Essay エッセイ
2011年09月12日

睡眠中、失礼します

我が家は、「野中の一軒家」ではありません。

ちゃんとした住宅地にあります。

けれども、どうしたわけか、野生の生き物たちと一緒に暮らしているような気分になることがあるのです。

前回、前々回と、自然界の生き物をエッセイといたしましたが、昨夜も似たような「遭遇」があったのでした。


夜中に、ふと郵便を取り忘れたことを思い出して、玄関を出てみました。

郵便を手にして戻って来ると、玄関のドアの上に、何かいるではありませんか。

しかも、頭を突っ込んで、グースカ寝ているのです。

お尻にしっぽがあるので、最初はねずみかと思いました。

でも、ねずみはすばしっこいので、ドアを開け閉めしたら、その物音ですぐに逃げてしまうでしょう。

よく見ると、しっぽが鳥のようではありませんか。なるほど、ねずみみたいに黒っぽい鳥が、ぐっすりと眠りこけているようです。

それがあんまり間抜けっぽいので、カメラを取りに戻って、もう一度出てきました。それでも、そんな「騒音」の中、微動だにしないのです。

ただただ、ぐっすりと安眠中 zzzzzzzz

なにかしら、楽しい夢でも見ているのでしょうか。


そういえば、昨年も、こんな鳥がいましたよ。

秋から冬にかけて、夕刻になって薄暗くなると、我が家の玄関にやって来ては眠り始めるご仁が。

冬は、すぐに暗くなるでしょう。ですから、わたしが仕事に使っている離れから母屋に戻るときには、どこからともなく飛んで来た鳥が、もうそこで熟睡なさっているのです。

まるで「自分の家よ」と言わんばかりの、当たり前の顔をして。

なんだか、飛んで来たなと思ったら、すぐに眠ってしまうんですよね。それだけは、うらやましい。なかなか人間にはできない芸当ですから。

昨夜の鳥が、これと同じ鳥なのかはわかりません。なんとなく同じようでもあるし、今年のはちょっと色が濃いような気もするし。

でも、わたしが知らないところで、ずっと玄関が「ねぐら」に使われていたのは確かなようですね。だって、不自然なところにフワフワとした鳥の毛がくっついていましたから。

あれは、どこが熟睡しやすいかって、いろいろと実験したあとに違いありません。

あっちかな、こっちかなと試してみて、あ、ここだ! と、右側の隅っこに決定したのでしょう。

まあ、べつにこちらは危害を加えられるわけではないので、ねぐらにされていても構わないんですけれど。

だから、なるべく安眠妨害をしないように、夜は静かにしようとは思っています。


けれども、世の中には、「不届きモノ」がいるんですよ。

わたしがぐっすりと眠っていると、妨害するヤカラが。

朝早く、寝室の真上で、ノッシノッシと歩くヤツ。

しかも、ひとりじゃないんです。徒党を組んで歩くんです。

以前も何回かご紹介したように、我が家のまわりには、野生の七面鳥がたくさん住んでいます。

まあ、「ワイルドターキー(wild turkey)」なんて英語で言うとかっこいいですが、その実、体は大きく、爪は鋭く、あんまり近寄りたくない相手であることは確かです。

そのワイルドターキーのご一行様が、ときどき人の家の屋根に登って、ノッシノッシと我が物顔で歩くんですよ。

べつに歩くくらいならいいんじゃない? と、お思いでしょう。

けれども、彼らは重いのです。しかも、グループで行動するのです。

何を考えているのか、ドシッと屋根に乗っかったと思ったら、みんなでブイブイ走り出すことがあるのです。

グルルッ、グルルッ、

まさに、屋根の上の運動会!

朝早く起こされたわたしは、不機嫌になると同時に、ものすご~く心配になりましたよ。屋根瓦が粉々に壊れてしまわないかと・・・。

(もしかすると、ヒビくらいは入っているかもしれません)


昨秋は、とくに彼らの「襲来」が多くて、我が家だけでも2回、そして、まわりの家々も数回ターゲットになりました。

彼らは、一度気に入った場所ができると、クセになって「リピーター」となるようですが、きっと我が家を好きな理由は、見晴らしが良いことでしょう。

我が家の屋根に登ると、まわりが一望に見渡せる。

ノッシノッシ。

う~ん、これはいい眺めだわい!

なるほど~、こうやって見ると、あの辺にエサがあるに違いない!

そうして、まわりの家々も、同じ理由でターゲットとなったに違いありません。

今年は、まだご一行様の襲来を受けてはいませんが、秋になったらいらっしゃるのかもしれません。

だって、さっきお散歩していたら、目の前をご一行様が通り過ぎて行きましたよ!

わたしが立ちすくんでいるのを横目でチラチラ眺めながら、「お先に失礼しますよ」と、すました顔で横切って行きました。

その5羽の背中は、夕刻の光を受けて、それはつややかに輝いていらっしゃいました。

もしかすると、彼らは、人が思っているよりもずっと美しい生き物なのかもしれませんね。

いつか「ワイルドターキーはいずこへ!」というお話でもご紹介しましたが、「建国の父」であるベンジャミン・フランクリンは、七面鳥が大好きでした。

美しく、賢い彼らこそが、国の象徴(国章)となるべきであったと。

なるほど、見方によっては、彼らは美しい、品のある鳥なのかもしれません。

でも、みんなで屋根を歩くんだったら、どうか寝室の上はやめてくださいね!

追記: 下から2枚目の写真は、我が家に七面鳥が飛来したときに、お向かいさんが撮ってくれました。
 このときは、我が家とお隣さんの屋根に10羽くらい訪れたのですが、「あれは、すごかったわねぇ」と、お向かいさんがわざわざ記録しておいてくれたのでした。


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