English words
英語ひとくちメモ/おもしろ表現
English Words 英語ひとくちメモ
2016年02月12日

Stupid(おバカな)

 今日のお題は、ずばり stupid

 

 よく耳にする形容詞で、「愚かな」という意味。

 

 誰かと言い争いをしているとき、

 

 You are stupid!

 あなたってバカね!

 

 と、言いたいことがあります。

 

 もっと強い口調で

 

 You are so stupid!

 あなたって、ほんとにバカね!

 

 と、言い放ちたいこともあります。

 

 あまり好ましくない形容詞ですが、stupid は、日常生活でよく使われる言葉です。

 

 どちらかと言うと、「深い思慮に欠けてしまって、論理的な思考や判断ができない」ことを表します。

 

 何かの原因で一時的に判断力がにぶり「愚かになっている」といった意味合いが強いでしょうか。

 

 You tend to make stupid decisions under stress

 ストレスを感じているときには、愚かな判断を下しやすいものです

 

 まあ、口喧嘩をしていて You are stupid! と叫ぶときには、「あなたって(生まれた時から)いつまでたってもおバカさんね」と言いたいこともあるのでしょうから、stupid には「生まれつき愚か」という意味合いも無くはないのでしょう。

 


 それで、日本の学校では、「愚か」を表す英単語として fool を習うかもしれません。

 

 形容詞は foolish ですが、こちらは「ばかばかしい、おかしなくらい馬鹿げている」といったニュアンスがあり、同じ「愚かしさ」を表す言葉であるわりには、stupid とは違った意味合いがあります。

 

 どちらかと言うと、「道化師の愚かしさ、軽々しさ」を思い浮かべるような言葉で、シェイクスピアに出てきそうな文語的な感じもするでしょうか。

 

ビートルズの有名な曲に The Fool on the Hill というのがあります。
(写真は、The Fool on the Hill が入っているアルバム Magical Mystery Tour

 

 『丘の上の馬鹿者』というわけですが、

 

 歌の冒頭は、

 

 Day after day

 Alone on a hill

 The man with a foolish grin is keeping perfectly still

 But nobody wants to know him, they can see that he’s just a fool

 

 「毎日、毎日、丘の上でひとり、愚かな笑みをたたえた男がじっとしている。でも、誰も彼を知りたくない、だって彼はただの愚か者だから」と、おかしな男性の描写で始まります。

 

 この場合の the man with a foolish grin や、he’s just a fool というのは、「誰にも理解できない、一般常識を超越した変なヤツ」といった感じ。

 

 ですから、stupid の表す「理屈が理解できない、思慮の浅い」といった意味とは、ちょっと異なるでしょうか。

 


それから、stupidfoolish と似た言葉には、

 

 silly という形容詞もあります。

 

 けれども、こちらは軽めのニュアンスでしょうか。

 

 たとえば、誰かが冗談めかしたことを言ったりすると、

 

 Oh, you’re silly

 もう、おバカさんなこと言ってぇ

 

 と、軽くあしらう感じでしょうか。

 

 「軽めに愚か」と言うと、goofy という形容詞もありますね。

 

 She looked goofy in that dress

 あのドレスを着た彼女って、変だったよねぇ

 

 といった風に使います。

 

 この goofy が「おかしな人」という名詞になると、

 

 goofball となります。

 

 どちらかというと、「コメディアン風のおかしな人」とか「努力を怠るなまけ者」といった感じのする言葉でしょうか。

 


 ところで、「愚か者」とか「おバカさん」と言えば、面白い表現もあります。

 

 たとえば、

 

 bonehead(頭が骨でできている人)

 bubblehead(頭がシャボン玉の人)

 airhead(頭の中が空っぽの人)

 

 いずれも名詞形ですが、悪口を言うときに使います。

 

 それから、

 

 moron(とってもおバカさん)というのもあります。

 

 Oh, I was such a moron

 もう、僕ってほんとにバカだねぇ

 

 などと、自分のミスに対して腹立たしいときにも使います。

 

 いずれにしても、自分自身に対して使うのはいいですが、誰かに対して使う場合は、くれぐれもご注意を!

 


 というわけで、奥が深い stupid

 

 どうして藪から棒に stupid の話をしているのかというと、先日、大好きなイギリスのドラマを観ていて、二日続けてこんな表現が出てきたからでした。

 

 You are a stupid woman!

 お前は、愚かな女だよ!

 

 いえ、二つ違うドラマだったのですが、連チャンで stupid が登場したので、イギリスの「おじさま」って紳士のはずなのに、奥さまに対して、こんな悪口を言うんだぁ、と驚いたのでした。

 

 けれども、stupid と言われた奥さまだって、黙っているわけではありません!

 

 最初のドラマでは、You are a stupid woman! と言われた瞬間に、荷物をまとめて家から出て行きました。

 

 その直後、息子は殺人で逮捕されるし、「愚かなお前にはわからないさ」と言っていた高尚なビジネスは、戦時下の敵国との違法取引と暴露されるし、おじさまは、絶望の果てにピストル自殺を図るのです。

 

 次のドラマでは、おじさまが標的となり裏庭で殺されそうになるのですが、犯人に二階の窓辺に連れて行かれた車椅子の奥さまに対して、おじさまがこう叫ぶのです。

 

 Do something! Call the police!

 お前、(黙って見てないで)なんとかしろよ! 警察に通報しろ!

 

 それに対して、奥さまは何もしないどころか、犯人に「こうしたら?」などと助言をしているので、

 

 You are a stupid woman!

 お前は、なんて愚かな女なんだ!

 

 と叫びながらも、間もなく息絶えるのです。

 

 翌朝の事情聴取では、「今まで何年も連れ添ってきたから、半分くらいは悲しいけれど、正直に言って、あの人がいなくなって半分はすっきりしたわ」と、率直に述べる奥さまでした。

 

 そう、stupid という言葉を浴びせるということは、日頃から尊敬の念(respect)が足りないってこと。

 

 そんな風に stupid などと言われたら、その反動は怖いんですよね!

 

 


蛇足ではありますが:

 大好きなイギリスのドラマというのは、こちらの二つです。

 

 ひとつ目は、『Foyle’s War(邦題:刑事フォイル)』シリーズ2、第3話「War Games(作戦演習)」。

 

第二次世界大戦下のヘイスティングス(Hastings)を舞台とした刑事物で、主人公はベテラン警視正であるわりに「私は警察官だ(I’m a police officer)」と名乗る、物静かなクリストファー・フォイル。

 当時、イギリスには敵国との商取引を禁止した法律が布かれていたが、作戦演習が行われた大邸宅では・・・。

 

 二つ目は、『Midsomer Murders(邦題:バーナビー警部)』シリーズ8、第6話「Hidden Depths(蔵の中)」。

 

 こちらは、現代の架空の田舎町ミッドサマーが舞台。のんびりとした田園風景で起きる殺人事件を、バーナビー警部と部下のコンビが次々と解決する刑事物。

 「蔵の中」とは、ワインを貯蔵する蔵のことですが、ニセのフレンチワインが仕込まれ・・・。

 

 日頃から、イギリス人と日本人は似ているところが多く、そのまま日本人が演じても、立派にストーリーは成り立つんじゃないかと思っていて、それが、イギリスのドラマにひかれる理由かもしれません。

 

 原語で鑑賞されることがあったら、ぜひ stupid の箇所をお楽しみくださいませ。

 


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