Essay エッセイ
2009年03月08日

虹の季節

今日は、3月8日。アメリカでは、もう夏時間が始まりました。

以前、「デイライト・セーヴィング・タイムふたたび」というお話でもお伝えしておりましたが、デイライト・セーヴィング・タイム(Daylight Saving Time)、つまり夏時間は、もう3月の第二日曜日には始まってしまうのですね。

まだ完全に春にもなりきっていないのに、もう夏時間? と、ちょっとした季節錯誤を感じてしまうのですが、今は、3月の第二日曜日には夏時間が始まり、11月の第一日曜日まで8ヶ月間も続きます。
 だから、一年のほとんどを夏時間で過ごすのだから、夏時間の方が「標準時間(Standard Time)」ではないのかと、もっともらしい意見も耳にいたします。

まあ、そんな議論はさて置いて、「春には進めて、秋には遅らせる(Spring forward, fall back)」、これが夏時間のやり方でしたね。

春には、Set your clocks one hour ahead.(時計を1時間進ませてね)

そして、秋になると、Set your clocks back an hour.(1時間遅らせましょう)

だから、3月の第二日曜日の午前2時は午前3時となり、11月の第一日曜日の午前2時は午前1時となるのです。

こんな風に、なぜだか午前2時が標準となっているので、土曜日に寝る前に時計を変えておくのが、みなさんの習慣となっているわけです。けれども、夜型のわたしにとっては、午前2時はまだ就寝前ですので、ベッドルームの時計くらいはリアルタイムに変更します。
 家中の時計を変更するのは、日曜日に起きてからゆっくりとやりますが、これが、結構面倒くさい作業なんですよね。壁時計や目覚まし時計、腕時計だけではなくて、今はオーブンや電子レンジ、冷暖房のセントラルシステム、そして、炊飯器なんかにも時計が付いているでしょ。それから、車にもありますよね。だから、変更する場所はたくさんあるのです。

ちなみに、どうして午前2時が変更の基準になっているかというと、どうも、多くの州で、バーなどの飲み屋さんが午前2時を境にアルコール飲料を出せなくなるからのようですね。多くの人は寝静まっているし、きっと都合のいい時間帯なのでしょう。
 すると、秋に午前2時が1時になるときには、1時間余計にお酒を飲めるのかという議論が必ず出てくるわけですが、答えは「ダメ!」だそうです。なんでも、厳密に言うと、バーでお酒が飲めなくなるのは午前1時59分なんだそうで、午前2時が1時になるときには、すでに「お酒は禁止」の時間帯に入っているのだそうです。

まあ、そんなこんなで、夏時間になるときには1時間を失って、睡眠時間が減ってしまうわけですが、嬉しいこともいくつかありますね。

まず、夕方いつまでも明るいので、なんとなく楽しい気分になってくるのです。

そして、日本時間との差が1時間縮まるので、アメリカから日本に向かう飛行機の離陸時間が、1時間遅くなるのです。ということは、起きるのも1時間遅くていい!


さて、今日は、明るい陽光の夏時間のスタートとなりました。
 なんとなく、太陽の光も一段と強く感じたので、裏庭の日よけをちょっとだけ下ろしてみました。すると、また一段と春らしく感じたりもするのですね。

でも、こんなに日差しは強くとも、まだまだ雨季は続いているのです。

シリコンバレーやサンフランシスコのある北カリフォルニアでは、11月くらいにスタートした雨季は、5月くらいまでは続きます。けれども、日本の梅雨みたいにジトジトと降るのではなくて、ドカッと降って、カラリと晴れ、またドカッと降って、カラリと晴れるといったタイプでしょうか。

ですから、一日のうちに天気がコロコロと変わることもあるし、自宅の辺りが大雨でも、隣の街ではカラリと晴れている、なんてこともしょっちゅうなのです。

ということは、雨上がりの虹を見かけることが多いのですね! だから、シリコンバレーの雨季は、虹の季節でもあるのです。

そう、虹というのは、雨上がりのように空気中にたくさん水の粒があって、太陽が低い位置にあるときに、太陽を背にして見えるものですね。だから、夕方になると、東の空に出やすくなるのです。
 いつか、西に向かって運転しているときに、バックミラーにちらりと「完璧な虹」が見えて、逆側に向かっている人たちがひどくうらやましかったことがありました。

この日は、きれいな虹の形とはいかなかったですけれども、自分のスポットは晴れていて、あちら側には雨雲がかかっているという絶好の虹のシチュエーションではありました。

もちろん、虹もきれいですけれども、こういうときは、夕日に照らされた山もきれいなのです。まるで、緑が輝くよう。

このように、雨季の特典は、雨で息を吹き返した、美しい緑の山でもあるのです。


せっかく夏時間になったことだし、今日はちょっとお散歩をしてみました。

最近は雨も降ったりするので、お散歩もさぼりがちなのですが、少し見ない間に、辺りは一面の緑色になっていました。

まだまだ芽吹かない木々の枝にも、小鳥たちがひと休みしていて、競うばかりに美声を聞かせてくれています。

風はまだちょっと冷たいけれども、もう少しで暖かい季節がやってきそうな予感がします。

「あ~、気持ちいいなぁ」と緑を満喫して家の近くまで戻ってくると、家の前が、なにやら遊園地のようになっています。小さな子供のいるご近所さんたちが、夕刻に自然と集まってきて、道路の上が遊び場みたいになっていたのです。
 静かな住宅地なので、あまり車の心配がないからでしょうか。小さな女の子たちがピンク色の自転車に乗ったり、おもちゃの車を運転したり、その辺を駆け回ったりと、楽しそうに過ごしています。それを満足そうに親たちが見守っています。

ご近所さんなのに、初めて顔を合わせた方々もいて、お互いに自己紹介をしたりもいたしましたが、ちょっと驚いたのは、全員が外国から来ている方々だったことです。アルメニア人、メキシコ人、インド人、イスラエル人とお見受けする方、どこだかわからないけれどアジア系、それから、わたしの日本人。
 みなさん、英語は完璧ですが、母国語はまだしっかりとしゃべれるようでした。きっと子供たちは、きちんとしたバイリンガルになるのでしょうね。

こういうところがまた、世界中から人が集まるシリコンバレーの醍醐味でもあるわけですけれども、雨季の晴れ間、春の陽光に誘われて外に出てみると、久しぶりに穴ぐらから出てきたみなさんともお会いしたりするのです。

追記: 冒頭で、どうして午前2時が時間変更の基準になっているかというお話をいたしましたが、この辺のところを説明してくれているウェブサイトがありました。カリフォルニア州政府のサイトなのですが、「そもそも夏時間にはエネルギーを節約できるのか?」という大事な論点から丁寧に説明してくれています。
 バーのお話は最後の方に出てくるのですが、もし英語でよろしければ、こちらをご覧くださいませ。
http://www.energy.ca.gov/daylightsaving.html

ちなみに、アメリカの夏時間は、2年前の2007年3月にひと月間延びたわけですが、こちらのサイトによると、「少なくともカリフォルニア州では、この変更によって、エネルギー消費量の削減はほとんど見込めない」ということです。
 ふむふむ、大騒ぎして夏時間を延長したわりに、あまり利点はないということですか・・・

長い間、アメリカでは、夏時間は4月の最終日曜日から10月の最終日曜日だったので、わたしなんかも、いつまでもその感覚が残っています。その後、1986年に3週間延びたりはしていますが、今回の新しい規則にみなさんが慣れるまでには、もうちょっとかかりますよね。


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