Life in California
ライフ in カリフォルニア/歴史・習慣
Life in California ライフ in カリフォルニア
2008年11月05日

ハッピーハロウィーン

ご存じ、10月31日はハロウィーン(Halloween)でしたね。

そういえば、ハロウィーンについては、今まであまり書いたことがありませんでした。アメリカを代表するようなイベントなのにと、ちょっと不思議に思われたかもしれませんが、それは単にハロウィーンのときに日本にいることが多いからなのです。

毎年、ハロウィーンともなると、東京のお店を借り切ってハロウィーン・パーティーを企画するというのが、連れ合いとスタッフの年中行事となっていて、わたしも例年それに参加させてもらっているのです。
 ハロウィーンを始めた頃は、オフィスで細々とやっていたのですが、年々規模が大きくなって、今年は80人がコスチュームに身を包んで登場しました!


けれども、今回のハロウィーンは、わたしはサンノゼの家でお留守番。

久しぶりのアメリカのハロウィーンとなりましたが、今年はしっかり「居留守」を使わせていただきました。いえ、べつにチョコレートを買うお金を惜しんだわけではありません。ひとりとなると、ちょっと恐いのです。

なぜって、何年か前、我が家で子供たちにお菓子配りをしていたときに、ヒヤッとする思いをしたからです。

ピンポーンと音がするので、かわいい子供たちかと思って勢いよくドアを開けたら、そこにはティーンエージャーの男の子と女の子が十数人、みんなでしゃがんでジ〜ッとこちらを見ていたのです!

中には「死神」みたいなコスチュームもいたので、暗い中で見るとギョッとするではありませんか。一瞬、心臓が止まるかと思いましたよ。

よく見てみると、この子たちはみんなアジア系で、女の子のひとりは日本の浴衣(ゆかた)を着ていたりと、それなりに親近感は沸いてくるのです。それに、お菓子をあげるとひとりずつお礼も言うし、べつに恐いティーンたちではありませんでした。

でも、悲しいかな、女の子の着物が右前になってる!(ちょっと注意しようかとも思いましたが、面倒くさいのでやめました・・・それにしても、困ったもので、アメリカ人にはこの勘違いが多いですね!)


こんな風に、ハロウィーンの晩に子供たちが家々を練り歩く「Trick or Treat(いたずらか、お菓子か)」ですが、シリコンバレーの人たちは比較的お行儀がいいので、こちらが全部電気を消して「居留守」を使っていると、あちらも深追いはしません。黙って隣の家へと行き過ぎていきます。

「お菓子をくれないなら、いたずらするよ!」という根性は、さすがに無いみたいです。

まあ、「居留守」を使うにも、なんとなくルールがあるみたいで、玄関のポーチの電気を点けているかどうか、家のまわりや前庭に飾り付けをしているかどうかが、ハロウィーンに参加しているのか、それとも不参加なのかの意思表示になるようですね。

やはり、キリスト教徒の中にはハロウィーンを好まない人もいるみたいなので、そういう人は参加しないし、そんなことには関係なく楽しみたい人は参加する、といった感じでしょうか。

何と言っても、もともとハロウィーンは、キリスト教徒からすると「邪教」の習慣から来たものですからね。

そうなんです、ハロウィーンは、あの世とこの世の垣根が薄くなって死者の魂が徘徊(はいかい)すると信じられていたケルト人の新年(グレゴリオ暦では10月末)に由来するものなのですが、これがカトリックの万聖節(諸聖徒や殉教者の霊を祭る日)の前夜ということもあり、Eve of All Hallows(すべての神聖な者の日の前夜)、つまり Halloween となったのですね。

カトリックの長い歴史を振り返ると、その教えには常に、人を惑わす「悪い霊魂」と神から使わされた天使の「聖なる魂」の戦いみたいな部分がありますから、そういったキリスト教的な教えを思い起こすと、いかにお遊びのイベントとはいえ、悪い霊魂を呼ぶようなハロウィーンはしっくりと感じない人はいるのかもしれませんね。

(ちなみに、「Trick or Treat」の写真は、Pottery Barnのカタログです。とってもかわいいので、撮らせていただきました。「死神」の方は、サンノゼにあるレストランです。)


ハロウィーンの「Trick or Treat」は、だいたい午後7時から9時がプライムタイムとなるのですが、今年はシリコンバレーでは、雨が降ったり止んだりの生憎のお天気だったので、きっと出足はかなり悪かったのではないかと思います。

ほら、天気予報士の方も「嵐が来ているよ」と言っていたくらいですから。
(天気予報士ジョンさんのネクタイが、オレンジ色のパンプキン!)

