Life in California
ライフ in カリフォルニア/歴史・習慣
Life in California ライフ in カリフォルニア
2007年04月10日

うさぎさんはいずこ?

去年の11月、「ワイルドターキーはいずこへ!」というエッセイを書きました。

七面鳥を食べる習慣のある感謝祭に、あたりのワイルドターキー(野生の七面鳥)が、いっせいに姿をくらましたというお話でした。

今日のお話は、うさぎさんです。

いえ、別にうさぎさんを食べる習慣はありません。でも、なぜだか、あたりの野生のうさぎが、いっせいに姿を消してしまったのです。


ご察しのとおり、我が家は、シリコンバレーでも市街地からちょっと離れたところにありまして、野生の動物をよく見かけるのですね。

うさぎもそのひとつで、いつもはゴルフ場の8番ホールに、ワンサカとたむろしています。もう慣れたもので、おじさんたちが近くでクラブを振り回そうと、ビクともしません。

「なにやってんの~?」といった面持ちで、みんなで並んで、人間たちの行動をのんびりと観察しています。

なのに、今日はたったの一羽。

べつに、うさぎ狩りにあったわけではないでしょうが、もしかしたら、うさぎさんがどこかに総動員されている?


うさぎが姿を消したこの日は、イースター(Easter)。日本語で復活祭ですね。

キリスト教のお祭りで、十字架にかけられたイエス・キリストが、3日目の日曜日に復活したという、ありがたい日。今年は、4月8日でした。

で、イースターのシンボルといえば、うさぎさん。

なぜって、うさぎは多産なので、息吹を感じる春(spring)や新しい生命(new life)、そして豊富さ(abundance)を祝う復活祭には、うってつけなんだそうです。

そこで、わたしは考えました。この日、うさぎさんが少なかったのは、人間に誘拐され、お家に連れて行かれたのではないかと。


以前「イースターってどんな日でしょうか」でもご紹介したことがありますが、イースターのお楽しみのひとつに、「エッグハント(egg hunt)」というのがあります。

大人たちが、イースターエッグ(卵)をあちらこちらに隠し、それを子供たちが探し出すという楽しいお遊びです。
 今は、色とりどりに絵付けされた本物のゆで卵よりも、プラスティック容器に入ったお菓子やおもちゃがよく使われます。

で、このエッグハントの立役者は、うさぎさん。「イースターバニー(Easter Bunny)が、卵やお菓子を隠したんだよ」と、小さい子供は言い含められるのです。

だから、ひょっとしたら、「ほ~ら、イースターバニー君だよ~」と子供に見せるために、野生のうさぎが連れて行かれたのではないか・・・と、そう勘ぐってみたのです。

だとしたら、うさぎさんはもう帰って来ない?


ま、事の真相は謎のままですが、ここで、イースターのトリビアをどうぞ。

子供たちがバスケットに収穫物をいっぱい集めるエッグハント。だから、収穫物となるお菓子とイースターは、切っても切れない縁なんですね。

そんなわけで、チョコレートやキャンディーのお菓子の売上げは、ハロウィーンに次いで、年間第二位なんだとか。

あくまでも宗教的なお祝いなので、ちょっと意外な気もしますが、イースターにめがけて、なんと20億ドル(約2千億円)がお菓子に費やされる、という統計もあるそうです。
 ほんとかなぁ?

でも、アメリカの親の9割が、子供にイースターバスケットを与えるというので、あながちウソではないのかも。


で、そのお菓子も、単なる普通のお菓子じゃなくって、うさぎの形をしたチョコレートだとか、ひよこの形をしたマシュマロだとか、卵に似せたチョコボールだとか、イースター専用のものが生産されているのですね(そう、ひよこも、うさぎや卵と並んで、「生命」を祝うイースターの立派なシンボルなんです)。

ちょうど、こんな感じ。べつに、これは、うさぎさんが共食いをしている図ではありません。チョコレートの中には、きっとマシュマロやクリームなんかが入っているのでしょうね。

こんなうさぎ型チョコレートを手にすると、10人中8人が、真っ先に耳をかじるそうですよ。

まあ、ひよこ型お菓子の頭にガブッとかぶりつくよりも、耳の方がまだましかな。


一方、きれいに飾り付けされた卵、「イースターエッグ(Easter egg)」。

色付けには、食用の染料を使います。ちゃんとイースターエッグ用に、何色かセットになっているものが売られているんですね。

ここで、ゆで卵を、食用染料の入った水に浸すわけですが、なんでも、お酢を入れると、鮮やかに色が付くそうな。お酢が苦手という人は、オレンジやレモンのような柑橘類の酸味を使う人もいるそうです。
 どうも、酸には、色素が定着しやすい効果があるようですね。

それにしても、イースターエッグなんて、子供のお遊びにしか思えませんが、卵に飾り付けをする習慣は、近年の流行ではないらしいです。なんと、6千年前の古代エジプトでも行われていたんですね。
 昔から、さまざまな文化で、卵は「春」を表し、ひなが卵からかえることは「生命の復活(rebirth)」とも解釈されていたようです。

飾り付け卵といえば、ウクライナの芸術品「ピサンキ(pysanky)」などもありますし、古来、卵という食べ物は、その形といい、白い殻のキャンバスといい、人々を魅了し続けてきたのですね。


で、話は戻って、我が家のまわりのうさぎさん。

イースターの2日後、やっぱり、一羽しかいませんでした。

う~ん、イースターで出払ったあと、まだ帰って来ていないようです・・・

追記:イースターの卵、「イースターエッグ(Easter egg)」。この言葉は、おもしろいところに転用されています。
 映画やDVD、ビデオゲーム、コンピュータ・プログラムといったものの中に、こっそりと隠されているメッセージや図柄のことを指すのです。

作者がお遊びで入れているので、ちょっと見にはわからないけれど、よ~く探してみると、ふと見つかる。ちょうど子供が卵を探し出すエッグハントのような感覚なので、イースターエッグという名前が付いたようですね。
 大人にとっても子供にとっても、何かを追い求めるゾクゾク感がたまらないわけですよね。

それから、エッグハントの写真は、シリコンバレーの地元紙、サンノゼ・マーキュリー紙に掲載されたものです。イースターの前日の土曜日、シリコンバレーのあちらこちらの公園で、エッグハントが催されたそうです。

うさぎのカードは、Hallmarkのものです。あまりにかわいいので、つい買ってしまったのですが、うさぎの毛の部分がフワフワと手触りがよく、なかなか芸が細かいのです。


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