ちょっと待った!: ティーパーティー暴走中

2010年10月28日

Vol. 135

ちょっと待った!: ティーパーティー暴走中


 いろいろと耳になさっていることとは思いますが、アメリカでは、大事な中間選挙が間近に迫っています。そこで、今月は、そんな選挙のお話などをいたしましょう。


<ティーパーティーの怪>
 アメリカでは、11月最初の火曜日は「投票の日(Election Day)」となっています。 今年は11月2日が投票日になり、全米で中間選挙が行われます。
 大統領の4年の任期の中間に当たるので「中間選挙(midterm elections)」と呼ばれますが、連邦上院議員の3分の1、連邦下院議員の全員、一部の州知事や州議会議員から、市長、市議会議員、ローカルな役職までと、全米で一斉に投票が行われるのです。

 2年前のこの日には大統領選挙が行われ、連邦上院議員一期生のバラク・オバマ氏が次期大統領に選ばれました。

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 ところが、昨年1月にオバマ氏が大統領に就任したあたりから、少しずつ不満の種が頭をもたげ、昨年の夏あたりになると、アメリカ全土に飛び火し始めます。一度火がつくと、まるで山火事のように勢いを増し、その「ティーパーティー(Tea Party、茶会)」という名の運動は、広く国民の知るところとなりました。

 日本でも報道されていますが、今アメリカでは、このティーパーティー運動が旋風となって吹き荒れているようです。オバマ大統領に敵対する共和党の中でも、とくに急進的な保守派を指し、「オバマ政権をやっつけろ!」という号令のもと、もともと保守的な中西部や南部を中心に勢いをつけています。

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 なにせ今は、ホワイトハウス、連邦議会の上院・下院と、すべからく民主党に握られている御代。まずは、連邦議会をひっくり返そうではないかと、声高なシュプレヒコールがこだましています。
 「税金を貧乏人に使うのは止めろ!」「不法移民なんて即刻国外追放しろ!」「医療改革なんて余計なことは止めろ!」「オバマはヒットラーと同じ独裁者だ!」

 まあ、リベラルな人間の多いカリフォルニアでは支持者はあまりいないので、わたしなどは、遠い対岸の火事場を見物しているような気分でティーパーティー旋風を眺めているところではあります。

 その「対岸の火事場」で有名なのが、デラウェア州の連邦上院議員選でしょうか。9月の予備選挙でベテラン議員を破り共和党候補に選ばれたクリスティーン・オドネル氏は、まさにティーパーティーの申し子ともいえる人です。が、きっと口八丁の人物なのでしょう。過去に何回か連邦議員の座をミスった今は、保守派の番組で政治コメンテーターをしています。

 そんな彼女の有権者向けテレビコマーシャルは、こんな自己紹介から始まります。「わたしは魔女ではありません(I’m not a witch)。」
 どうして「魔女」が選挙コマーシャルに登場するのかは、遠いカリフォルニアにいるわたしにはまったくわかりません。
 

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 このオドネル氏、さすがにティーパーティーからお墨付きをいただくだけあって、科学がお嫌いのようです。
 たとえば、ダーウィンの進化論などは科学者の絵空事であり、旧約聖書の創世記こそが地球の歴史だと信じているタイプの人なのです。

 そんな彼女が、民主党の対立候補との討論会に出席しました。熱心な宗教家の彼女は、「憲法のいったいどこに『政教分離』が掲げてあるのよ?」と、お相手のクリス・クーンズ氏に食ってかかります。
 すると、クーンズ氏は冷ややかに答えます。「この質問でわかるように、彼女は我々の憲法をまったく理解していない。(中略) 政教分離は、米国憲法修正第1条に記されているのだ」と。

 ま、彼女にとっては相手が悪い。なぜならクーンズ氏は弁護士ですから。そして、討論会が開かれた場所も悪かった。だって大学の法学科(ロースクール)で開かれ、聴衆の多くは法学を専攻する学生だったから。
 「え、修正第1条? そこに政教分離という言葉が明記されているとでも言うの?」と悪あがきをする彼女が、聴衆の失笑を買ったのは言うまでもありません。

