ドイツ語の「S」って?

「ドイツ」と言いましても、『2014年FIFAワールドカップ』で優勝したばかりのドイツチームとは関係ありません。

ちょっとお恥ずかしい話ですが、自分の中では、ひどく驚いた「発見」があったのでした。

近頃、わたしは、ドイツのDW(Deutsche Welle)-TVの英語放送が大好きです。

アメリカとは違う、なにかしらフレッシュなカメラアングルを感じるのです。

それで、普段は、朝ご飯のあとに新聞を読みながら、DW-TVの番組で「仮想ヨーロッパ旅行」を楽しむことにしています。

ごく最近は、DW-TVの英語放送もとみに「やわらかく」なってきて、アートや観光スポットの話題を好んで紹介するようになりました。

その中に、『euromaxx(ユーロマックス)』というヨーロッパ全体のライフスタイルを紹介する番組があって、7月からは『Cool Copies(クールなコピー)』という新シリーズが登場しました。

何かを「コピー」しているんだけれど、単なるコピーには終わっていないという、ちょっとひねった話題を紹介するシリーズです。

第一回目は、アートのコピー。

つまり、贋作(ニセモノ、forgery)のことです。
 が、近頃は、ニセモノだって立派なアートになっていて、ウィーンにはニセモノアートの博物館(Museum of Art Fakes Vienna、写真)が登場したり、有名なアートにインスピレーションを受けたコピーが堂々と作品として所望されたりと、アートの世界にもおもしろい動きがあるそうです。

それは、ホンモノをそっくりそのままコピーしたのではなく、作者の「工夫」や「ひねり」が加わっているからなのですが、そうなると単なるニセモノを越えて、立派な作品になることもあるとか。

第一、巨匠をコピーして技法を学ぶやり方は、500年前のレオナルド・ダヴィンチの頃から盛んに行われていたことですし、コピーをホンモノと偽って売らなければ、贋作は必ずしも違法行為とはならないそうです。


というわけで、本題の『クールなコピー』シリーズ第三回。

ここで「花のコピー」の登場です。

花のコピーといえば、シルクフラワー。

材料は「シルク(絹)」に限らず、いろいろと使われていますが、花を模した造花(artificial flowers)のことですね。

なんでも、昔の東ドイツ圏には、シルクフラワーで有名な街があって、そこにたったひとつだけ残った工場では、今でも手作業で美しい「花」たちが生産されているそうです。

作品は、すべてオーダーメイド。有名なデザイナーやオペラハウス、個人の顧客と忙しく対応していますが、昔からの金型で花びらや葉っぱを切り取ったり、細やかに葉脈を入れたりと、根(こん)を詰めた作業が続きます。

花びらには、ひとつずつ筆で丁寧に色づけしていって、一本の花に仕上げます。デリケートなシルクですから、「書き損じ」は許されないし、手荒く扱うと穴が開いたり、破れてしまったりするので、カラフルな作業場にも緊迫した空気が流れます。

19世紀から続く花づくりで、何千という金型のコレクションが生まれましたが、新種の花の注文が来ると、花びらも葉っぱも、新しく金型からつくることもあるそうですよ。

そんなわけで、シルクフラワーが大好きなわたしは、画面を食い入るように見つめていたのですが、肝心の街の名前がわからない!

DW-TVは、ときにドイツ語なまりの英語で放映しているのに、字幕を一切出さないのが玉にきずなんですが、なんとなく「ジープニック」と聞こえたので、すかさずパソコンで検索してみました。が、適切なものは見当たらない。

silk flowers(シルクフラワー)」「east germany(東ドイツ)」

それから、「ziepnick」と検索欄に書いてみたのですが、まるでヒットなし。

そこで、大きな世界地図を引っ張り出して、巻末の町名リストで「z」「i」「e」かな? 「z」「e」「i」かな? と探してみたのですが、やっぱり見当たらない。

番組では、ドレスデンのオペラハウスが上客だと言っていたので、ドレスデンの近くだとは思うのですが・・・。

困ったわたしは、ネットで番組のビデオを探してみると、そこに「街はSaxony州にある」という紹介文を発見!

この重大なキーワードを手がかりに、ようやく「Ziepnick(ジープニック)」は「Sebnitz(ジープニッツ)」である、と判明したのでした。

え~っ、「ジー(ズィー)」という発音が「S」から始まるの??

ドイツ語の「S」って、英語の「Z」みたいな発音なの??

と、ドイツ語をまったく知らないわたしは、椅子からころげ落ちるほどの発見をしたのでした。

なんでも、Sebnitz は、日本語では「ゼプニッツ」と呼ばれていて、州の名前 Saxony は「ザクセン州」と言うそうです。


いえ、自分の無知を自慢するわけじゃないですが、ドイツ語は「1、2、3」だってわからないです。

中学生のとき、スペイン人の神父さんにちょっとだけスペイン語を習ったことはありますが、ドイツ語は「異次元の言葉」ですから。

数年前、こんなことがありました。

ハイデルベルグの駅前の本屋さんで、絵ハガキを一枚買おうとしたのですが、「アイン」と言われたのに意味がわからなくて、店員さんが「1」と紙に書いてくれました。

まあ、その「1」が「7」みたいにヘンテコリンではありましたが、とにかく「1ユーロ」であることはわかったので、コインをひとつ差し出して支払いを済ませました。

そうしたら、それを見た後ろの男性客がクスッと失笑していましたが、だったら「ワンユーロ」と助言してくれたらいいのにね!

いえ、ドイツでは、よほどの郊外でない限り、英語が素晴らしくお上手な方々が多いです。

何年も前の雨の日、フランクフルトに行きたくて駅のホームで列車を待っていたら、天候不順でダイヤが乱れているというアナウンスを聞いて「あっちのホームに行きなさい」と教えてくれたカトリックのシスターがいらっしゃいました。

「これから、甥が神父になる儀式に出席するんです」と世間話を交わしたシスターですが、「あなたには想像できないでしょうけれど、身内から神父が出るっていうのは、ものすごく誉れ(ほまれ)とされているのよ」と、世の中の常識を教えてくました。

そんなわけで、英語に堪能なドイツ人が多いものですから、ハイデルベルグの観光客を相手に「ワン」ではなく「アイン」と言った店員さんに、ちょっと驚いたのでした(それとともに、現地の言葉で「1、2、3」くらいはチェックしておいた方がいいなと、大いに反省したのでした)。


おっと、すっかり話がそれてしまいましたが、ドイツ語の「S」。

どうしてそこまで街の名にこだわったかと言うと、それはひとえにシルクフラワーが大好きだから。

ホンモノもいいけれど、ホンモノとは違った風合いがあるでしょう。

そうそう、ゼプニッツの近くには、デリケートな白地の磁器で有名なマイセンもあって、実際、ゼプニッツの「花」工場でも、マイセン磁器の図柄からヒントを得たり、ショップに花を納入したりしているそうですよ。

シルクフラワーに磁器。そう聞いたら、訪問する機会はなくとも、記憶にだけは留めておきたいではありませんか。

我が家にも、あちらこちらにシルクフラワーが飾られていますが、こちらは、昨年、床の張り替えが終わったあと、あり合わせのシルクフラワーを急遽まとめてみたもの。こうやって「花」をリサイクルしてみるのも、案外楽しいものですよね。

緑のガラス器は「チョーヤの梅酒」の空き瓶で、赤いリボンは、サンフランシスコの有名店Recchiuti(リキューティ)のチョコレート箱にかかっていたもの。それから、花瓶敷きは、日本酒の瓶をおおっていた千代紙です。

廃品利用をするときも、自分なりの「ひとひねり」が楽しいでしょうか。

シリコンバレーの今: 景気回復の代償?

Vol. 180

シリコンバレーの今: 景気回復の代償?

