Essay エッセイ
2012年10月30日

スウィープ!(SWEEP!)

こちらは、10月29日のサンノゼ・マーキュリー新聞、第一面。

でっかい文字 SWEEP! は、「完全優勝」を意味します。

そう、メジャーリーグ野球のワールドシリーズで、サンフランシスコ・ジャイアンツ(the San Francisco Giants)が優勝したんです。しかも、最短の4連勝で!

(Photo from the San Jose Mercury News, October 29th, 2012)

先に4勝した方が勝つというワールドシリーズで、さっさと4勝してしまった「負けなしの完全優勝」。それが、「ほうきでサッサと掃く」ように相手を片づけたというので、Sweep

まさに、うれしい「ほうきでサッサ」なのです。

しかも、おととし2010年に引き続き、二度目の優勝。これが若いチームの底力!

選手たちも輪になって、歓喜の雄叫びをあげます。(Photos by Gary Reyes, San Jose Mercury)

まあ、お相手のデトロイト・タイガーズ(the Detroit Tigers)には申し訳ないですが、サンフランシスコを応援する者にとっては、なんとも言えない優勝の喜び。

優勝は、敵地デトロイトで決まりましたが、タイガーズのスタジアムには、こんなジャイアンツファンも。

そう、サンフランシスコの「完全優勝」を見越して、スタジアムに「ほうき」を持って行った人が!

よかった、よかった。わざわざ持って行った甲斐がありましたね!


これで優勝が決まるかもしれない! という28日の日曜日。我が家は、テレビで優勝の瞬間を見届けたのですが、そのあとサンフランシスコの街に繰り出してみると、ものすごい騒ぎ。

サンフランシスコの市役所前広場では、市が巨大なテレビを準備し、1万人が参加する観戦イベント(viewing party)が開かれました。

そして、ジャイアンツのホーム球場 AT&T Park にも、自然にファンが集まり、みんなで優勝の瞬間を待ち望んでいました。

そんな何千人、何万人というファンたちが、優勝が決まった瞬間に街じゅうにあふれ出したから、さあ、大変。

大声で叫んだり、すれ違いざまに手をたたきあったり(high-fiving)、知らない人だって、もう立派なお友達。
 みんな「ジャイアンツファン」という共通項でしっかりと結ばれているのです。

道行く車も、クラクションを鳴らし、喜びをいっぱいに表現するのですが、そのうちにこちらも耳をつんざくような騒音にも慣れ、「うるさいなあ」という感覚も消えて行くのです。

こちらは、目抜き通りのマーケットストリート。バスがすっかりファンたちに取り囲まれていますが、いつの間にか、何人かがバスの上に乗っかって大騒ぎ。

ひとりが乗っかると、そのあと3人が真似をして、バスの天井でボンボンとジャンプ。が、間もなく近づいてきた警察官になだめられ、おとなしく「舞台」から降りてきました。

警官がうまく交通整理をしていたので、マーケットストリートは比較的おとなしいファンたちでいっぱいでしたが、サンフランシスコのミッション地区では、道路でたき火(bonfire)が燃え上がったり、車がひっくり返されたりと、ちょっとした騒ぎになったようです。

それでも、サンフランシスコの人たちはお行儀が良いので、大混乱にはなりませんでした。

だって、優勝のお祝いが暴動になったら、何のためにお祝いしているのかわかりませんものね。


翌日の月曜日。わたしも優勝グッズが欲しいと思って、お出かけしました。

歩いていると、ビールの空き瓶や、グラスの破片と、あちらこちらに前夜のお祝いの残骸がありました。

さすがに道に捨てるのは悪いと思ったのか、こちらのビール瓶は、消火栓の上に置き去りです。

ま、お祝いですから、それもしょうがないでしょうか。

抜けるような青空のもと、向かった先は、ジャイアンツのホーム球場 AT&T Park。ここなら、グッズを売るスタンドがあるに違いないと思ったからです。

入り口前には、特設スタンドができていて、まだまだグッズも豊富に残っています。
 めでたく、優勝記念のTシャツと帽子、そしてジャイアンツのチームカラー、黒とオレンジの帽子をゲット!

親切なことに、Tシャツも帽子も女性用の小さいサイズが揃っていて、小さな体にもちゃんとフィットします。

優勝記念Tシャツと帽子には女性用の「S、M、L」があり、チームの帽子は「サイズ7」とか、ひとつずつサイズを選ぶようになっています。もしかすると、カリフォルニアにはアジア系の人が多いから、小さいものもたくさん売っているのでしょうか?

と、球場の左側を眺めると、なにやらファンがたくさん集まっています。

何かを心待ちにしているようなのですが、どうやら、AT&T Park に戻ってくる選手たちを歓迎しようと、熱烈なファン(die-hard fans)が集まっているようです。

「選手たちのバスは3時に到着する予定だったのに、かなり遅れてるよ」と誰かが言っていたので、みなさん、長い間待ちぼうけなのでしょう。

わたしは待つ時間がなかったので、仕方なくその場を離れたのですが、あとで新聞を読んでみてびっくり。近くに車を停めて、前の晩から車に泊まっていた女性ファンもいたそうですよ!

「彼らを歓迎するためだったら、迷わず、もう一度やってあげるわ(I would do it again in a heartbeat just to welcome them home)」とのことでした。

子供ふたりを連れていた彼女は、学校はちゃっかりと休ませたみたいですよ!

まあ、球場の辺りは、そんなに危険な場所ではないので、子連れでこういうことだってできるのでしょうね。

この日の午後、デトロイトから戻ったチャーター便は、サンフランシスコ空港で消防車の歓迎の放水を浴びたそうです。
 ここ AT&T Park のファンたちだって、負けないくらいの歓迎の叫びを浴びせたことでしょう。

実は、この日は、わたしの誕生日でもありました。

サンフランシスコ・ジャイアンツの優勝は、なによりも素敵なプレゼントなのでした。

後日談: フォトギャラリーのセクションでは、サンフランシスコ・ジャイアンツを応援する街の様子を掲載してみました。
 街の人たちと一緒に、消防士さんたちのノリが良かったわりに、警察官のノリが悪いのが目立ったでしょうか・・・。そんなお話も付いています。


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