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ライフ in カリフォルニア/歴史・習慣
Life in California ライフ in カリフォルニア
2012年08月19日

アメリカ合衆国? 合州国?

ふと思ったのですが、「アメリカ」という国名を和訳するときに、どんな表記を使われるでしょうか?

アメリカ合衆国

それとも、アメリカ合州国

どうやら、現在は、日本国内では「アメリカ合衆国」という表記で統一されているようですが、以前は違ったんですよね。

そう、以前は「アメリカ合州国」という表記が一般的だったんです。

ものすごく鮮明に覚えているエピソードがあるんですよ。

わたしが子供の頃、父が本の原稿を書いていて、そのときに「合衆国」という表記を使ったんです。そうしたら、編集者の方が「合州国」の間違いでしょ? と、赤ペンで添削したんです。

けれども、父は、「州が合わさった国」という意味よりも、「衆(人種)が寄り集まった国」という意味を強調したかったので、わざと「合衆国」を使っていたんです。

それで、編集者に説明をして、また「合衆国」に直させてもらったのでした(もしかしたら、「これは間違いじゃなくて、わざと使ってるんですよ」と但し書きを付けたのかもしれません)。

いえ、本の編集者って、言葉にもっとも敏感な方々ですから、特別な理由がない限り、一般的な表記から逸脱することはできなかったんですね。


ところが、いつの頃からか、気がついてみると「合衆国」の方が通称になっているんですよ。

アメリカの正式名称は、the United States of America ですから、「合州国」という表記だって間違いではないとは思うのですが・・・。

それで、たとえば、アメリカ自身はどうしているかと思って、在日アメリカ大使館のホームページを調べてみたんです。

すると、彼らは単に「米国」という言葉を使っているんですね。

そう、アメリカ大使館ではなくて、「米国大使館」。

アメリカ政府ではなくて、「米国政府」。

さらには「米国通商代表」とか「米国海兵隊」とか、すべて和訳は「米国」で統一してあるのです。

ふ~ん、なるほど。たしかに、和訳としては、そっちの方がシンプルかもしれませんね。


それで、「合衆国」「合州国」「米国」どんな呼び名を使ったにしても、アメリカっておもしろい国ですよね。

なぜって、ひとつひとつ州が増えていく、といった国の成り立ちをしているから。

もちろん、ここでは、北米大陸に先住民族が暮らしていた頃ではなくて、白人社会ができ上がったあとのアメリカという国のお話をしておりますが、ご存じのように、現在の「50州+首都ワシントンD.C.」ができあがるまでには、かなり時間がかかったんですよね。

そう、日本でいうと、県がひとつひとつ日本国に追加されていった感じ。

アメリカ人だって、どの州が何年にアメリカの仲間入りをした(admitted to the Union)なんて、正確には知らない人がほとんどだと思います。わたしだって知りません(だって、ものすご~く複雑なのですから)。

ただ、なんとなく、最初にイギリスの植民地になった「東部13州(邦)」があって、この13州がイギリスから独立したあと、どんどん西に領土を広げていった、というくらいは知識としてありますね。


そう、イギリスから一番近い大西洋岸には、マサチューセッツやニューハンプシャー、ニューヨークやペンシルヴェニア、そして、南に向かってノースキャロライナ、サウスキャロライナ、ジョージアと、13の州(独立前は「邦」)がありました。

地図では赤い部分になりますが、これが、アメリカオリジナルの東部13州(the original 13 colonies または the original 13 states)と呼ばれていますね。
(13州については、『国旗の日「Flag Day」』というお話で列記したことがあります)

長かったイギリスとの独立戦争(the American Revolutionary War)が終わり、1783年、パリで正式に停戦条約(the 1783 Treaty of Paris)が結ばれたときには、アメリカの東側の3分の1くらいが領土となっていました(地図ではピンク色の部分)。

そして、お次は、真ん中あたりが領土となりました(地図の茶色の部分)。

そう、ルイジアナ買収(the Louisiana Purchase)という言葉は記憶にありませんか?

これは、アメリカの真ん中がスペインの手を離れフランスの領土となっていたものを、1803年、1500万ドル(現在の価値で約2億ドル、180億円くらい)でフランスから買い取ったというものですね。

あれだけでっかい土地ですから、180億円だって安い買い物だったに違いないです。

19世紀も進んでくると、スペインの領土だったフロリダ半島や、メキシコ(スペインから1821年に独立)の統治下にあったテキサスやカリフォルニアの周辺、そしてイギリスと共有していたオレゴンやワシントンと、順繰りにアメリカに加えられていったのでした。

たとえば、カリフォルニアは、1850年に州となっています。ちょうど、前年にシエラネヴァダ山脈で金鉱が発見され、そろそろゴールドラッシュを迎える頃ですね。

ここで、ようやく、本土48州(the contiguous United States または the Lower 48)の完成となります。(1912年にニューメキシコとアリゾナが加わり、48州となっています)

そして、この「本土48州」に加えて、1959年に「飛び地」のアラスカとハワイがアメリカの仲間入りを果たして、現在の50州となりました。

つまりは、本土48州ができあがるまでには、129年(1783年~1912年)。

現在の50州になるまでには、176年(1783年~1959年)もかかったというわけです。


もともとは、先住民族の方々が住んでいた広大な土地を、イギリス、フランス、スペインとヨーロッパ諸国が領土としたあと、独立後のアメリカが少しずつ「自国」の領域を広げていった。

そんな成り立ちをしているので、50州ができあがるまでには、ずいぶんと時間がかかったというわけなのでした。

そうやって考えてみると、「アメリカ合州国」という和訳だって、単に州が集まった国というわけではなくて、歴史の重みのある呼び名のような気もしますよね。


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