今月は、いつもよりも掲載が早いですが、「シリコンバレーの今」をお伝えしてみましょう。必ずしもバラ色とは言えない日々なのです。

<景気がイイのは良いけれど・・・渋滞が!>
以前もご紹介していますが、「シリコンバレー(Silicon Valley)」というのは、あくまでもニックネーム。サンタクララの谷間(バレー)にある、サンタクララ郡(Santa Clara County)とほぼ同義語と考えていいでしょう。

「シリコンバレーの首都」と自称するのは、北カリフォルニア最大のサンノゼ市(San Jose)ですが、他にはアップルのあるクーパティーノ市、ヤフーのあるサニーヴェイル市、グーグルのあるマウンテンヴュー市と、サンタクララ郡だけで15都市がひしめいています。
 


P1120644small.jpg

シリコンバレーの生い立ちは、計測器から出発したヒューレットパッカードや、「シリコンバレー」の「シリコン」の名声を築いたショックリーセミコンダクタ、フェアチャイルドセミコンダクタ、インテルなどの半導体企業、そして記憶装置の開発・製造を担ったIBM(本社ニューヨーク州)の研究開発部門など、戦後の成長期の新しいチャレンジが原動力でした
(写真は「8人の反逆者(Traitorous Eight)」とも呼ばれるフェアチャイルドの創設者たち。真ん中が中心的存在のロバート・ノイス博士、左端がインテルの共同設立者ゴードン・ムーア博士)


P1170076small.jpg

その後、ゼロックス・パロアルト研究所やアップルコンピュータがコンピューティングの新たな方向性を示唆し、オラクルやシスコシステムズ(写真手前)のビジネス向け企業が一世を風靡し、インターネットの幕開けとともにヤフーやグーグルのネット企業が誕生し、バブルが生まれ、バブルははじけ、そんな荒廃の中からもアップルは「iPhone(アイフォーン)」で盛り返し、フェイスブックやツイッターの「ソーシャル」が現れ、世界をつなぐ媒体に成長しています。


P1050739small.jpg

気が付いてみると、シリコンバレーの黎明期を支えてきた「でっかい平屋建ての製造業」はすっかり影を潜め、モノづくりは海外へと流失。
サンノゼ市南端にあったIBMの記憶装置生産工場(写真)も、今は大型店舗や集合住宅に生まれ変わっています(この開発グループに籍を置いたことのあるわたしにとっては、解体作業は感無量の光景でした)
 


P1230994small.jpg

けれども、常に変化し続けるのがシリコンバレー。「ソーシャル」や「モバイルアプリ」が起爆剤となり、Tシャツに短パンの昔気質のエンジニアに、サンフランシスコのオシャレなカフェでひらめく若手起業家が加わり、なにやら大変身の真っただ中。

変身とともに景気もグングン右肩上がりで、今や、シリコンバレーやサンフランシスコを網羅する「ベイエリア(the Bay Area)」は、全米で雇用拡大(job growth)をリードする地域。
昨年(2013年)シリコンバレーでは全米平均の2倍、年間4パーセントの雇用拡大が見られ、サンフランシスコとともに、2008年の金融危機(リーマンショック)で失われた雇用(job losses)をすっかり取り戻したそうです(6月12日発表のカリフォルニア大学ロスアンジェルス校Anderson School of Management分析結果)

そんなわけで、景気がイイのは良いのですが、それとともに諸問題も深刻化しています。
 


P1240069small.jpg

まずは、交通事情。シリコンバレーの一番の幹線道路は、国道101号線(US 101)と州間280号線(Interstate 280)のフリーウェイですが、渋滞は日に日にひどくなるばかり。
101号線沿いには、インテル、グーグル、フェイスブック、オラクルなどの大企業がひしめき、朝夕のラッシュアワーは全米でもトップを争う渋滞地獄。サンノゼ南端の我が家から普段は40分で着く距離も、朝は2時間かかります。
そして、スタンフォード大学やベンチャーキャピタルが近い280号線(写真)も、昔の「逃げ道」のステータスを返上し、101号線並みの混みようです。
 


P1220069small.jpg

渋滞の原因は、公共の交通機関が限られることでしょうか。サンノゼとサンフランシスコの間にはCalTrain(キャルトレイン)という列車が走っていますが、なにせ遅い! 本数も限られるので、通勤時間帯をはずすと利用は難しい。
東の内陸部からはサンフランシスコに向けてBART(ベイエリア高速鉄道、通称バート)が走っていますが、サンノゼやシリコンバレーの大部分は経路から外れています。
そして、交通機関を利用したくても、最寄り駅が自宅から離れていると車で駅まで行くわけですが、駐車スペースが少ないので、だったら目的地まで車で行った方が簡単でしょう。

 
P1130477small.jpg

アップルやグーグルのような大企業だと、「コーポレートバス」を走らせ、サンフランシスコとシリコンバレーの間をピストン輸送しています。
若いエンジニアは「シティーライフ」の楽しいサンフランシスコに住みたいので、シリコンバレーまで一時間かけて社バスで通勤。が、小さなスタートアップに勤めていると、そんな恩恵にあずかることはできません(社バスは、写真のように覆面の場合が多く、内部は企業が指定した通りに贅沢に改造してあります)


P1130585small.jpg

まあ、サンフランシスコ湾に面したベイエリアですから、フェリーという海の交通手段もあります。これで自転車通勤も可能ですが、運行数も旅客定員も限られるので、残念ながら機動力は低いようです。
グーグルは、社バスに加えて、自社フェリーを運行しているようですが、そのような企業はごく少数派です。

そんなわけで、大量輸送の交通機関は利便性が低く、道路や橋には自然と車があふれかえってしまうのです。

が、どんな理由があろうとも、40分の行程が2時間になったり、フリーウェイの出口が混み過ぎて大好きなコーヒー豆を買えなかったりすると、「何かが狂っている!」と叫びたくなるのです。

<景気がイイのは良いけれど・・・家が!>
そして、通勤事情に加えて、住宅事情も極めて悪いです。

ま、道路に車があふれかえるのと同じ理屈で、住む場所が見つからないのですが、こんな話がありました。


P1180001small.jpg

昨年、我が家の二軒隣の家が売りに出されたのですが、約2時間で買い手が決まったそうです。
そして、知り合いは、家探し11軒目にして、ようやく一軒家を購入できたのですが、それまでの10軒は、すべてビッド(せり)で負けたとか。
そう、売値(asking price)というのは「あって無きが如し」で、それにたくさん上積みした人が最終的には勝つという競売(bidding war)状態になっているのです。

我が家の二軒隣の家だって、小さいながらも、おそらく百万ドル(約一億円!)はしたのだと思いますが、海外の投資家も含めて、買主の3割は現金購入という事情も災いしています。
アップルのあるクーパティーノ市などは、小学校から高校の学区(school districts)が優秀なので、借家すら困難だと聞いています。教育熱心な中国系やインド系が多い地域では、学年終了で夏休みに入るタイミングを逃すと「滑り込み」は難しいとか。

そんなわけで、一昨年(2012年)中頃から住宅事情は悪化していて、家の値段やアパートの賃貸料が恐ろしく高いのがシリコンバレーの現実となっています。


P1230775small.jpg

狭いサンフランシスコ市に至っては、北東部の金融街やSOMA(サウス・オヴ・マーケット)地区は職場に近く、オシャレなレストランやバーも集中するという理由で、高層マンションは毎月のように坪単価(price per square foot)を更新しています。
Just soldRecord sale!(売買成立、(坪単価)記録更新!)」とは、売り手を誘い出す不動産屋の常套句となっています。