 ちなみに、米国憲法には「政教分離(separation of church and state)」という言葉自体はありません。けれども、修正第1条(the First Amendment to the U. S. Constitution)には「議会は、宗教を設立したり、自由な信仰を妨げたりする法律をつくってはならない」とあって、これが政教分離を指すと理解されています。

 というわけで、科学が嫌いなオドネル氏は、難しく書かれた憲法だって自分に都合のいいように解釈しているのでしょう。

 アメリカでは、「憲法を守る」ことは、自国への忠誠心と同義語だと解釈されています。この場合の「守る」には「support and defend the Constitution」という言葉が使われ、単に規則を守るのではなく、「力づくでも国内外の敵から守り抜く」というニュアンスを含んでいます。
 たとえば、米国市民の宣誓(oath of allegiance)や軍隊入隊の宣誓(oath of enlistment)にもこの句が登場するわけですが、そんなに大切な憲法を理解していないのでは、この国で政治家など務まらないでしょう。

 そして、どうやらデラウェア州民の多くもそう思っているようではあります。


追記: 興味深いことに、デラウェアのお隣ペンシルヴェニア州では、クリスティーン・オドネル氏の名が、お仲間の選挙運動の妨げともなっているようです。
 「あんなのでいいのか?」との対立候補の問いかけに、かなりの有権者がティーパーティー候補から民主党候補に乗り換え、今はどちらが勝つかわからない状態だと。

 ちなみに、ペンシルヴェニアは、アメリカの2、3年後の動向を占うには格好の州(bellwether state)とされています。カリフォルニアは10年先を行っているので、あまり当てにはならないそうです。


<IT業界から大転身?>
 カリフォルニア州では、ティーパーティーほど奇異な旋風は吹き荒れていませんが、やはりヘンテコな現象が起きています。それは、まったくの政治の素人が、いきなり重要なポストに就こうとしていることでしょうか。
 しかも、IT業界から政治の世界へと大転身を図ろうとしているのです。
 

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 ひとりは、メグ・ホイットマン氏。ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、彼女は、オークションサイト・イーベイ(eBay)の元CEO(最高経営責任者)で、「ドットコム・バブル」と呼ばれたネット企業の爆発期に巨万の富を築いた人物です。
 彼女は共和党から出馬し、アーノルド・シュワルツェネッガー知事の後釜を狙っています。

 そして、もうひとりは、HP(ヒューレット・パッカード)の元CEO、カーリー・フィオリナ氏。彼女は共和党候補として連邦上院議員の座を狙っていて、三期18年のベテラン現職・バーバラ・ボクサー民主党議員を引きずり下ろそうとがんばっています。
 彼女はホイットマン氏ほどの財力はありませんが、HP在任中、かなりの契約金や年棒、そして何十億円という「さよならボーナス」をもらっています。
 

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 このフィオリナ氏のことは過去に何度かご紹介したことがありますが、2002年、彼女はHPとコンパック・コンピュータ(Compaq Computer)の合併を押し通し、その後、二社の融合が芳しくなかったという大きなつまずきがありました。
 その過程では、およそ3万人の従業員が解雇されたようで、シリコンバレーでもコンパック本社のあったテキサスでも、彼女を良く思わない人は多いことでしょう。

 結果的には、彼女はCEO職を解任されています。

 ホイットマン氏の方は、それほど大きな失態はありませんが、バブル期のイーベイの爆発的人気にあぐらをかいて、それ以上の企業に成長させられなかったという経営判断の甘さがありました。(たとえば、進出が遅れた日本市場からはイーベイは撤退しています。それから、インターネット電話のスカイプ(Skype)を高値で買収しましたが、両社の相乗効果を見出せず、4年後には売却するハメになりました。当時アメリカでオークションサイトを利用するユーザ層は、インターネット電話には興味がなかったのですが、自社の顧客層を理解していないというのは、かなり致命的な判断ミスかもしれません。)

