English words
英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2021年09月05日

¡Vamos! (行くぞ!)

<英語ひとくちメモ その146>

もう9月となりましたね。


暑さの中にも涼しい風を感じるようになり、いつの間にか夏も過ぎ去ろうとしています。


8月に開催された東京オリンピックも終わって、パラリンピックも間もなく閉会。夏の熱い行事が終わると、なんとなく淋しさを覚えますが、今日は元気に、オリンピックにちなんだ話題にいたしましょう。


まずは、オリンピックの試合中に聞こえてきたスペイン語の言葉


¡Vamos! 


「バーモス!」という掛け声ですが、こちらは、男子レスリングでメキシコとロシア(オリンピック委員会)の選手が戦う中、繰り返し聞こえてきたもの。


両選手ともヘトヘトになりながらも、脇で応援するコーチ陣は、それぞれの母国語で熱い声援を送ります。


¡Vamos! とは、英語でいうと Let’s go!


「行くぞ! ともにがんばるぞ!」といった感じ。


「俺たちはやるぞ! 最後まで一緒にがんばるぞ!」と仲間を鼓舞する掛け声ですが、わたしが感心したのは、何語でも同じだと思ったから。


こういう場面では、英語でも Let’s go! だし、日本語でも「行くぞ!」。スペイン語でも¡Vamos! だし、たぶん対戦相手のロシア人コーチも、ロシア語で「行くぞ!」と叫んでいたのでしょう。


何語であっても、Go(行く)という動詞には、前向きにがんばるという含みがあるのでしょうね。


コーチが送る声援としては、 You can do it! というのも、選手にとっては百人力。


「きみならできる!」という心強い助言は、自分だけに向けられたもの。あと一歩、二歩と前に進む原動力となるのです。


何事においても、このような can-do attitude(「できる」と信じる前向きな態度)は、大事ですよね。


自分自身が「わたしならできる(I can do it)!」「やってやれないことはない(Nothing is holding me back)!」と信じることが、自分への大きな応援歌になるのです。



さまざまなオリンピック競技を振り返ってみると、印象に残った中に体操があります。とくに、男子個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝選手は、すごかったですよね。


彼が披露した鉄棒の演技はまさに圧巻でしたが、着地をピタリと決めた瞬間、思いついた英語の表現がこちら。


He nailed it!  ぴたりと決めたね!



ごく簡単な表現ですが、nail という言葉は便利です。


ネイルと聞くと、ネイルサロンの「爪(つめ)」を思い浮かべますが、「釘(くぎ)」という名詞でもあり、「〜を釘で打ちつける」という他動詞でもあります。


そして、動詞の nail には、「ぴたりと決める」というような使い方もあるのです。


How was your entrance exam (examination)?「入試はどうだった?」と聞かれて、

I nailed it! と答えると、「完璧だったね!」という意味。

自慢げに、胸を張って使う表現でしょうか。


一方、nail という言葉には、ちょっと暗い表現もあります。


「釘」という意味の nail を使って、nail in (someone’s) coffin というもの。


「棺桶(かんおけ)の釘」というわけですが、誰かを葬るべき棺桶に釘を打ちつけるといったニュアンスで、「もともとうまく行っていなかったところ、もっと悪いことが起きて、死活問題になる」といった意味になります。


Losing the best customer to its competitor was the final nail in the company’s coffin

一番の顧客をコンペに取られたことが、その会社の最後(棺桶の最後の釘)となった


あまり嬉しくない表現ではありますが、nail it! と同様に、nail in (someone’s) coffin もよく耳にするのは確かですね。



ネイルが出てきたところで、脳ミソといきましょう。


そう、脳ミソは英語で brain(ブレイン)ですが、簡単な言い回しがこちら。


No brainer(ノーブレイナー)


「脳ミソを必要としないような、簡単な決断」という意味です。


そう、ほとんど脊髄反射でできるような、悩むことなく一瞬でくだせる判断、といった意味。


たとえば、こんな風に使います


It was a no brainer for me because I have extensive knowledge in the industry

わたしは業界での知識が豊富なので、とても簡単に決断できた


と、こんな風に胸を張って言ってみたいものですが、この no brainer を思いついたのは、パラリンピックが始まる直前のこと。


観客を入れずに、パラリンピック競技を無観客で開催する決定は、まさに no brainer


「そんなこと、いちいち頭を使わなくてもわかるでしょ!」と思ったのでした。



というわけで、どんな競技であっても、繰り返し、繰り返し練習することは大事です。


そういう時に使う表現として、second nature(セカンドネイチャー)というのがあります。


ネイチャー(nature)という言葉を聞くと、「自然、自然界」という意味が頭に浮かびますが、もうひとつ「本性、もともと持っている性質」という意味もあります。


つまり、second nature というのは、「二番目の本性」「もともと持っている本質に準じるような状態」という意味で、ごちゃごちゃと頭で論理的に考えなくても、体が自然に動くような状態をいいます。


たとえば、自転車に乗ることもそうでしょう。バランスを取ってペダルを漕ぎ、前に進む時には、いちいち脳ミソから「ああやって、こうやって」と指示が出されるのではなく、自分で何も考えないうちにうまく前に進んでいる、という状態でしょう。


そんな自転車に乗るとか、テニスボールを打ち返すといった動作が「自分の本質になる(second nature)」まで、何度も練習する。すると、ようやく自然に体が動くようになる。


Riding a bicycle is second nature to me

自転車に乗るのは、わたしにとってごく自然にできることです


反復練習によって、自覚することなく、すんなりと体が動く。それは、なにもスポーツに限ったことではありません。


先日、福岡市の浜辺で見かけた市消防局のレスキュー隊員さんたち。この方たちも、ひとつひとつの動作が second nature になるまで、日々救助訓練を積まれているのでしょう。


そんな頑張っているすべての皆様に向かって、


ご苦労さまです! Good job! Keep on going!


<余分な追記>

最初に出てきたスペイン語の言葉について、ちょっとご説明いたしましょう。

コーチの掛け声として使われていた vamos は、「行く」を表す ir という動詞の主語が「わたしたち」になった場合の活用形です。ですから、「レッツゴー!」「ともにがんばるぞ!」といったニュアンスになります。

主語が「わたし」になると、動詞 irvoy (発音は「ボイ」)となりますが、こちらは、目隠しをして行うブラインドサッカーで選手がボールを蹴って前に進む時に使われる言葉だと聞きました。相手チームの選手が、誰がボールを持っているのかわかりやすいようにと、ボールを持つ選手は「voyvoy」と言いながら前に進むのだと。

ブラインドサッカーは、アルゼンチンをはじめとしてスペイン語圏で発展したので、voy というスペイン語の言葉が使われるとのことでした。

余計なことですが、「行く」を表すスペイン語の動詞 ir は、主語が「彼」「彼女」「(丁寧語の)あなた」になると、va (発音は「バ」)と活用します。それゆえに、どこかの車メーカーが  Nova とネーミングした新車は、スペイン語圏ではまったく売れなかったとか。

主語を抜くことの多いスペイン語で No va と言えば、「(車は)前に進まない」という意味になるから。

こちらは、アメリカのマーケティングの教科書によく出てくるお話でした。


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