そして、ダウンタウンから外れた一軒家では、賃貸者に「立ち退き勧告(eviction notice)」が届いたり、平均年収の人には手の届かない高値となったりして、それはひとえに市内に住みたがるグーグラー(グーグル社員)やアップル、フェイスブック従業員のせいだと、ちょっとした社会問題に発展しています。
現在、市内で家を買おうとすると、平均的には一億円かかるので、テクノロジー企業のコーポレートバスを取り囲み、非難のシュプレヒコールも上がっています。


P1220036small.jpg

サンフランシスコの北東部には、クレーンが数十基そびえ、高層ビル・集合住宅の建設ラッシュとなっています。が、年に一万人という市の人口増加を支えるのは難しいようです。

景気がイイ、気候が良い、移民が多く文化的にコスモポリタンで、誰でも認める社会意識が進んでいると、ベイエリアが人気の理由はたくさん挙げられます。
ですから、これから先も、人口は増えることはあっても、減ることは無さそうです。


P1030553small.jpg

つい先日、全米で10番目に大きいサンノゼ市が「100万都市」となりましたが、シリコンバレーには180万人、ベイエリアには750万人が、サンフランシスコ湾を囲んだ狭い地域に集中して住んでいます(シリコンバレーでは民間企業に勤める約3割、およそ22万人がテクノロジー業界に従事)

シリコンバレーだけで、向こう25年で70万人の増加(!)が見込まれるそうで、そろそろ真剣に人口増加と街のあり方を検討する時期がきているようです。
 


P1170084small.jpg

カリフォルニアは、全米でも屈指の自然保護にうるさい州なので、空き地に見える場所も「保護区(open space preserves)」として未来の世代のために守られています(写真は、パロアルト市の東に広がる湿地帯Palo Alto Baylands Park。先住民族の時代は、ベイエリアの沿岸はすべてこのような湿地帯でした)

自然保護に熱心ということは、開発には容易に着手できない事情があり、「街づくり」には斬新な発想が求められますが、たとえば、サンノゼ市で構想が膨らんでいる「通勤不要な街づくり」も魅力的な試案でしょうか。
ダウンタウン地区に効率的にオフィスと集合住宅を配置し、人口増加に備えながらも、通勤者数を減らすアイディアです。

そんなわけで、深刻な諸問題を抱えるベイエリアですが、「従業員満足度」では全米トップ!


P1230903small.jpg

求人サイトのGlassdoorによると、全米50都市で「すごくハッピーな従業員(happiest employees)」が多いのが、シリコンバレーのサンノゼ市。次いで、サンフランシスコ。
さらに、首都ワシントンD.C.、ヴァージニア州ノーフォーク、ユタ州ソルトレイクシティーと続くそうです(Glassdoor年間調査をビジネスチャンネルCNBCが紹介)

全般的に会社の待遇も良く、転職もしやすいのが「ハッピー」の理由のようですが、何かとサンフランシスコと比べられて「みそっかす」になるサンノゼも、大いに胸を張れる調査結果なのでした!

<電話屋さんのテレビ、がんばる!>
最後にちょっと、テレビのお話をいたしましょうか。

「電話屋さん」とは、米電話業界の大御所AT&T(元SBC)のことですが、今は、携帯ネットワークAT&Tモビリティも強いですし、『U-verse(ユーヴァース)』というテレビ配信にも乗り出し、ケーブルテレビや衛星テレビの競合を相手に善戦しています。
基本的に、アメリカでは何かしらのテレビ配信サービスに加入しないとテレビを十分に楽しめないので、ここに巨大なビジネスチャンスが存在するのです。
 


P1060342small.jpg

AT&Tの『U-verse』を初めて目にしたのは、2007年のコンスーマ・エレクトロニクスショー(CES)のこと。その頃から「電話屋さんのテレビって、どんなのだろう?」と関心を持っていたのですが、2年前から使ってみるチャンスに恵まれました。

それで、6月中旬に開幕したワールドカップサッカーを観戦していて、「U-verseはイイな!」と思ったことがありました。
それは、デジタル放送のプラスアルファーを活かした『ワールドカップ(2014 FIFA World Cup)』チャンネル。
 


P1230755small.jpg

ワールドカップを放映するスポーツチャンネルESPNESPN2を鑑賞中に、リモコンの「OK」ボタンを押すと、自動的にこちらのチャンネルに移行し、画面の左側にメニューが出てきます。
「国々」「スケジュール」「グループ」といったメニューで、生中継を観ながら、各国チームの成績や、すべての試合結果と今後のスケジュール、グループごとの状況(写真)といった情報が入手できます。
これさえあれば、テレビを観ながらパソコンやスマートフォンの「セカンドスクリーン」で情報チェック、という手間がはぶけるのです。
 


P1230768small.jpg

そして、試合が始まってしばらくすると、「マルチヴュー(Multiview)」というメニューが出現します。
そう、グループ(一次)リーグが最終戦ともなると、グループ内の試合が同時刻でダブるでしょう。だから、両方の試合を同時に観ちゃえ! という欲張りなメニューなのです。
横目で見ていて「あ、あっちの方が白熱してる!」と思ったら、「OK」ボタンを押して、瞬時にそちらにスイッチ。戻りたかったら、また「OK」を押して元の試合へ、と嬉しい機能も付いています。
まあ、画面はちょっと小さくなりますし、ときに補足の得点データが遅れたりしますが、おかげで開催国ブラジルの「グループA」で、ブラジル、メキシコ、クロアチアのどこが次に進むのか? と、リアルタイムで楽しめました。
 


P1230790small.jpg

「マルチヴュー」の機能は、AT&Tがニュース、スポーツ、子供向け番組で4年前から提供しているもので、こちらの『ワールドカップ』チャンネルは、サッカーの祭典に備えて6月にリリースされた、テレビアプリケーション。
インターネットに接続するテレビ(スマートテレビ)で利用できます。

AT&Tは過去にもゴルフの『マスターズ』チャンネル、テニスの『フレンチオープン』チャンネルを提供しているので、そろそろスポーツ中継のコツもつかんだことでしょう。

一方、ケーブルテレビ最大手のコムキャスト(Comcast)では、こんな新手のトリックはなかったので、やっぱりテレビ配信の新参者は、それなりに新しいことを考えて工夫を凝らしているようですね。

蛇足ですが: 三十余年前にサンフランシスコに渡って来たとき、中南米の子が多い学校を除いて、サッカーはアメリカでは「みそっかす」でした。それが、ここまで熱心にワールドカップ全試合を放映するようになるとは、隔世の感があります。

まだ決勝は行われていませんが、システマティックなドイツとメッシのいるアルゼンチンの対戦は、たぶん「ロボットみたいに冷静な(Cold as ice)」ドイツが勝つのではないでしょうか?

夏来 潤(なつき じゅん)

 

Cold as ice(ひどく冷静)

サッカーは何もわからないわたしが、連日テレビにしがみついています。

そう、今ブラジルで開催されている『2014年FIFAワールドカップ』のことですが、アメリカ西海岸では、だいたい午前9時と午後1時に試合開始となるので、わりと楽に観戦できます。

そんなわけで、7月8日に行われた開催国ブラジルと強豪ドイツの準決勝を観ていたら、あることに気がついたのでした。

実況中継が、ひどくカラフルなんです!

試合は、誰も予想もしない展開となり、最初の26分でドイツが立て続けに4点獲得したのですが、そこで解説者が言うのです。

They (German players) are mentally strong, cold as ice
 ドイツの選手は精神的にタフだ。氷のようにひどく冷静である

なぜなら、1点、2点、3点入れても、まったくひるむことなく、まるで無得点のように冷静に攻撃しているから。

こちらの文章にある cold as ice というのは、「冷静沈着である」という慣用句です。

ときに、文字通り「氷のように冷たい」という意味で使われることもあります。

が、ここで解説者が表現したかったのは、「まるでロボットのように冷静沈着である」ということでしょう。


あれよあれよと言う間に、4対0になったブラジル応援団は、もう唖然とするしかありません。
 カメラがある男の子をとらえるのですが、コカコーラのコップを握りしめ、ボロボロと涙を流す姿に、こちらももらい泣きしてしまいました。

そう、1点ずつ返せば、まだ間に合うよ!

