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英語ひとくちメモ/場面
English Words 英語ひとくちメモ
2021年11月30日

Giving Tuesday(与える火曜日)

<英語ひとくちメモ その148>

今ではこの言葉も、日本にすっかり定着しましたよね。


Black Friday(ブラックフライデー)


こちらの「英語ひとくちメモ」のコーナーでも何度かご紹介していますが、11月末のアメリカの年中行事、感謝祭の翌日の金曜日のことです。


たとえば、15年前に掲載したこちらの文章では、時系列にご紹介しておりました。


まず、11月第4木曜日の Thanksgiving(感謝祭)は、感謝の気持ちを抱きながら、家族や親戚、お友達とごちそうのテーブルを囲む一日。


次の金曜日は Black Friday(ブラックフライデー)。安売りで有名な日なので、みんながお店に殺到し、それまで赤字だった商店も黒字(Black Ink)に転じる。ゆえに「黒い金曜日」。


そして、週末を終えた月曜日は、Cyber Monday(サイバーマンデー)。以前もご紹介していますが、感謝祭の週末が終わって、出勤したオフィスのコンピュータでオンラインショッピングをするので、この日はオンラインの売り上げがうなぎ上り。


そう、Black FridayCyber Monday も、クリスマスのプレゼント購入を狙った年末商戦(Christmas shopping season)のスゴさを表す表現でした。



なにせ、アメリカ人の購入意欲は、日本人の想像以上。


Sale(安売り)」と札が付いていれば、なんでも手に取って買いたい衝動に駆られる人の多い、お国柄。


そんなわけで、Black Friday商戦は年々エスカレートしていって、感謝祭が明けた金曜日、お店を開ける時間がどんどん早まっていきました。


もう金曜日の午前10時の開店が待てない! と、午前0時(感謝祭の真夜中)にお店を開ける大型店舗が現れたかと思えば、今度は、感謝祭の夕方にさっさとドアを開ける店舗まで現れるようになりました。


そろそろ、2008年の世界金融危機(リーマンショック)から立ち直るかという時期。商売を好転させるには、営業時間を伸ばすしかない! と、新たな動きが生まれたのでした。


ところが、こういった世の中のヒートアップに抵抗を感じる方々も増えていきます。


感謝の心を抱きながら近しい人たちと過ごした翌日に、いきなり購買力全開だなんて・・・感謝祭の意義が失われつつある・・・と。


そこで自然と生まれたのが、Giving Tuesday(与える火曜日)。


いえ、Give(与える)とは、なにも物品を差し上げるだけではありません。


もちろん、感謝祭からクリスマスにかけては、ごちそうを食べる機会が増えますので、七面鳥やハム、缶詰と、食べ物を寄付するキャンペーン(Food Drive、フードドライブ)も増えていきます。


厳しい冬に向けて、暖かいコートを寄付する催し(Coat Drive、コートドライブ)も街角で見かけるようになります。


そして、感謝祭から年末にかけては、慈善団体に寄付金を贈る季節でもありますので、小切手を書く回数も増えてきます。


こちらは、サンノゼ市にある日系米人博物館(Japanese American Museum San Jose)のメッセージ。

「与える火曜日には、こちらの博物館もお忘れなく」と、やんわりと寄付を募っています。


けれども、Giving TuesdayGiveするのは、目に見えないものでもいいんです。


たとえば、面白いジョークで誰かを笑わせたり、お隣さんの荷物を運んであげたりと、自分なりにできることでいいのです。


こんな風に自分なりに始めたことが、毎週の火曜日、さらには毎日と行えるようになれればいいな。Giving Tuesday には、そんな願いも込められているようです。


毎日が Giving Tuesday。それが、「与える火曜日」を広めようとがんばっている人々の理想なのです。



もともと感謝祭とは、Give Thanks(感謝を表す)という一日。


それは、自分が信じている神に対する感謝でもいいし、まわりにいる近しい人々への感謝でもいい。自分が無事に過ごせていることや、世界が回っていることへの漠然とした感謝でもいい。


そんな気持ちを抱きながら、翌金曜日の Black Friday、月曜日の Cyber Monday と過ごせば、


翌火曜日には、Giving Tuesday(与える火曜日)がやってくる。


日本でも広がってきた Black Friday にあやかって、Giving Tuesday も広まればいいな、と願っているところです。


この感謝祭の季節、二十数年住み続けたサンノゼ市が懐かしく感じられます。


まわりの木々の色づき、ご近所さん宅から漂う、美味しそうな料理のかおり。そんなものが脳裏によみがえってくるのでした。



追記:

感謝祭の食卓の写真は、サンノゼ市の親友が送ってくれたものです。

寒くなって体調が芳しくないようでしたが、がんばってダンナと一緒に感謝祭のターキー(七面鳥)を焼いたのよ、と送ってきてくれました。

アルミフォイルをかけるのを忘れて、ちょっと皮が焦げたけど、お肉は前の晩から塩水につけ込んでいたので、やわらかく美味しく焼けたわ、とのことでした。どうやら、七面鳥は、濃い塩水(brine、ブライン)に一晩つけておくと、ジューシーに仕上がるようですね。さすが、お料理好きの親友は、こういうところは手を抜かないのです。

今年は、まだまだコロナ禍でお友達を招待できませんでしたが、そんな一日をダンナさまと仲良く過ごせて、心も晴々としたようでした。



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