Life in California
ライフ in カリフォルニア/日常生活
Life in California ライフ in カリフォルニア
2014年03月31日

サンノゼって、どんなとこ? ~観光編

サンノゼ(San Jose)のお話を続けましょうか。大きな街なのに、「誰も知らない」と言ってもいいくらい、無名の場所ですから。

そして、今回は、サンノゼから足を伸ばせる観光地のお話などもいたしましょう。

前回の『歴史編』でもお話ししたように、サンノゼという街は、その誕生の瞬間から人々を養う「肥沃な農地」として重宝されてきました。

そんなわけで、この農村のイメージは、ここに「シリコンバレー(Silicon Valley)」というテクノロジー産業の発信地が誕生するまで、変わることがありませんでした。

そう、サンノゼや周辺の街々のあるサンタクララバレー(the Santa Clara Valley、サンタクララの谷間)がシリコンバレーとして華麗な変身を遂げる前は、ここは「喜びの谷間(the Valley of Heart’s Delight)」と呼ばれていました。

春になると花々が咲き乱れ、たわわに実を結び、自然と心がウキウキしてくるほど、作物に恵まれた肥沃の地、という意味です。

ですから、わたしがアメリカに住み始めたときにも、「サンノゼは田舎」というイメージを持っていました。

わたしが初めてサンフランシスコにやって来たのは34年前(1980年)ですが、サンフランシスコの街から海沿いに南にドライブして、帰りにサンノゼの内陸部を通ったりすると、「まあ、この辺りの山は茶色で殺伐としているし、こんな田舎に住む人の気が知れない!」と思ったものでした。

今となっては、サンノゼは、北カリフォルニアで一番大きい街ですし、全米では10番目に大きな都市となっています。

面積が広いので(横浜市よりちょっと大きい)人口も自然と増えるわけですが、海に突き出した格好のこぢんまりとしたサンフランシスコよりは、面積も人口も大きな街であるのは事実なんですよ(カリフォルニアでは、南のロスアンジェルスとサンディエゴに次いで、3番目に大きい街)。

そして、わたし自身も、サンノゼ市内に住み続けること19年。「住めば都」とはよく言ったもので、べつにサンノゼから出て行く理由もないしなぁと、暢気に考えています。

いつまでも田舎のイメージは抜けませんが、やっぱり、窓から眺める春の景色には、特別なものがあると感じているのです。


それで、もしも日本からサンノゼ空港行きの飛行機(ANAの 1076便、10月以降は 172便と改名)を利用されることがあったら、こんな観光ルートはどうかな? と、自分なりに考えてみました。

たぶん、サンノゼ空港行きを利用される方は、ほとんどがシリコンバレーに用事のある方だと思いますが、観光旅行の方だって、サンフランシスコ空港(SFO)ではなく、サンノゼ空港(SJC)に到着する利点はあると思うんですよ。

まあ、ワインの名産地ナパバレー(Napa Valley)やソノマバレー(Sonoma Valley)に行かれるなら、サンフランシスコに到着して北上する方が自然ですが、サンノゼよりの観光地に行かれるなら、サンフランシスコから車で一時間南にあるサンノゼに着いた方が、フットワークは軽いかもしれません。

まずは、モントレー(Monterey)とカーメル(Carmel)に足を伸ばすのはいかがでしょうか。

海沿いのモントレー/カーメルは、サンフランシスコ・ベイエリア(the San Francisco Bay Area)にいらっしゃる大部分の方が訪れる観光地ですが、こちらに直行なさるなら、サンノゼ空港からは車で1時間ちょっとでしょうか。

一番早いのは、空港(地図のA地点)からフリーウェイ101号線を南下して、モントレー近くで、州道1号線にそれるルートです。内陸を通りますが、それなりに自然の中を行きますので、そんなに退屈ではありません。

ANA 1076便は、現在の夏時間だと午前11時、冬の標準時間だと午前10時にサンノゼに到着しますので、市内でひと休みしないで、そのまま南に向かうのも可能だと思います。

ま、間には、ギルロイ(Gilroy)というニンニクで有名な街に巨大なアウトレットモールがあって、ここでお買い物という手もありますが、まずは、南に直行。

サンノゼからは、先にモントレーに着きます。
 ここでブラッと埠頭(Old Fisherman’s Wharf)を散策して、のんびりとシーフードランチを楽しんだり、マリンライフの研究で有名なモントレー水族館(Monterey Bay Aquarium)を見学したりというのはいかがでしょうか。

以前、「モントレーのおみやげ話」でも触れたように、昔はここで水揚げした魚を加工していた缶詰工場の並び(Cannery Row、キャナリーロウ)があって、今は楽しげなショップとなっていますので、この辺りで時間を過ごすのもいいかもしれません。昔のドレスを着て、セピア色の写真を撮ってくれるお店もあって、タイムスリップした気分にもなれるでしょう。