が、その3分後、またドイツがゴールを決め、5対0に。

ここで実況アナウンサーいわく

If it was a boxing match, a referee would stop this match to prevent Brazil from getting further damage
 もしもこれがボクシングの試合だったら、レフリーは試合を止めて、ブラジルがさらなるダメージを受けるのを防ぐことだろう

なんとも信じられない前半の展開に、カメラがとらえた女性ファンは、はらはらと涙を流します。せっかくの晴れ舞台にそなえた緑と黄色のお化粧も、はかなく消えかかっているのです。

ここでアナウンサーいわく

That picture needs no caption, none at all
 この映像にはキャプション(説明文)はいらない、まったく何も


そんなわけで、ハーフタイムを終えてフィールドに出てきたブラジル選手たちは、かなり動きが良くなり、盛り返しを図ります。

それを見て、ほっとしたアナウンサーはコメントを入れます

Brazil needed a halftime. They came out refreshed, at least as refreshed as they could be
 ブラジルにはハーフタイムが必要だったんだね。彼らはリフレッシュして出てきた。少なくとも、できうる限りリフレッシュしている

が、そんな安堵も、つかの間。ブラジルの選手がシュートし、あえなくゴールをはずすと、解説者の厳しい一言が飛びます

I don’t want to comment on that one
 あんなのにコメントなんかしたくないよ

困ったアナウンサーは、すかさず取りつくろいます

(That) needs to be much stronger
 そうだねぇ、もっと強くなければねぇ

ブラジルは、守りの要であるチアゴ・シルバ選手が出場停止となり、エースのネイマール選手がケガで欠場となり、強豪ドイツを相手に苦戦が強いられるとは予想されていたものの、ここまで差がつくとは誰も予期していません。

たまにブラジル選手がシュートしてもゴールには結びつかないし、「あ~、早くしないと間に合わない~」と、応援席の男の子も気が気ではありません。

後半69分では6対0となり、79分には7対0となったあたりで、アナウンサーや解説者からは、こんな言葉がもれるようになりました

This is embarrassing. This is an utter humiliation, especially at home
 これは恥ずかしい試合だ。とくにホームで(こんな展開になるなんて)完全に屈辱だ

意気揚々としたドイツファンに比べて、ブラジル応援団が静まりかえっているので、こんなやり取りもありました

You could hear a pin drop
 針を落としても聞こえるくらいだよ

I have to give a lot of credit to the crowd. They are still here
 (ブラジルの)観客席には敬意を表さなければならないね。だって、まだこの場にいるんだもの

そして、試合が終わりに近づくにつれ、アナウンサーの口からは、こんな意地悪まで飛び出します

On this day, even if Brazil plays till midnight, it won’t go in
 今日は、ブラジルが真夜中までプレーしたとしても、(ボールは)ゴールには入らないよ

が、その瞬間の90分、オスカル選手が辛くも一点を返し、ロスタイムもほとんどないまま7対1で試合終了を迎えます。

こんなに惨敗したのは、ブラジルにとっては何十年ぶりの出来事だったようですが、ブラジルがいつもの精彩さを欠いたことに加えて、ドイツの「冷静さ」が際立った試合でした。

ドイツの選手を見ていて、いつも思うのですが、彼らのDNAには「とにかくボールを見たら、ゴールするまで執念深く追え!」と書いてあるのではないでしょうか?


というわけで、cold as ice のドイツチーム。

次は、決勝でオランダとアルゼンチンの勝者と対戦しますが、準備は万全に整っているようにお見受けいたします。

ちなみに、スポーツチャンネルESPNで実況中継を担当されたのは、アナウンサーが Ian Darke(イアン・ダーク)氏(写真左)、解説が Steve McManaman(スティーヴ・マクマナマン)氏のお二人でした。

お二人ともイギリス出身で、ブリティッシュイングリッシュの(辛口の)コメントが光ります。

アメリカで放映される国際的なサッカーゲームでは、ほとんどがイギリス英語の中継となりますが、まだまだ米語で実況中継できる人材が育っていないのかもしれませんね。

だって、世界のサッカーの祭典『ワールドカップ』だって、本格的に全試合を放映し始めたのは、前回2010年の南アフリカ大会あたりでしたから。

アメリカには、同じ「フットボール」でもアメリカンフットボールがありますし、他に野球やバスケットボール、アイスホッケーと、いくらでも観戦スポーツ(spectator sports)はありますものね。

No pain, no gain(痛みがなければ、前進はない)

今日のお題は、No pain, no gain

文章ではなくて、単語を二つつなげた、ごくシンプルな表現。

けれども、シンプルだからって油断してはいけません。なぜなら、No pain, no gain は、アメリカではとっても有名なモットーのひとつだから。

最初の no pain は、「痛みがない」。

次の no gain は、「進展がない」。

つまり、「痛みを伴わなければ、前進(進展)はない」という意味です。

そう、gain という名詞は、努力の末に手に入れた、好ましい結果。つまり、前進とか進展とか伸びとか、自身で勝ち取った好成績のことです。

まあ、「痛みがなければ、前進はない」とは、かなり厳しいお言葉ですが、この表現は、よくスポーツに使われます。

体が痛くなるほど練習に練習を重ねて、初めて前進があるといった感じ。

たとえば、学校で初めて逆上がりを練習するとき。ハードルをいくつも飛び越えて、自己ベストを更新したいとき。

そんなとき、手に血がにじんでいても、ひざ小僧をすりむいていても、まったく気づかないくらいに、練習に没頭するでしょう。

そうやって努力したら、何かしら進展が見られるものなので、少々無理をするのは良いことであって、逆に、痛みを伴わない程度の練習なら、何にもなりませんよ、というモットーなのです。

アメリカ人は、このモットーが大好きです。Motto(モットー)と言うよりも、mantra(マントラ:お経、みんなが繰り返し唱えるスローガン)と言った方がいいかもしれません。

何かを上手になりたかったら、歯を食いしばってがんばれ! それが、多くのアメリカ人の理想とするところなのです。


それで、どうして No pain, no gain のお話をしているのかというと、先日訪れたハワイ諸島のマウイ島で、不思議なものを目にしたからです。

それは、ある女性の腕の入れ墨(a tattoo)。

なんと、「望痛」という漢字が刻まれているのです!

「痛みを望む」とは、日本語で考えると、なんともヘンテコリンな表現ではありませんか!

それを見て、連れ合いとふたりで「あれって、本人はちゃんと意味を理解して書いてもらっているのかなぁ?」と話したのでした。だって、入れ墨って、あとで消したくても簡単には消せないから、きちんと考えてデザインしたいでしょう?

