガラッと変わることは、誰もが一度は体験したことがあるでしょう。ですから、とってもわかりやすいと、親しまれる表現となったのでしょう。




それで、どうしてこちらの慣用句をご紹介しようと思ったのかというと、先月(5月)中旬、こんなニュースが流れたからでした。



カリフォルニア州南部のロスアンジェルス郡では、7月の中旬か下旬には、新型コロナウイルスに対する集団免疫(herd immunity)ができるかもしれない、と。



Los Angeles County could reach herd immunity by mid to late July



その頃には、住民の大部分がワクチン接種を完了して、ウイルスに対して中和抗体を持つようになり、ウイルス感染への恐怖から解放されるかもしれない、と。



これを聞いた住民の男性は、テレビ取材に対して、こうおっしゃったのでした。



Now I see the light at the end of the tunnel

ようやく希望の光が見えてきた



北カリフォルニアのシリコンバレーに住む友人によると、「カリフォルニア州は6月15日には元どおりの生活に戻すそうよ(California plans to fully reopen on June 15th)」とのこと。



この reopen という表現は、自宅待機命令や営業制限を解き、経済活動が再開するという意味で、fully reopen というわけですので、日常生活がすっかり元どおりになることをさしています。



「ワクチン接種をした人は、マスクもソーシャルディスタンスも必要なくなるのよ(No mask and no social distancing required for vaccinated people)」とも教えてくれました。



自分自身がちゃんとワクチン接種をしていれば、病気に感染する確率も低くなるので、マスクもソーシャルディスタンス(英語ではソーシャルディスタンシング)も求められなくなる、というわけです。



ところが、ロスアンジェルス郡の明るい発表から3週間たってみると、思ったほどにワクチン接種が広がっておらず、8月にならないと集団免疫はできないだろう、と郡関係者は述べています。



郡は「16歳以上の住民の8割が少なくとも1回はワクチン接種をする」ことを目標としていて、そのためには、あと110万回ワクチンを打たなければならない。現在の週に10万回のペースでは、8月下旬にならないと集団免疫ができそうにない、とのことでした。



6月15日にカリフォルニア州全体が再稼働できるのかは、雲行きが怪しくなっていて、段階的に規制を緩めていくのだと思われます。が、もはや再開は時間の問題。「トンネルの先の光明」はちゃんと見えているのです。




というわけで、今日のお題は、light at the end of the tunnel



この慣用句を使って、サンフランシスコのレストランからとってもステキなご挨拶をいただいておりました。



ハンバーガーをテイクアウトした時に、袋にホッチキスで留めてあった紙切れなんですが、こういった文章です。



We understand you have a lot of options for food.

あなたにとってはたくさんの食べ物のチョイスがあることを私たちは知っています



We appreciate you choosing us for this meal.

この食事のために私たちを選んでいただいたことに深く感謝いたします



Let’s try to pull together and see the light at the end of this tunnel

みんなで結束して、このトンネルの向こうに光を見られるように頑張りましょう



そう、「このトンネル(this tunnel)」というのは「コロナ禍」のことですが、なかなかうまいことを言うものだと感心して、この紙切れは大事に日本に持ち帰ったのでした。



袋の中には、モヒカン刈りのラバーダック(rubber duck)も入っていて、こちらも大事に連れて帰りました。



このレストランは、The Fly Trap(ハエ取り器)というヘンテコリンな名前で、以前ご紹介したことのある2番通り(2nd Street)とフォルサム通り(Folsom Street)の四つ角近くにあります。



こちらは、19世紀末から営業している古参のレストランで、「ハエ取り器」という名前は、その昔、料理のサンプルにハエがたかるのでハエ取り器で覆っていたところ、お客たちが親しみを込めて「Fly Trap」と呼んだところからきているとか。



以前もご紹介したように、南北に走る2番通りは、街の南にある港湾部とダウンタウン地区を結ぶ幹線道路となったところ。19世紀末から20世紀初頭にかけては馬車や家畜が行き交い、馬や牛のまわりにはハエがブンブン。当然のことながら、近くで営業していたレストランは格好の餌食となったのでした。



わたしにとって、この辺りは住み慣れた場所ではありましたが、「うなぎの寝床」のように細長い、黒光りする木造りのレストランは訪れたことがなく、テイクアウトもたった一度だけでした。



このコロナ禍では、サンフランシスコの老舗レストランが次々と廃業しています。『ハエ取り器』の歴史の火が消えませんように! と、ちょっとスパイシーなハンバーガーの味を思い出しつつ、陰ながら応援しているところです。




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