 そんなこんなで、自分から辞職したことにはなっていますが、ちょっと居づらい部分があったのでしょう。

 まあ、IT企業のCEOの座を追われようと、もしかしたら政治家には向いているのかもしれません。ただ、このふたりには、「過去30年ほど、一度も投票したことがない」という汚点があるのです。
 投票をしたこともないような人間が、いきなり「カリフォルニア州知事」や「米国上院議員」になれるのか? と、彼女たちの資質を疑問視する有権者も多いのです。

 そして、とくに州知事を狙うホイットマン氏は、その財力に物をいわせ、自身の選挙運動に巨額の私財を投入しています。これまで1億4千万ドル以上(約116億円)を自分の懐からつぎ込んでいて、すでにそのほとんどをテレビの選挙運動に使い果たしています。
 ですから、カリフォルニア州民は、連日連夜テレビをつけるとホイットマン氏の顔を拝み、民主党対立候補のジェリー・ブラウン州司法長官の悪口を聞くことになるのです。
 一説によると、ホイットマン氏は週に3億円以上をテレビコマーシャルにつぎ込み、おかげで州民は一日に26回も彼女の宣伝を観ている計算になるそうです。

 まあ、そのわりには、ホイットマン氏もフィオリナ氏も形勢不利ではあるようですが。

 深夜コメディー番組のホスト、コメディアンのジェイ・レノ氏が、ホイットマン氏に関して粋なジョークを発していました。

 She thinks that the job goes to the highest bidder.(彼女は、州知事職が一番高く値をつけた人間に落札されると思っている。)

 ふふっ、なかなか的を射たジョークですね。まったく、金と暇を持て余す人間は、余計なことしか考えないのですから!

 さて、最後はガラリと話題が変わりまして、スポーツ界のお話にいたしましょう。


<PGAがやって来た!>
 PGAというのは、アメリカのプロゴルファー協会(the Professional Golfers’ Association of America)のことですね。表題の「PGAがやって来た」というのは、恐れ多くも、そのPGAが主催するプロのトーナメントがやって来た! という意味です。

 それで、どうしてこれが話題になるのかというと、シリコンバレーでPGAトーナメントが開かれたのは初めてのことだからです。

 まあ、「ゴルフなんかに興味はない!」なんておっしゃらずに、どうぞおつきあいくださいませ。
 

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 PGAのトーナメントがやって来たのは、シリコンバレー南端の街サン・マーティンにある「コードゥヴァル(CordeValle Golf Club)」というゴルフ場。モダンなコテージの宿泊施設もあって、広いぶどう畑とワイナリーが隣接します。
 ここはプライベートのゴルフ場なので、一般には開放されていません。が、ゴルフ場たるもの、いつかはPGAのイベントを呼んでやるぞ! と、近年コースの改善に努め、とうとう今年からPGAツアー(PGA Tour)を呼べることになったのでした。
 

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 ま、PGAが来るとしても、いきなり有名なイベントが来ることはありません。「一見さんのゴルフ場」は、下積みから始まるのです。
 ここで10月14日から17日まで開かれたイベントは、フライズドットコム・オープン(Frys.com Open)という名の「秋期シリーズ(Fall Series)」のイベントでした。
 大きなイベントもすべて終え、2010年の賞金ランキングもおおかた決まった10月には、今季不調だったゴルファーたちが参加するイベントが開かれます。この5つのイベントが「秋期シリーズ」と呼ばれるのです。

 そして、シリコンバレー初のPGAトーナメント「フライズドットコム」は、シリコンバレーらしく、コンピュータ/関連機器の大型販売店フライズ(Fry’s)がスポンサーとなっています。そう、店内にはテクノロジーギークたちがひしめき、店員に尋ねるよりも、その辺の客に質問をした方が的確な答えが返ってくるという、不思議なお店です。
 フライズは、ゴルフにも熱心で、シリコンバレー南端の丘に自分たちの専用ゴルフ場を持っています。従業員やゲストのみプレーできるそうですが、なかなかいいゴルフ場だと聞いています。

