Essay エッセイ
2016年09月26日

「iPhone 7」の発表日に驚いたCM

 いえ、これは新しく出た「iPhone 7」のお話ではありません。

 

 アップルが「iPhone 7」を発表した9月7日(現地時間)に驚いたことがあった、というお話です。

 

 でも、せっかくですから、アメリカの反応などをご紹介いたしましょうか。

 

 ま、新しい iPhoneに関しましては、「カメラが良くなった」「防水になった」そして「ヘッドフォンが Bluetooth(ブルートゥース)接続になって、コードがなくなった」というのが、大きな特長でしょうか。

 

とは言え、どんな機能拡張があったにしても、iPhoneは iPhone。

 

 9月下旬、発売から一週間たっても、サンフランシスコの真新しいアップルショップには、いまだに長蛇の列ができています。

(写真は、新しくユニオンスクウェアの向かいにできたアップルショップ)

 


 そんな「iPhone 7」の発表があった当日、深夜コメディー番組では、こんなスキットがあったのが、印象的ではありました(CBSの『The Late Show with Stephen Colbert』)

 

「今日は国民の休日さ、だって新しい iPhoneが発表されたんだから」

 

 とギャグを飛ばすスティーヴン・コベア氏が、アップルCEOティム・クック氏に扮して、iPhoneの新機能を紹介するんです。

 

 新しい iPhoneは、どこまで機能を無くせるかって、極限まで追求したんだ。

ほら、Less is more(少ない方が豊か)って言うだろう?

 

 壊れやすいガラスの画面なんて、もうオサラバさ。

なぜなら画面なんてないから。

 

 しかも、電源をチャージする必要もない。

だって電池なんて入ってないから。

 

新しい iPhoneを紹介しよう。

 そう、iPhone 7は、金属のかたまり(a solid chunk of metal)なんだ。

 

 どうやって iPhoneの機能を使うかって?
 

みんなに「iFriend(アイフレンド)」を紹介しよう。彼は、何にでも即答してくれるんだよ。

 

 彼は時間だって「だいたい正午だよ(around noon)」って教えてくれるし、天候だって「いい天気だよ(pretty nice out)」って答えてくれる。

 

え、どうやって音楽を聴くかって? そんな心配はいらないよ。

 

アイフレンドくん、僕はここに古い(コード付きの)イヤフォンを持ってるから、君の「iPhone 6」を貸してくれないか

 

 と、アイフレンドから一世代前の「iPhone 6」を受け取り、音楽を聴き始めるコベア氏。

 

 まあ、iPhoneが金属のかたまりだったら、画面が壊れる心配も、毎日充電することもないわけですが、それにしても、なんとも皮肉っぽいスキットではありました。

 


 そんなスキットで始まったこの晩の番組は、女優のウーピー・ゴールドバーグさんが、ひとり目のゲスト。彼女がプロデュースする新しいリアリティ番組を紹介します。

 

 Oxygenチャンネルで放映される『ストラット(Strut)』という新番組で、トランスジェンダー(性転換した方々)のモデルさんたちが登場する、リアリティテレビです。

 

 このゴールドバーグさんのコーナーのあと、画面に流れたコマーシャルに息を飲んだのでした。

 

 オンラインショップのアマゾン(Amazon.com)が「プライムメンバーシップ」を宣伝するコマーシャルですが、なんと、日本で流れているCMを、そのまま放映していたのです!

 

日本でご覧になった方もたくさんいらっしゃると思いますが、若い夫婦が初めて授かった赤ちゃんは、ライオンのぬいぐるみがお気に入り。

 だから、家族のペットであるワンちゃんは大きくて、ちょっと怖い。

 

 それを気づかったお父さん、アマゾンプライムで「ライオンのたてがみ」を注文し、さっそくワンちゃんにつけてみる。

 

すると、見事に「ライオンさん」に変身したワンちゃん。ようやく赤ちゃんにも気に入ってもらって、鼻先をちょいっとなでてもらう、という微笑ましい光景です。

 

 いえ、なにがビックリかって、日本のコマーシャルが、そのままアメリカで放映されたことです。

 

 わたしが初めてアメリカに渡ってきて三十余年、記憶の限り、そんなことは一度もなかったと思うのです。

 

 まさに「快挙!」とも呼ぶべき出来事なんですが、これは、ひとつに、コマーシャルに言葉がないことがあるのかもしれません。

 

 さすがに、日本語のセリフを英語に「吹き替え」すると、もともとの雰囲気が台無しになってしまいますものね。

 

それから、日本をはじめとするアジア圏の「かわいいKawaii)」という感覚が、ようやくアメリカでも理解されてきたこともあるかもしれません。
 ですから、アメリカ側の本社も放映に踏み切ったのでしょう。

 

 そして、世界のどこへ行こうとも、人は基本的に同じなんでしょうね。

 

 嬉しいことは嬉しいし、悲しいことは悲しい。誰かが笑えば、人の喜びが伝わってくるし、涙を流せば、悲しみや悔しさ(ときには嬉しさ)が伝わってくるのです。

 

 どちらの広告代理店のどなたが制作されたコマーシャルかは存じませんが、秀作の海外放映、おめでとうございました!

 

 

追記: どうやら、このコマーシャルの「日本版」には続きがあって、お父さんがワンちゃんから「ライオンのたてがみ」を外して、自分でつけてみる、という「落ち」があるみたいです。

 

「赤ちゃんが気に入ったから、自分も・・・」という、いじらしい光景なんでしょうが、こちらはちょっと余計な感じがしなくもないな、と個人的に思った次第です。

 

だって、たてがみを注文したあと、ワンちゃんに向かって「大丈夫だよ」とうなずくお父さんは、十分に優しそうではありませんか!


 そんなお父さんには、何の細工もいらないでしょう?


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