ずっと前、近くのレストランに入ってハンバーガーを頼んだら、「オニオンは抜きがいいわね! だってニオイが強いからボーイフレンドに嫌われるものね」と、肝っ玉母さんみたいなスタッフに「オニオン抜きバーガー」を勧められたことがありました。メイン通りの古びた木造の店でしたが、今はもうスタッフもすっかり代替わりしているでしょうか。


ここまで観光したら、ちょっと疲れるかもしれませんので、モントレーの海沿いのホテルに一泊というのもステキだと思います。

近くのパシフィックグローヴ(Pacific Grove)という小さな半島には、有名なB&B(ベッド&ブレックファスト)が点在していて、アメリカ人にとっても、ここに泊まるのが憧れになっています。

この辺りは、冬の間に「モナーク・バタフライ(monarch butterfly、オオカバマダラ)」という蝶が舞い戻ってくることでも有名な場所で、近くには蝶の自然保護区(Monarch Grove Sanctuary)もあります。

周辺は観光地と住宅地で安全ですので、夕方に散策していても問題はないと思います。が、寒流の海沿いなので「夏でも寒い!」のは覚悟した方がいいでしょう。たぶん、霧のかかりやすい真夏の7~8月よりも、初春や春、それから9月の方がお天気に恵まれるかもしれません。


さて、モントレーの街の散策が終わったら、次は「17マイルドライブ(17-Mile Drive)」という有料道路を通って、カーメルに抜けるのがいいでしょう。

わたし自身も数えきれないくらい通っていますが、いつ来ても、「ここはきれいだなぁ」と思うんです。

この辺りは西洋ヒノキ(cypress)が生い茂る緑豊かな地域ですが、クネクネと林を抜ける道路を走ると、立派な別荘地があったり、木々の間にプレー中のゴルファーが見えたり、急にパッと視界が開けて海沿いになったりと、飽きることはありません。

海に突き出した小さな半島に立つ「一本ヒノキ(Lone Cypress)」は、絵はがきやポスターにもなっている有名な観光スポットです(前掲、地図の上に掲載された写真)。が、そのまわりで土にしがみつくような、風で曲がりくねった木々も、ちょっと物珍しい光景でしょうか。

曇った日に眺めていると、「お化け」が立っているようにも見えるのです。

17マイルドライブの入口では、地図をくれるので、それを見ながら順番に「見学ポイント」に立ち寄ってみると、見どころは逃しません。

10番の「鳥の岩(Bird Rock)」では、海に浮かぶ小さな島にたくさんの鳥たちが群がっていたり、14番の「サイプレスポイント見晴らし台(Cypress Point Lookout)」では、波打ち際の岩場にアシカ(sea lion)が寝転がっていたりと、いろんな生き物にも出会えます。

この辺りの海域には、ラッコ(sea otter)も生息していて、以前はケルプにくるまって貝を食べているところが見えたりしましたが、近頃は数が減っていて、出会うことはまれかもしれません。ラッコのピンチヒッターとして、砂浜の岩場に住むリスたちが、せっせと観光客のお相手をしています。


カーメルの街に近づくと、有名なゴルフ場ペブルビーチ(Pebble Beach Golf Links)が出てきます。以前は、宿泊していないとプレーできない時期もありましたが、今は、宿泊者でなくてもプレーできるようです。

こちらはゴルファー憧れのコースではありますが、ゴルフはやらなくても、ショップが充実しているので、おみやげスポットとしても最適かもしれません。
 宿泊施設(The Lodge)には、コース沿いの見晴らしの良いレストランもありますので、ゆっくりと過ごしてみたいと思える場所なのです。

せっかくですから、ここでちょっとゴルフ場のお話をしておきましょうか。

(ゴルフをなさならない方は、どうぞこの部分は飛ばしてください)

こちらのペブルビーチは、毎年2月のAT&T全米プロアマ(AT&T Pebble Beach National Pro-Am)を始めとして、プロのトーナメントも開かれる名高い(難しい)コースですが、事前に予約しておけば、気軽にプレーできます。

ただ、海沿いのリンクスコースですので、風の強い日はショットが思い通りに行きませんし、グリーンがとっても難しいので、フラストレーションがたまるコースかもしれません(写真は、海に向かう17番ホール、パー3)。

ペブルビーチ以外にも、周辺にはスパニッシュベイ、スパイグラスヒル、ポピーヒルズといくつもゴルフ場があります。
 いずれもパブリック(公共)コースなので、事前に予約をしておけば、プレーは可能です。

海沿いのスパニッシュベイ(The Links at Spanish Bay、上の写真)は、雲が低くたれこめる春にプレーしたことがありますが、「リンクスコースでは二度とやりたくない!」と思ったほど、強い風に打ちのめされた思い出があります。