けれども、旅行から戻って、ふと気がついたのでした。もしかしたら、あれは、No pain, no gain をもじって、自分から「痛み(pain)」を望んでいる、と表現したかったのではないか? と。

つまり、痛みだって喜んで享受し、それを前進のバネにしよう! という心意気の表れだったのかもしれないな、と。

だとすると、「望痛」という二つの漢字に、彼女なりの No pain, no gain の精神がうまく反映されているのかもしれない、と思い直したのでした。


というわけで、痛みを伴わない練習には、前進はない。

痛みは喜んで享受しようではないか。

「練習(practice)」を使った英語の表現には、こういう有名なものもありますね。

Practice makes perfect
 練習によって、完璧になる

こちらも、練習を積み重ねることは大事ですよ、という有名なモットーです。

そこで、ふと思い出したことがありました。

2、3年前、プロゴルファーの石川遼選手が試合後のインタビューで答えた中に、あれ? と思ったことがあったのです。

彼は、もう少しで優勝争いに食い込めたトーナメント全体を指して、こう表現したのでした。

It was a good practice for me
 僕にとっては、いい経験(修練)になりました

それで、あれ? と違和感を覚えたのは、こういう場合は practice という言葉は使わない方がいいんじゃないかと思ったからでした。

Practice という言葉は、あくまでも「練習」であって、トーナメント「本番」を指す言葉ではありませんので、もしも「いい経験をさせてもらった」と表現したいのなら、たとえば、こう言えば良かったのではないかと。

It was a good learning experience for me
 僕にとっては、勉強させられる良い経験になりました

あれ? と思った背景には、「本番」を practice と表現するのは、死に物狂いで試合をしている他の選手に対して少々非礼になるから、という事情もあったのでした。

もちろん、石川選手の言いたかったことは視聴者全員に伝わったとは思いますが、もっとスムーズに伝えるには、べつの表現もあったかもしれないなと思った次第です。

というわけで、今日のお題は、No pain, no gain

筋肉が痛くなる程度の練習ならいいですけれど、無理をし過ぎて体をこわさないように注意したいものですね!

シリコンバレーで日本の応援!

5月から6月は、アメリカの卒業シーズンとなります。

大学、高校、中学、小学と、大きなコからおチビさんへという順番ですが、卒業式が終わって夏休みに入ると、子供たちはウキウキ!

日頃はひっそりと静まりかえる近所の路上にも、子供たちの歓声がキャッキャと響きます。

日本よりもちょっと長い夏休みは、家族と旅行に出かけたり、お勉強を兼ねたキャンプに参加したりと、それぞれに趣向をこらした過ごし方を計画します。

そんな華やかな空気に包まれるシリコンバレーで、華やかな祭典を応援しました。

現在進行中のワールドカップサッカーの応援パーティーです。

近頃、ようやくアメリカでもサッカーが「市民権」を得ていて、地元のプロチームや学生チームをサポートしようと、観戦パーティー(viewing party)が開かれるようになりました。

そして、4年に一度のワールドカップともなると、ファンはもちろんのこと、日頃はサッカーと無縁の人たちも、各国のチームの選手たちを身近に感じているようです。


6月14日の土曜日、午後6時。

日本チームの初戦を応援しようと、パロアルトにあるベンチャーキャピタルのオフィスで、観戦パーティーに参加させていただきました。

こちらのオフィスは、シリコンバレーとサンフランシスコを結ぶ列車 Caltrain(キャルトレイン)のパロアルト駅(写真)の真ん前にあって、日本人のベンチャーキャピタリストの方が経営する、真新しい、モダンなオフィスです。

キックオフ30分前に到着すると、もう、すべて準備は万端でした。

みんなが見やすいように、大きなテレビが備えられ、オフィスじゅうの椅子がずらりと並べられています。

後ろには、どなたかが準備なさったのでしょうか、おいしそうなパスタやサラダ、枝豆といったパーティー料理。あとで、ピザもたくさん配達されてきました。

ほんとはお手伝いすべきだったのでしょうが、勝手がわからないので、おとなしく「お客さん」になって、お料理とワインを楽しみながら応援させていただきました。

ご存知のように、試合は日本が1点先制したものの、結果的には、コートジボワール(英語では Ivory Coast)に2対1で負けてしまいました。

なんともガッカリではありましたが、日本人の知り合いが少ないわたしたちは、「シリコンバレーで日本チームの応援ができるなんて!」と、感激しながら応援していました。

緊張した場面になると、みんなで大声を出すものだから、「何だろう?」と不思議に思った家族連れが、お散歩の足を止めてオフィスの中を覗き込んだりしていましたよ。


そう、土曜日のパロアルトの街は、お散歩には最適なんです。

6月ともなると、夏時間(daylight saving time)で日没が遅いので、試合が終わった8時でも、辺りはまだ明るいです。

ですから、パロアルトの目抜き通りユニヴァーシティー通り(University Avenue)の辺りは、お散歩を楽しむ人たちや、歩道のカフェでビールやワインを楽しむ人たちで賑やかでした。
 お店がいっぱいなので、道まで人があふれているバーもありましたよ。

この「ユニヴァーシティー(大学)」というのは、名門私立スタンフォード大学のことで、シリコンバレーを代表する最高学府。

そんなわけで、賑やかな通りをそぞろ歩きするのは、付近の裕福そうな家族連れに加えて、どことなく賢そうな学生さんもたくさんいます。

そんな賢そうな学生に混じって、こちらは、ユニークな学生。足に取り付けたバネ付きの器具で、ボンボンと跳ねながら、お散歩を楽しんでいます。
 同伴の学生さんは、まるで当たり前のことのように、涼しい顔でスマートフォンに向かってメッセージをパカパカと打っています。

そして、こちらは、大きなバックパックを背負った家族。
 お父さんも、お母さんも、子供たちも、みんながそれぞれに大きな荷物を背負っていて、これからキャンプにでも行かれるのでしょうか。それとも、このスタイルで全米行脚の旅に出ていらっしゃるのでしょうか。

この夏休み、きっと子供たちに「試練」を与えるつもりで、車ではなく「足」を使って家族旅行をなさっているのでしょうね。


というわけで、パロアルトのサッカー観戦パーティーとお散歩の夕べを楽しませていただいたわけですが、その後、日本はギリシャと0対0の引き分けとなり、一次リーグ敗退の可能性が濃くなっているようですね・・・。

そして、こちらアメリカのチームといえば、初戦で「宿敵」ガーナに勝って、明日の日曜日に対ポルトガルの第二戦目です。
 これに勝てば、強豪ドイツのいるグループGで、予選突破の一番乗りとなるのです!(Photo from San Jose Mercury News, June 17, 2014)

けれども、ご近所さんは、「明日はアメリカを応援しなくっちゃ!」というわたしに向かって、冷ややかにこう言うのです。

「まあ、どうなるかしらね(Oh, I don’t know about that)」

そして、「そんなの何が起きるかわからないじゃない(You never know what’ll happen)」と言うわたしに、なんとも懐疑心に満ちた眼差しを向けるのです。

う~ん、いまいち自国の底力を信じていないようですが、さて、日本もアメリカも、これからどうなることでしょう?

二度目のマウイ: 火と風を感じる

Vol. 179

二度目のマウイ: 火と風を感じる

6月の第一週、遠く旅に出てみました。

というわけで、今月は、久しぶりに訪れたハワイ(Hawai’i)のお話をいたしましょう。

<ハワイの調べ>


P1220995small.jpg

今回の旅は、マウイ島(Maui)の4泊5日。ハワイ諸島・主要8島の中では、ハワイ島に次いで2番目に大きく、2番目に新しい島です。

これまでハワイは何度も訪れ、そのたびに違った島々に滞在し、それぞれの魅力を堪能しましたが、マウイ島は二度目。以前は、賑やかな西マウイのカアナパリ(Kaanapali)に宿泊したので、今回は静かな南マウイのワイレア(Wailea)を選びました。
 


P1220977small.jpg

「シリコンバレーの首都」サンノゼからはマウイ島に直行便が出ていて、ハワイアン航空45便で5時間弱のフライト。
この便は、4月下旬、ソマリア出身の15歳の少年ヤーヤくんが車輪格納庫に隠れて飛行し、一躍有名になった路線。エチオピアの難民キャンプにいる実のお母さんに会いたい一心で家出を試みたわけですが、たまたま潜り込んだ便の飛行時間が5時間程度で良かったです(同じ15番ゲートから出るANA1075便・ボーイング787型機だったら、成田まで11時間!)。
 


IMG_3820small.jpg

そんなわけで、朝ご飯を食べてひと眠りしたらマウイ島カフルイ空港に到着しましたが、まあ、そこには、まったりとした空気が流れていました。

極度に乾燥したシリコンバレーと比べて、肌にまとわりつく湿気。そして、人を包み込むような適度な暖かさと南国特有のモクモクとした雲。
そんなものが体じゅうにインプットされると、「今、何時だっけ?」とか「あ、手にバイキンが・・・」なんていう杞憂は一気に消し飛んでしまうのです。

だいたい、あのハワイアンミュージックだって、何かしら、からみつくような魔力があるとは思いませんか?
 


