Find your inner peace(心の平和を見つける)
<英語ひとくちメモ その183>

4月初めの福岡城・武具櫓(ぶぐやぐら)の満開から、3週間。
桜前線も北へと向かい、桜の名所・青森県の弘前城(ひろさきじょう)でも、ソメイヨシノが満開と耳にしました。
春は、木々が芽吹き、花開き、自然の息吹を感じる季節。
西欧では、4月20日の日曜日は、キリスト教の Easter(復活祭、イースター)でした。
十字架にかけられたイエス・キリストが三日後に復活したことを祝う、おめでたい一日です。
キリストが生き返った日ということで、「新しい生命(new life)」や「復活(rebirth)」、「豊穣(abundance)」といった言葉が思い浮かべられ、卵やウサギさんがモチーフとなります。
卵は古来、新しい命の芽吹き(renewal、rebirth)を表し、子だくさんの動物であるウサギは、豊穣(fertility、abundance)の象徴とされます。
そして、4月22日の火曜日は、Earth Day(アースデー)でした。
「地球の日」は、地球環境の保護や人間と自然との関わりを考える、大切な一日。
人は地球の水と土にルーツを持つもの。地球が与えてくれる恩恵に感謝する日として広まります。
そんな命と自然に想いを馳せる季節、このようなメールを受け取りました。
題して、”Peace of mind? Find yours here(心の静けさが欲しい? ここであなたの心の平和を見つけてください)”
メールの中身を見てみると、こちらの写真とともに Find Your Inner Peace とのメッセージが添えられています。
Find your inner peace とは、あなたの中にある平和、つまり、心の穏やかさ、安らぎ、癒しを見つけてください、ということ。
たとえば、meditation(瞑想)をして、心の安らぎを得ることもあるでしょう。
「あれができない、これができない」と自分を責めることなく、自身とうまく折り合いをつけて心の穏やかさを見つける、という術(すべ)もあるでしょう。
人は、ついつい「もっと頑張らなきゃ!」と力んでしまうもの。これは現代社会の副産物かもしれません。
Find your inner peace とは、「ちょっと小停止して、もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃないでしょうか?」といったアドバイス。
もともと人は、心の中に平和を持っている。それを見つければいいんだよ、と勧めてくれている感じでしょうか。
なんとも、哲学的なメッセージではありますが、忙しいこの時代、わりと頻繁に耳にする言葉ではありますね。
このメールを送ってきたのは、サンフランシスコで100年以上続いたインテリア・服飾・宝飾の老舗、Gump’s(ガンプス)。
エキゾティックな店舗に足を踏み入れると、巨大な金の仏像が出迎えてくれるような、アジアン・テイストのお店。そう、19世紀末のサンフランシスコの古き良き時代を伝えてくれる素敵なお店でした。
惜しまれながら、数年前に店舗は閉めたのですが、オンライン販売のお店として復活しています。
そんなGump’sは、「復活祭」や「母の日」とイベントごとにメールを送ってくるのですが、どうして今のタイミングで Find your inner peace なのでしょう?
もしかすると、復活祭が終わったばかりで、信仰心が高まっている時期だからでしょうか。それとも、地球の日を迎えて、自然に身を置き、地球環境や自身の健康を考えるべき季節だからでしょうか。
それとも、4月21日にローマ教皇フランシスコ(英語で Pope Francis)が亡くなったからかもしれません。とくにローマカトリック教徒はショックを受けているはずなので、過度に悲しむことなく、自身を大切にしてください、というメッセージなのかもしれません。
マッサージオイルや香り高いキャンドル、ティーセットや蜂蜜、肩掛けにジグソーパズルと、いろんな好みに合うグッズが紹介されています。
いつもよりちょっとだけ長く、自分のために時間を割いてみてはいかがでしょうか、というメッセージなのでした。
時を同じくして、わたしがお世話になっていたサンフランシスコ在住の太極拳の師匠からも、こんなメッセージが届きました。
「今朝、瞑想していた時に思いついたメッセージをシェアします」ということで、体内のエネルギーについて。(引用した英文で大文字になっている箇所は、師匠が強調したい部分を表します)。
人のエネルギーレベルは、日々変わるもの。ある時はエネルギーに満ちあふれ、ある時は低迷するもの。
だからこそ、この瞬間に自分はどのように感じているのだろうか? と、もっと自身に注意を払わないといけない(That’s why we need to pay more attention to How We Are Feeling in the Present Moment)。
でなければ、我々は、何が正しくて何が間違っているかと強いる先生のようになってしまう。自分の体と心は、もっと(自身について)よく知っているのに(Otherwise, we’re being like the Teacher, who’s telling us what’s Right or Wrong, when our Body/Mind knows better!)。
そして、盲目的に疑問を持たずに教えられた通りに物事を進めることは、盲目的に服従していること。残念ながら、我々はそのように教育されてしまっている(Also, Blindly Doing What We Are Told To Do without Question is Blindly Obeying… and that’s how we’re conditioned to be!)。
といった主旨なのですが、これを読むと、なんとも師匠らしいな! と懐かしさを覚えます。そう、伝統を守りつつ、自身の独創的なやり方を模索し続けるという、ビシッと貫かれた姿勢。
瞑想をするとか、ゆっくりと深呼吸をするとか、自分の内面と向き合うことは、「これで大丈夫? 無理してない?」と自身にお伺いを立てることでもあります。
忙しい日々の中、まさにこれが Find your inner peace なのかもしれません。