Life in California
ライフ in カリフォルニア/季節
Life in California ライフ in カリフォルニア
2015年09月30日

カリフォルニアのお天気

 先日、火星を観測していたNASA(アメリカ航空宇宙局)が、こんな発表をしましたね。

 

「火星の表面に、水が流れた跡が見える」と。

 

 お~っ、これは、昔は火星に水が豊富に存在していて、今でもときどき水が流れている証拠に違いない。

 

 そして、もしも地下で水が凍っているならば、地球人が火星を訪れた時に、水源にできるかもしれない! と希望的観測も聞こえています。

 

 すると、すかさず、こんなジョークが飛び交いました。

 

 なんだ、火星って、カリフォルニアよりも水がたくさんあるじゃない!!

 

(Photo by NASA / JPL-Caltech / Univ. of Arizona)

 


 そうなんです、夏の間は「乾季」のカリフォルニア。

 

 乾季というのは、誇張でもなんでもなくて、ほぼ一滴も雨が降らないのです。

 

今年は、例外的に南カリフォルニアで洪水に見舞われました。が、北カリフォルニアは、カランカランに乾ききった状態です。

 

 太陽はじりじりと照りつけるし、雑草を刈るために雇われたヤギさんたちも、「もう、この暑さどうにかしてよ~」と、その場にへたり込んでいます。

 

 カリフォルニアの暑さは、日本と比べると、ちょっと異質でしょうか。

 

どちらかというと砂漠のような暑さなので、日中、太陽が照りつけている時間は、窓を閉め切ってブラインドを下ろしていた方が、部屋の中が涼しいです。

 

 そして、外に出かけるときにも、長袖をはおっていた方が、直射日光が当たらなくて涼しいでしょうか。

 

 とくに、車に乗っていると、窓越しの太陽は肌を刺すように痛いですし、オープンカーで風に当たっても、痛みはやわらぐものではありません。

 

 我が家では、小型のスポーツカーを持っていた時期がありますが、ホロを開けて「オープン」にしたのは、ほんの2、3回。憧れのオープンカーでしたが、実は、カリフォルニアで「必要ないモノ」の筆頭かもしれません!

 


 それで、どうしてお天気の話をしているのかといえば、以前撮影したサンフランシスコの風景写真を見ていて、はたと気がついたからなんです。

 

 近頃は、昔ほど霧がかからないし、寒くない! と。

 

そうなんです、わたし自身も何度も書いたことがありますが、サンフランシスコは、霧がかかりやすいせいで、真夏の8月が一番寒い(もしくは寒く感じる)のです。

 

 こちらは、ちょうど10年前に撮影した写真で、真っ赤なゴールデンゲート橋には、たっぷりと霧がのしかかっています。

 

 サンフランシスコという街は、細長い半島の先端にあって、三方を海に囲まれていますが、とくに夏になると、太平洋側で生まれた霧が、狭い金門海峡を通って、つ~っと市内に押し寄せてきます(金門海峡は、上の写真の場所)。

 

夏の間は、太平洋の海水の温度が上がって、水蒸気になりやすいのですが、それが、サンフランシスコ周辺の寒流で一気に冷えて水滴となり、霧が発生するメカニズムです。

 

 要するに、この街だけは「天然の冷房」が効いているわけですね。

 

 が、近年は「寒流」の温度が上がって霧がかかりにくくなったので、ベイエリアの他の街と同じくらい暑くなることもあるのです。

 

こちらは、今年8月中旬に撮影した写真で、週末ごとに公園(Yerba Buena Park)で開かれる無料コンサートでは、みなさん、日の当たる芝生を避けて、木陰で音楽を楽しんでいます。

 

 なんと、この日は、華氏90度(32℃)まで上がったそうですが、市内でこんなに暑くなるなんて、ほとんど聞いたことがありません!

 


 9月に入っても、暑くなったり、涼しくなったりの「ヨーヨー現象」を繰り返しています。

 

 レーバーデー(Labor Day:勤労感謝の日)のあった9月第二週、ベイエリア全体が熱波(heat wave)に見舞われ、各地で華氏100度(38℃)を超えるような日々が続きました。

 

翌週は、暑さもやわらぎ、「あ~、これでもう秋なのねぇ~」と油断していたら、とんでもない。

 その翌週は再び熱波に見舞われ、いつもは風で涼しいサンフランシスコ国際空港でも、華氏96度(36℃)を記録したとか!

 

 こんな話もありました。

 

 ペットにしている亀さんが、9月中旬に急に涼しくなったので、冬眠の準備を始めましたが、その翌週、またまた暑くなったので、冬眠は止めにして、パキパキと活動している、と。

 

 そして、サンノゼでは、路線バスの運転手さんが、路上生活者の方々を乗せて走っていた、と。

 

 運転手さんいわく、「彼らが暑さをしのぐためにバスに乗ってくるのはわかってるけれど、運賃が払えないからって追い出したら、暑さで倒れるかもしれないだろう?」

 


ご存じのように、カリフォルニアは「干ばつ4年目」というカラカラの状態なので、山火事が怖いです。

 

 しかも、この4年間でカラカラに乾いた木々は、今後50年ほどは、山火事の「燃料」となって人々を悩ませる恐れもあるそうです。
 水が不十分な木々は、病気になりやすいし、火に対する抵抗力も低下するから(カリフォルニアの在来種は、もともと火に対する自衛能力を持っているとか)。

 

 9月に入って、北カリフォルニアでは、立て続けに大きな山火事が発生しました。ひとつは、州都サクラメントから東の郊外、もうひとつは、ナパやソノマのワイナリーの地域から北に行った山あいの地域。

 

 いまだに火は完全には消し止められていませんが、この2つの山火事では、合計6万ヘクタール、2,500軒の家屋が燃え、6人の住民の方が命を失っています。

 

 動物たちも被害に遭っていて、野生の動物だけではなく、牧場の馬や豚やペットの犬や猫も、火傷を負ったり、熱風で気管をやられたりと、治療を必要とする動物がたくさん出ています。

 

そこで、めざましく活躍するのが、カリフォルニア大学デイヴィス校(UC Davis)の獣医学校付属病院。
 動物救急病棟をつくって、みゃあ、みゃあと痛がる猫ちゃんをはじめとして、たくさんの動物を治療しています。(Photo by Randy Pench /The Sacramento Bee)

 

 ここのスタッフは、各地の山火事にも出動して治療なさるそうですが、この2つの山火事ほど大勢の「患者」を見たことがない、と証言されているとか。

 

 猫ちゃんの患者が多いそうですが、「家族」だって家を焼かれて、命からがらに逃げているので、猫ちゃんが助かって治療されていることを知らない人も多いとか。(Reference cited: “Davis treating burned pets: Hospital receiving more than 40 cats, other animals” by Cynthia Hubert, The Sacramento Bee, September 27, 2015)

 

 今はネットの情報伝達が早いので、間もなく無事に家族とも再会できるでしょうけれど、猫ちゃんの「つぶらな瞳」に見つめられると、どんな命だって大切なのねぇ、と痛感するのでした。

 


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