P1230458small.jpg

そもそも、ハワイを今回の旅の目的地に選んだのは、ハワイアンミュージックだったのです。
自宅のApple TV(アップルのメディア・音楽配信サービス)のiTunesラジオでハワイアンミュージック・チャンネルを聴いていたら、無性にハワイが懐かしくなって、「よし、ハワイに行こう!」と連れ合いと意気投合したのでした。
 


P1230460small.jpg

まあ、のんびりとした印象とは裏腹に、近頃はハワイのミュージシャンもテクノロジーの力を借りることもあるようで、スラックキーギター(kiho’alu)の若手第一人者であるMakana(マカナ)さんは、アルバム制作のために、昨年Kickstarter(キックスターター)を利用して一般の方々から資金を調達(crowdfunding)なさったとか。
2008年の金融危機(リーマンショック)のあと、彼の歌『We Are The Many』はオキュパイ(占拠)運動のテーマソングにもなったそうで、きっと若いファン層からは、すぐに資金が集まったことでしょう。
 


P1230375small.jpg

Makanaさんのように、ハワイの音楽を通して問題提起をなさるのは珍しいケースですが、やっぱりハワイに似つかわしいのは、わざとチューニングをはずしたギターや独特の発声法による語り歌。

飛行機で渡されたiPadミニの映画・音楽サービスや、ホテルのプールサイドに流れるバックグラウンドミュージックを聴いていると、自然と体の力が抜けていって、もう何年もハワイに住んでいるような、リラックスした気分にしてくれるのです。

<ハワイの火と風:「火」>
ハワイの島々に来ると、大自然と親しめるのも、ハワイ観光の醍醐味でしょうか。

たとえば、宿泊先のワイレアは、南マウイの立派なリゾート地でしたが、そこからちょっと足を伸ばしただけで、人も住まないような溶岩流の跡地を訪れることができます。
 


IMG_3886small.jpg

そうなんです。ワイレアの街は、一見ハイウェイの終点地に見えますが、ここから南に細い道が続いていて、ずんずん運転していくと、溶岩流の真ん中を突き抜けて、南端のラペロウス・ベイ(La Perouse Bay)という小さな湾に出てきます。

ここは、1786年5月、西洋人として初めてフランス艦隊のジャン=フランソワ・ラペロウス提督が着岸したところで、今は彼の名が付いていますが、もともとはKeone’ō’io(周辺で豊富だった魚を表す名)と呼ばれ、昔の方々が築いたと思われる溶岩の石垣も史跡として残っています。
 


IMG_3893small.jpg

ここで目を引くのが、はるか遠く雲に煙るハレアカラの山から流れてきた、黒々とした溶岩流(lava flow)の痕跡。
個人的には溶岩流を見ると「自然の脅威」と「人々の驚愕」を感じて、しばらく車の中で震え上がってしまうのですが、ここで連れ合いと議論になったのが、いったいいつ流れ出した溶岩だろう? ということでした。
連れ合いは、もう何百年も昔のものだろうと言い、わたしは、これだけ黒々としているのだから、ほんの百年ほど前のものだろうと主張したのでした。
 


Hawaiian Islands.png

ご存じのとおり、ハワイ諸島は、地底から沸き上がったマントルの上昇流(mantle plume)の上を地殻がスライドしていって、北から順繰りにカウアイ、オアフ、マウイ、ハワイと形成されましたので、南の方はまだ「カッカと燃えて」います。
中でも、このマウイ島のハレアカラと、ハワイ島内と海底にある4つの活火山は、あまりにマグマが豊富なので、噴火のたびに次から次へと地表を覆いつくし、溶岩がいつの時代に流れたのか推定しにくいそうです。


IMG_3906small.jpg

それで、今までは、フランスのラペロウス提督が1786年に描いた地形図と、そのあと1793年にイギリス海軍のバンクーバー艦長が描いた地形図を比べて、その間の1790年にラペロウス湾に向かって最後の溶岩が流れたんだろうと言われていました。

ところが、最近の研究で、溶岩が誕生したときの磁場配向を調べてみると(地球の北と南の磁極の反転から溶岩の古さを推定する方法)、1480年から1600年くらいに、この辺で最後の噴火があったんだろう、ということです。(Reference cited: “Youngest lava flows on East Maui probably older than A.D. 1790”, United States Geological Survey-Hawaiian Volcano Observatory, September 9, 1999)

だとすると、この黒々とした溶岩流は、少なくとも400年前のものということになるのですが、わたしとしましては、なんとも信じ難い気がするのです。
べつに科学者を疑うわけではありませんが、「祖父母が噴火を見た」という1840年代の口承の歴史もあるそうですし、この辺りで感じる「人々の叫び」は、もっと新しい気がするんですが・・・。
 


IMG_3919small.jpg

まあ、謎は残るラペロウス湾の溶岩流ですが、このすぐ北には、アヒヒ・キナウ自然保護区(’Āhihi-Kīna’u Natural Area Reserve)という海岸があって、現地の人しか知らないようなスノーケリングの穴場になっています。
100人来るといっぱいになるような、「ビーチ」とも呼べない、ごく小さな湾ですが、岩場に立っているだけで(!)透明な波間に鮮やかな魚が泳いでいるのがわかりますし、岩場の水たまりには小さなカニやウニが生息していて、うっかり泳ぐ準備をしていなくても十分に磯遊びできる場所なのです。

沖には、船で行くスノーケリングツアーで有名なモロキニ島(Molokini)も浮かんでいますが、ワイレア地区から気軽に足を伸ばせるアヒヒ・キナウのスノーケリングと、ラペロウス湾の溶岩散策は、マウイの自然と親しめるオススメコースでしょうか。

<ハワイの火と風:「風」>


Wailea to Apole Point.png

ワイレアからはちょっとだけ南のラペロウス湾ですが、ここから先に足を伸ばそうとすると、海沿いには道がないので、グルッと遠回りをしなければなりません。
ワイレアからは、わざわざ北のカフルイ空港まで戻り、そこからアップカントリー(Upcountry:高原地帯)を通って、南端の断崖までドライブする経路です。
 


IMG_3942small.jpg

アップカントリーには、「カウボーイの街」と呼ばれるマカワオ(Makawao)があって、20世紀初頭の街並は西部劇の舞台のようですが、この辺は、人よりも馬や牛、羊やヤギの家畜が多い地域。
ハレアカラの中腹の涼しい緑地帯からは、足下にワイレアやキヘイのリゾート地、右手に西マウイの半島、沖にはカホオラウェア島が臨めます。
 


P1230253small.jpg

ハレアカラ国立公園に向かう登山道入口を過ぎると、州道31号線は海に向かってクネクネと降下していきます。道路は片側一車線ですし、「Cattle Xing(crossing)家畜が横切る-注意」や「No Shoulder 路肩なし」の看板も出てきて、徐行運転が望まれます。
この辺りは、ハレアカラ噴火の最後の溶岩流が流れた地域だそうで、そうやって見てみると、アスファルトの道路がやけに上下左右にクネクネしています。
 


P1230268small.jpg

さらに進み、ときに車が一台しか通れない箇所が出てくると、そこはマウイ最南端の断崖絶壁。ここから臨むのは、だだっ広い太平洋の海原だけ。
小さな島もない紺青の景色には、人の気配はまったくなく、大海原にポツンと取り残された孤独を感じます。