 せっかくシリコンバレーで開かれていることですし、日本の今田竜二選手が参加しているので、2日目に見学に行ってみました。
 

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 この日は、前日のうだるような暑さが残る好天で、日陰にいてもジワッと汗をかくような陽気。平日なのでギャラリーも少なく、「好きな選手はいくらでも見られる」といった、のどかな雰囲気が漂います。やはり、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンなどの超有名選手が出場していないので、いまいち話題性に欠ける部分があるのかもしれません。
 けれども、さすがにPGAのイベントだけあって、何度もプレーしたことのあるゴルフ場が、まるで「別人」のようになっているではありませんか。クラブハウスのまわりには、ものものしくフェンスが張り巡らされ、ホール沿いには見学用のスタンドやテントが建ち並びます。
 

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 そして、いつもはゴルフショップの裏口を出ると、そこが1番ホールなのですが、このイベントでは前半9ホールと後半9ホールが入れ替わっていて、1番ホールが10番となっています。(写真は10番ティー、オーストラリアのステュアート・アップルビー選手)
 変な話ですが、新しく10番となったコースの上には、電線が何本かかかっていて、ちょうどティーオフした球がこれに当たることがあるのです。2回連続で電線に当てた奇特な友人がいますが、このトーナメントでも、電線に当てたプロがひとりいましたね。
 これが「ホールインワン」の扱いになってくれれば嬉しいのですが、そうもいきません。電線に当てる確率もかなり低いとは思いますが、この場合、打ち直しとなりました。
 

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 さて、せっかく日本人選手が出ているのだからと、この日は今田選手に付いてまわったのですが、彼は淡々とゴルフをするスタイルのプロ。意外にも一番おもしろかったのは、ギャラリーの方かもしれません。
 2番ホール・パー4は右側に深いラフがあるのですが、今田選手と一緒にラウンドしたJ.B. ホームズ選手の球がラフにつかまってしまいました。彼は飛ばし屋なので、ときに右へ左へと大きくはずすことがあるのです。
 アメリカの(とくにPGAの)ラフはきついので、真上から見なければ球は見つかりません。同じ組の今田選手とパット・ペレス選手、そしてキャディー全員と審判も加わって球探しが始まったのですが、なかなか見つかりません。そこで、やきもきしたホームズ選手のファンが「よし、僕も参加する!」と、いきなりコースに繰り出し、球探しに加わったのです。

 じきに球は見つかってペナルティーもなかったのですが、このファンの奥さんの言い分がおもしろい。「あなたがギャラリーだって誰にもわからないわよ!(You can blend in)」と、堂々とダンナを送り出すのです。(もちろん、ギャラリーはコースへは入れませんよ!)
 球が見つかって誇らしいのか、ファンのおじさんが涼しい顔で審判と一緒に戻って来るのが、「なんともアメリカらしい!」と印象に残ったのでした。
 

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 そんなのどかな2日目でしたが、わが今田竜二選手は、初日の好調を保ってプレーにブレがなく、この日は4アンダーで通算10アンダー。初日の2位タイから単独2位となったのでした。
 3日目になると、若干出入りが激しくなりましたが、まだまだ通算12アンダーの3位タイ。最終日へと大きく望みをつなげます。

 そして、冷たい雨の降る最終日。いまいちリズムに乗れない中、この日は2つ落として10アンダー。惜しくも6位タイでトーナメントを終えたのでした。
 15番パー5では短いパットが入らず、みすみすバーディーを逃したのですが、これが雨上がりの猛チャージの火種を消してしまったのでしょう。
 

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 このイベントは、超有名選手こそいないものの、実は、人気者がたくさん参加していました。たとえば、飛ばし屋で有名なジョン・デイリー選手や、昨年プロデビューを果たした21歳の新星、リッキー・ユタカ・ファウラー選手。
 彼は、母方の祖父が日本人ですが、160センチを若干超える小柄の体からは鋭い長打が出るので、近頃とみに人気上昇中です。その「やんちゃ坊主」のような風貌から、日本の石川遼選手と同じく、女性ファンも多いのです。(オレンジのシャツの選手)
 