でも、出足が悪いことにかけては、もっとすごい場所があるのです。

そう、フロリダなんです。カリフォルニアとは逆の大西洋岸の南端にある州ですね。なぜ出足が悪いかって、フロリダにはおじいちゃん、おばあちゃんのリタイア(退職)組が多いから。当然のことながら、子供が極端に少ない!

わたしは以前フロリダに住んでいたことがあるのですが、ある年のハロウィーンのこと。ピンポーンと音がしたので、チョコレートを持って玄関に飛んでいったら、そこにはもう子供の姿は無い。「え〜、待って〜っ」と叫びそうになりながら、かわいい白鳥のコスチュームをむなしく見送っていたのでした。

その晩、ピンポーンを聞いたのは、その一回きり。

なぜその子がすぐに行ってしまったのかと言うと、フロリダには冬の間だけ北のニューヨークやニュージャージーから来る(お金持ちの)退職組が多くて、10月末にはまだ空き家が多いのですね。だから、「やっぱりここもいないのかしら」と、子供はすぐに消えてしまった・・・(ちょっと早過ぎです・・・)


逆に、カリフォルニアには、いやに出足がいい場所があります。来なくていいって言うのに、大人がみんな喜んで集って来るような所。

そう、サンフランシスコのカストロ通り(Castro Street)です。ゲイやレズビアンの聖地とも言える場所ですね。

その昔、サンフランシスコに住んでいた頃、わたしは子供たちへのお菓子配りなど放っておいて、いそいそとカストロ通りに向かっていたものでした。毎年、この通りで行われるハロウィーン仮装パーティーは、それはそれはすごいものでして、呼ばれもしないのに、ソレッとばかりに何万人と集って来るのです。

コスチュームも奇抜なものが多くて、通りを歩いているだけで充分に楽しめるものなんですが、きっと、ゲイやレズビアンの方々は、クリエイティヴ(創造性たっぷり)なんでしょうね。それに、かなり勇気がおありなので、すごいコスチュームも恥ずかしげもなく堂々と披露なさっているのです。

こちらは、ヒッチコックの有名な映画 『鳥』 をモチーフにしたもの。

男性が血を流していたり、女性の肩には大きな鳥(カモメ?)が止まっていたりと、かなり気合が入っていますよね。

それから、こちらは、ゲイの人たちの看護婦さん!

中にはひとりだけ本物の女性がいるようですが、他の方々はみんな、ボリュームたっぷりの看護婦さんです。

この写真に写っているのは7年ほど前のハロウィーンなのですが、この年を最後に、カストロ通りでの仮装パーティーは「禁止」となりました。が、それでも、言うことを聞かずに、みんな集って来るのです。

一昨年はここで数人が銃で撃たれたりと、いよいよ物騒になってきたので、今年は警察もかなりの厳戒態勢を布いていたようです。車道に出ないようにと、柵も置かれていました。
(それまでは、みんなで車道をふさいで大騒ぎでした。)

でも、やっぱり、今年もすごい人出だったみたいですよ。ダメって言われると、余計に集りたくなるのが人情なんでしょうか。

たとえば、こちらのお兄さん。なんだかすごい髪の毛ですが、まつげも負けずにクリッ!

それから、こちらの男性。そんなに若い方ではないようですが、高校生のチアリーダーに扮装。

もう男だろうが、女だろうが、そんなことは関係ない!って感じですよね。


今年は、カストロ通りに人が集まらないようにと、わざわざサンフランシスコ市が野球場にパーティー会場を準備したのです。でも、そちらの方はガラガラ。何万人かを予想していたのに、子供たちや同伴の親がたった数百人くらいしか集らなかったとか。

とにもかくにも、新しい伝統を作り上げるなんていうのは、とっても難しいことなのです。

(今年のハロウィーンの様子は、NBC系列局KNTVのローカルニュースを撮らせていただいきました。)

ま、どこでパーティーをしようと、どこを練り歩こうと、子供たちにとっては楽しいイベント。それがハロウィーンですよね。

そうそう、こんなにかわいい写真を見つけました。近所に出回っているコミュニティー新聞に載っていたのですが、なんと、ピンク色の「ダースベイダー」なのです!
(言うまでもなく、映画『スターウォーズ』に出てくるダースベイダーは真っ黒ですよね。)

でも、ヘルメットが大き過ぎて、お菓子がよく見えない・・・もう一生懸命に覗き込んでます。

もしもこんな子が現れたら、コスチューム大会では文句なく一等賞をあげたいと思います。


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