そして、この強風。海から断崖に向かって絶えず強風が吹いていて、足を踏ん張らないと、吹き飛ばされそうです。もしも風の渦が巻き起こったら、逆向きの風に、一瞬のうちに海に落っことされることでしょう。
 


IMG_3948small.jpg

そんな大自然の中に、文明の利器がありました。風力発電のタービンです。イースター島のモアイ像よろしく、お行儀よく8本並んでいます。
アウワヒ・ウィンド(Auwahi Wind)と呼ばれる風力発電施設で、2012年12月に完成し、現在、マウイ島の1万世帯に電力供給しています。「2030年までに電力の40パーセントを再生可能エネルギーとする」というハワイ州の目標にも、大いに貢献しているのです。
 


IMG_3959small.jpg

当初は、16本建てる予定の風力タービンでしたが、地域の自然保護のために8本に減らした経緯があるとか。
周辺には、ハワイ諸島唯一の自生陸上哺乳類「オーペアペア(ōpe’ape’a)」というコウモリ(Hawaiian hoary bat)や、ハワイ・ウミツバメ(Hawaiian petrel)が生息するそうで、可能な限り自然に溶け込もうとする配慮が見られます。

欠かすことのないマウイの風。変わりやすい島の天気は、この風のせいかもしれませんが、風はまた、自然の恩恵でもあるようです。

<後記>


IMG_3883small.jpg

この旅で宿泊したのは、昨年9月にオープンしたばかりのアンダーズ・マウイ(Andaz Maui)。ハイアット系列の新しいブティックホテルで、モダンでシンプルなインテリアと、フレンドリーな契約スタッフが特徴です。

もうすぐ結婚式! というカップルや、ハネムーンのハワイは二島目の若夫婦、そして、海軍の士官学校を出たばかりの青年の卒業パーティーと、辺りには華やかな空気が流れていました。
 


P1230398small.jpg

ガリガリとマリンスポーツをする人も、わたしのようにビーチやプールサイドで雲を眺めている人も、何でもOKなのがマウイ島。ここでは、何が正しいとか、正しくないとか、そんなものは存在しません(There is no right or wrong when it comes to how to spend time in Maui)。

十数年ぶりに訪れた二度目のマウイは、前回とは違った表情を見せてくれましたが、次回はこのルートで責めてみよう! と、頭の中では構想が生まれている今日この頃です。

夏来 潤(なつき じゅん)

 

日常のひとコマ: 医療と運転の規則

Vol. 178

日常のひとコマ: 医療と運転の規則

カリフォルニアは、暑くなったり、寒くなったりと、不安定なお天気です。ひとつ安定していることと言えば「カラカラに乾燥している(dry as a bone)」ことでしょうか。

そんな今月は、医療制度、テスラ愛好家、自動運転車と、身近なお話を3ついたしましょう。

<アメリカの怪文書>
先日、珍しく、連れ合いを救急病院に連れて行くことになりました。

床で滑って転倒し、肩と頭をひどく打ち付けたので、本人は痛がっているし、深刻な状態になるかも・・・と心配して連れて行ったのでした。

すぐにトリアージュの看護師さんに診てもらって、肩のX線写真を撮ったまでは良かったものの、先生に会うまで約2時間、「骨は折れてないかなぁ」「頭は大丈夫かなぁ」と、不安を抱えながら待合室で待つことになりました。
 


P1060579small.jpg

この病院は、わたしが何度も救急車や連れ合いの車で運び込まれた「馴染みの病院」ですが、待合室を見渡してみると、以前と比べて、とくに「お客」が増えたわけでも、減ったわけでもなく、例の『オバマケア(医療保険制度改革法)』の影響はあまり感じませんでした。

そう、アメリカでは、今まで住民全員が医療保険に入らなければならない規則がなかったので、保険を持たない人は、近所の救急病院(Emergency Room)に出向くことも多く、それが医療保険制度全体に多大なる負担をかけている、とも言われていました。

しかも、国民健康保険という制度のないアメリカでは、民間の医療保険となるので、持病(pre-existing conditions)があると加入を断られるし、自営業の人が個人プランに入ろうとすると、月々の保険料がえらく高い、と問題も山積。
 


Pres.Obama signs Health Care Reform bill March23-10.png

そこで、4年前に法律として制定されたのが『オバマケア(正式名称:患者保護および医療費負担適正化法、the Patient Protection and Affordable Care Act)』。
いよいよ昨年10月からは申し込みが始まり、今年3月31日の締切日をもって、全米で7百万件を越える新規加入があったそうです。(写真は、2010年3月23日ホワイトハウスで法律に署名するオバマ大統領;Official White House Photo by Pete Souza)

もともと未加入者の多いカリフォルニアのように、法律に賛同し、州独自の保険ネットワーク(health insurance exchange)を構築した州もありますが、独自のシステムを持たない36州は、国が構築したヘルスケア・サイト(Healthcare.gov)を利用します。が、当初こちらが問題だらけで、昨年末の締切日が3月まで延長された背景があったので、全米で7百万件の新規加入とは、ひとまず「成功」と言うべきでしょう。

それにしても、「住民全員が医療保険に加入する」という、先進国では当たり前の制度をオバマ大統領が布こうとしたら、国中で激しい反発が巻き起こったものでした。

「俺たちは社会主義国家じゃないぞ!」「自分のことは自分で守るから、国からとやかく言われる筋合いはない!」というのが主たる反対理由ですが、法律制定に先立ち、保守派の方々の間で、こんな怪文書メールが流れるのを目にしました。

日本には、アメリカのような社会保障制度(Social Security)は一切ないらしい。だが、65年前に原爆で焼け野原になった広島の街には、うらぶれた地区はまったくなく、国の助けがなくとも、人々は自分たちの力で立派にやっている。が、アメリカはどうか? れっきとした社会保障制度があるにもかかわらず、たとえばデトロイトには、もはや修復不能なすさんだ地区が存在するではないか? 結局は、国が市民生活に介入しても無駄なのだ』と。

この奇々怪々なメールを目にしたのは、「日本に社会保障制度がないって本当?」と良心的に質問した方がいらっしゃったからなのですが、「それは間違いよ」とウソを指摘された方以外は、延々と次の人へと怪文書を転送することになったのでしょう。

こんな風に、自分の論理に合わせてうまく正当性(justification)を編み出せるのが、アメリカ人の良いところでもあり、悪いところでもあるでしょうか。
 


Pres.Obama with Sebelius June24-09.png

まあ、そんなわけで、大荒れの中で日の目を見たのが『オバマケア』であり、連邦最高裁判所で護憲性(constitutionality)が認められた今でも「チャンスがあれば反故(ほご)にしよう!」と画策する人もたくさんいるようです。(写真は、法律制定の前年6月、「同志」であるセベリウス保健福祉長官(当時)と語らうオバマ大統領。同長官は激務を完了し先月退官;Official White House Photo by Pete Souza)

が、反発の火種は消えなくとも、「みんなが医療を受けやすくするためには、最低限度の医療保険に入るのが住民の義務であり、未加入の場合は罰金を徴収されますよ」というのが現行の法律です。

ですから、先日、連れ合いを救急病院に連れて行ったときには、「未加入の人が減って、救急病棟には患者が少ないのではないか?」と思っていたのですが、あまり変化はなかったので、いつの世も、具合が悪い人は大勢いるということでしょうか。
ちなみに、こちらの病院は自治体から「コミュニティー病院」の指定を受けているので、こういった救急施設では保険の有無で患者を拒めず慢性的に混む、といった事情もあるのかもしれません。

というわけで、病院の待合室で社会勉強をさせていただいたのですが、幸い、連れ合いのケガは肩の腱の捻挫(sprain)と頭のたんこぶ(bump, contusion)で済んだので、夜中の2時には我が家に戻って来ることができました。