スパイグラスヒル(Spyglass Hill Golf Course)は、前半が海沿いのリンクス、後半が林間コースと、変化を楽しめるところです。林間ホールでは、日本みたいにフェアウェイが狭いところもあります。
ここをまわった連れ合いによると、4番パー4は、イヤなホールだそうです。二打目にグリーンを狙うと、縦長のグリーンが横長に見えて、左(写真では右奥)が安全に思えたそうですが、キャディーは「絶対に右(写真手前)を狙え!」と忠告するのです。
 でも、体が自然と左を向いていて、ボールも左へ飛んで行ったのですが、グリーンをこぼれたボールは、ここに生い茂るアイスプラントという長い、ねばっこい草むらへ。打った時の感触は完璧だったのに、ここから出すのに5打も費やしたと、悔しそうに解説してくれました(悔しいから、グリーンの写真を撮っておいたらしいです)。

ま、いずれにしても、せっかくキャディーがいるのだから、彼らの言うことには従った方がいいんですよね。

一方、ポピーヒルズ(Poppy Hills Golf Course)は、内陸のコースで、わりと広々としています。ですから、ペブルビーチやスパイグラスに比べると、比較的やさしいコースのようです。
 現在は、改修工事中で閉鎖していますが、4月上旬からまたプレーできるそうです。晴れた日だと、気持ちの良いコースではないでしょうか。

そして、現在は、カリフォルニアの海岸線を私有してはいけない法律がありますが、それ以前には、海沿いにプライベートコースがつくられた時期があって、この辺りにもサイプレスポイント(Cypress Point Club)とモントレーペニンスラ(Monterey Peninsula Country Club)という2つのプライベートコースがあります。
 とくにサイプレスポイントは、数少ない(おじいちゃんの)メンバーに招かれなければプレーできない場所なので、シリコンバレーのゴルファーの間では、「よだれを流すくらいに」あこがれのコースになっています。

ここの名物ホールは、16番パー3の海超え。お化けみたいな木のトンネルをくぐると、急に視界が開けて、ティーグラウンドの向こうには、海に突き出したグリーンが見えます。ブルーティーからは、キャリーで230ヤード、ホワイトティーからは200ヤード飛ばないと海にポチャッと落っこちるので、自信の無い人は、左側のフェアウェイを狙わないといけないんだとか(それでも、150~160ヤードのキャリーは必要とか)。

「シリコンバレーの創始者のひとり」とも言えるベンチャーキャピタリストに招かれた連れ合いは、ここで「風が強いから、うんと左のフェアウェイを狙え」とキャディーに忠告されたそうです。それでも、「ホントかなぁ?」と信じられなかったので、もうちょっと右に打ったら、球はどんどん風に流されて海の中へ・・・あえなく、ティーグラウンドから打ち直しとなりました。

このサイプレスポイントは、1928年、ゴルフ場設計者として世界的に著名なイギリス人アリスター・マッケンジー博士が設計したコースで、ここの美しさと難しさに惚れ込んだゴルファー、ボビー・ジョーンズ氏が同博士に頼んで、ジョージア州オーガスタに「マスターズの舞台」オーガスタ・ナショナルゴルフクラブを設計してもらったのでした。

こちらのコースは、いつ行っても、せいぜい一日に2組くらいしかプレーしていないそうですが、それでもレストランはいつもオープンして、プレーを終えたお客さまを暖かくお待ちしているそうです。

そうそう、蛇足ではありますが、アメリカでゴルフをなさるときには、ちょっと気を付けるべき点があるでしょうか。

それは、18ホールを終えるまでは、通常のペースでプレーするということ。たとえば、9ホールを終えたところで、ベンチに座ってスナックを食べたりしていると、後続の人に迷惑をかけてしまうので、プレーをしながら食べる技を身につけるべきでしょうか(「9ホール終わったら、ゆったりと昼食」というのは、日本独自の習慣ですよね)。

それから、リンクスコースは、難しい上にコースレイアウトが複雑です。「次のホールはどこだっけ?」とウロチョロしないように、グループに一人くらいはキャディーを雇うべきかもしれませんね(アメリカのキャディーは、プロを目指すゴルファーが多いので、彼ら自身もかなりの腕前を持っています)。


というわけで、モントレーから入った17マイルドライブも、ペブルビーチを越える頃に終点を迎えます。ここからカーメルのゲートを抜けると、かわいらしいカーメルの街が出てきます。

カーメルの街(Carmel-by-the-Sea)は、アーティストもたくさん住む閑静な住宅地ですが、街の真ん中は、オーシャン通り(Ocean Avenue)を中心にショッピングエリアになっています。そう、カラフルでおしゃれなショップのオンパレードです。

昔からアートギャラリーも多い街で、わたしもお気に入りの版画家の作品を買うときには、懇意にしている画廊を訪ねますが、近頃は画廊も減ってきて、代わりに新しいお店が次々と姿を現しているようではあります。

なんとなく、時の流れを感じることもありますが、ここはお買い物にも、お食事にも、宿泊にも最適な、かわいらしい街であることに変わりはありません。

北カリフォルニアにいらっしゃったら、一度は足を運んでいただきたい街でしょうか。


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