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 そして、忘れてはいけないのが、このイベントで優勝したロコ・メディエイト選手。最終日、17番パー4を2打目でスコンと入れるなど、4日間連続してイーグルを出し、優勝に花を添えてくれました。
 ロコさんは、もうシニアツアー目前の47歳のベテランですが、2008年の全米オープンでは、タイガー・ウッズと18ホールのプレーオフを闘い、惜しくも19ホール目で負けてしまったという経歴を持ちます。そんな緊迫した中でも、屈託ない笑顔とお茶目なジェスチャーを見せる彼は、一躍「スターゴルファー」の仲間入りを果たします。

 が、なにせPGAツアーで勝ったのは8年前が最後。そんなわけで、今回の優勝は、まさに悲願の勝利となりました。「勝ちたいけど、勝てない」のは、スターであっても避けられない苦い味なのです。

 冒頭で「秋期シリーズには、おもに今季不調だったゴルファーたちが参加する」とご説明しました。しかし、これは実に過酷なものでして、シリーズが終わって米国賞金ランキング125位以内に食い込まないと、向こう2年間のPGAトーナメントの出場権がもらえないのです。
 となると、ひとつひとつ予選から勝ち登らなければ出場できません。

 そして、125位以内のPGAトーナメントプロといっても、いつその立場を追われるかはわかりません。PGAツアーの下には、ネーションワイド・ツアー(Nationwide Tour)というのがあって、ここの上位25人には翌年のPGAツアー出場権が与えられます。
 とすると、勢いに乗る彼ら新人くんに蹴落とされない保証などありません。

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 さらに、このネーションワイド・ツアーの下には、「Qスクール」と呼ばれる予選トーナメント(Qualifying Tournament)があって、こちらの上位25人にはPGAツアー出場権が、次の上位50人にはネーションワイド・ツアーの出場権が与えられるのです。
 そう、ゴルフ界はピラミッド構造になっていて、順繰りに下から上へと、絶えず新しい人材が流入してくる仕組みになっているのです。(写真は、試合前のプロの練習風景)

 ですから、優勝したロコさんでさえ、こんな苦しいコメントを残したそうです。「ほんの30分前まで、Qスクールに出るつもりでいたんだよ。でも、もう心配ない。また(来年も)仕事ができる」と。
 今田選手も、このイベント前は米国ランキング110位だったので、6位タイという成績でランクを上げ、胸をなでおろしたことでしょう。

 今年6月号では、全米オープンに出場した石川遼選手のことを書きました。そのときは、プロに付いてまわって、コースの過酷さにただただ閉口していたのでした。
 そして、今回は、秋期シリーズに出場する有名選手たちに触れて、プロゴルファーという華やかな職業の厳しさを痛感したのでした。

 いくら好きなことでも、来る日も、来る日も崖っぷちに立たされれば、嫌になることもあるのかもしれません。
 けれども、プロの仕事は、ファンに夢を与えることでもあるのです。自分が夢を与えられると思える間は、やってやるぞ! という気になるものなのでしょう。


お断り: 本来は、プロのトーナメントは撮影禁止なのですが、文中にはアップルiPhoneで撮った写真も掲載いたしました(ゴメンなさい、PGAさん)。いえ、普通は、携帯電話は持ち込み禁止なのですが、このイベントはシリコンバレーで開かれたせいか、「ケータイOK」だったんですよ。

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 丘の上には、大手携帯キャリアのヴェライゾン・ワイヤレスとAT&Tモビリティーのアンテナトラックが来ていて、準備も万端(赤いのがヴェライゾンで、白いのがAT&T)。ここで電波が届かないなんてことがあったら、それこそ大失態ですものね。

 それから、ここのコースは素人には難しく、個人的には普段より10打は余計にたたくと思うのです。が、プロにとっては、距離を伸ばしても易しいようですね。ですから、話題づくりのために「ホールインワン」も可能な短いパー4を残して、8番から終盤の17番に持って来た。だから、前半と後半が入れ替わっていたようです。
 ま、ゴルフだって、視聴率を稼がなければならない商売ですからね。


夏来 潤(なつき じゅん)

 

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