さすがに何教徒でもないわたしも、「自分の寿命を縮めてもいいですから、どうか軽傷でありますように」と願い事をするくらい心配していたのですが、あぁ、悪魔と魂の取引をしなくて良かったなぁ、と胸をなでおろしたのでした。

<「テスラ」考>
「テスラ」というのは、シリコンバレーの電気自動車(EV: Electric Vehicle)メーカー、テスラモーターズ(Tesla Motors)のことですが、べつにたいしたお話ではありません。
 


P1200548small.jpg

カリフォルニアには法律があって、車の前方と後方の両方にナンバープレート(license plates)を取り付けることになっています。が、ここで問題が生じるのです。
なぜなら、現在テスラが販売するスポーツセダン「モデルS」は、ほとんどの場合、前方のナンバープレートを取り付けていないから。

もしも何らかの理由で警察に止められ、前方プレートが無いことがわかると、違反チケット(a ”fix-it” ticket)を受け取ることになります。ヘッドライトが片方切れているときと同じで、「改善できる違反(a correctable violation)」として手直しを求められるのです。
 


Tesla Model S Front View.png

けれども、モデルSは、美しいラインが売りの車。そこに目立つナンバープレートなんか付けたら、台無しではありませんか!

ですから、ほとんどのモデルS愛好家は、違反であることを知りながら前方のプレートを付けないんです。「誰にも見つかりませんように」と祈りつつ。

そう、遠くからモデルSが近づいてくるのを見ると、持ち主ではないわたしだって、彼らの心情はつくづく理解できるのです。

いえ、カリフォルニアの法律では、車を売ったディーラー(テスラの場合は直営店)に責任があることになっているんです。けれども、購入時に買い手が「法律を理解した」と署名すれば、ディーラーは免責となります。
そうなんです、ディーラーは無理やり車体の前方に穴を開けることはできないので、そこのところが「悪用」されているわけです。
 


P1220909small.jpg

まあ、モデルSに限らず、シボレー・コルヴェット(Corvette、’Vette)やフェラーリ(Ferrari)なども、「美しい車体を傷つけたくない」という理由で、後方にしかプレートを付けない持ち主も多いようです。
が、モデルSの違反率は、ダントツに高いとお見受けします(こちらのモデルSは、珍しく法律に従っていますが、なんとなく無惨な光景・・・)。

ということは、警察が「成績を上げよう」と思ったら、理論的には、道行くモデルSを全部ターゲットにすればいいということ?
 


P1200556small.jpg

たしかに、「僕のもう一方の車は大丈夫なのに、テスラだけターゲットにされた」という逸話は存在します。けれども、あからさまに警察がそんなことをしたら、モデルS愛好家が黙ってはいないでしょう。
だって、高価なモデルSは、テクノロジーに明るい(お金を持っていそうな)人が買うことが多いでしょうから、そういう方々ってコミュニティーの中で発言力が強そうではありませんか。

そこで、ふと思ったのですが、日本には、カリフォルニアみたいな法律があるのでしょうか? だとしたら、みなさん、(涙を流しながら)前方にプレートを取り付けるんでしょうか?

<グーグルに先を超された陸運局>
最後に、「自動運転車」の小話です。英語では autonomous car とか self-driving car、はたまた driverless car とか robotic car とも呼ばれていますが、人が運転しなくても自分で動く「お利口さんの車」のことですね。

この分野にグーグル(Google)が真剣に取り組んでいるのは広く知られますが、マウンテンヴューのグーグル本社の辺りでは、周辺の試乗からフリーウェイの試験走行へと大きく進化している、今日この頃。

そんなグーグルのスピードに負けるな! とばかりに、カリフォルニアの陸運局(California Department of Motor Vehicles)が新しい規則を制定しました。
 


CA Vehicle Code Section  38750.png

5月19日付けでカリフォルニアの車両法(California Vehicle Code)に追加されたのは、『自動運転車(Division 16.6, Section 38750, Autonomous Vehicles)』という項目。
延々と14ページに書かれた規則は、自動運転車の製造元に対するもので、陸運局に認可されれば公道で試験走行を行っても良いというもの。認定は一年に一回更新すること、自動運転車のオペレータは製造元の訓練を受けること、製造元は事故に備えて5百万ドル(およそ5億円)の保険に入ること、といった条項が定められています。

一方、公道での一般利用に関しては、年内に法整備されるそうです。

近頃、国道101号線や州間280号線といったシリコンバレーのフリーウェイでは、「あ、運転手がハンドルから両手を離してる!」とか「へぇ、車線変更も結構うまいじゃん」といった歓声が聞こえます。

逆に「お前の腕前を見せてみろ!」とばかりに、車線変更の兆しを察知すると、わざとスピードを上げて割り込みを阻止したり、急に前に割り込んでブレーキを踏んだりという意地悪なドライバーもいるようです。
 


Google autonomous cars-Lexus RX450h.png

5年前に始まったグーグルの自動運転車プロジェクトですが、すでにフロリダ、テキサス、首都ワシントンD.C.を含めてハイウェイ走行距離は100万キロ。これからは、いよいよ市内の公道でも見かけることになりそうです。

これまでの走行テストで起こした唯一の事故は、人間が機械に代わって運転しているとき。実は、安全に関しては人間よりも慎重なんだとか。

今は、大掛かりなレーザーにカメラと、一台に15万ドル(およそ1,500万円)の設備が乗っかっていますが、あと10年もしたら、そろそろ普通の人が買える値段に下がっているのかもしれませんね。

Reference cited: “Google’s Driverless Cars: Look, Ma! No hands – or drivers” by Gary Richards, the San Jose Mercury News, May 14, 2014; photo by John Green

夏来 潤(なつき じゅん)

 

いらない商品カタログはどうするの?

前回は『いらない家具はどうするの?』と題して、我が家でお世話になったソファーをどう手放したか、というお話をいたしました。

それで、「必要ないもの」に関しまして、もうひとつお話をいたしましょう。

頭を悩ませることの多い、ジャンクメール(junk mail)についてです。

アメリカに住んでいると、とにかくジャンクメールが多いのですが、「ジャンク」という名前のとおり、「自分にとっては、何の役にも立ちそうにない」郵便物のことですね。

英語辞書のMerriam-Websterによると、最初に junk mail という言葉が使われたのは60年前のことだそうですが、これだけインターネットが盛んになった今も、まだまだ隆盛です。

それこそ「配達する郵便屋さんは大変だなぁ」とご同情申し上げるくらいに、連日、郵便受けにたくさん舞い込みます。


ジャンクメールと呼ばれるものには、まずダイレクトメールがありますね。

「クレジットカードに入りませんか」とか「うちの銀行からお金を借りませんか」に始まって、「あなたの家はわたしが高く売ってあげましょう」とか「うちの歯科で美しい歯になりましょう」、はたまた「そろそろバケーションを取る時期ではありませんか」とか「お勉強をしようと思いませんか」と、次から次へとお手紙が舞い込みます。

それで、アメリカの場合、この手のジャンクメールを撃退する方法があるのです。

そもそもダイレクトメールが来るのは、「ダイレクトマーケティング協会(The Direct Marketing Association)」という団体に加入している会社が、何かしらの方法で顧客になりそうな人の名前と住所を知り、それをみんなで共有(!)しているからなんですが、こちらの協会に「わたしの住所を公開しないで!」とリクエストすれば、ダイレクトメールはだいぶ減ることになります。

以前は、こちらの協会にお手紙を書いて、「以下の氏名と住所を連絡リストから削除してちょうだい」と書面で送っておりました。すると、協会がメンバー各社に「削除しなさい」と指示を出すのです。

けれども、みんながインターネットを利用するようになってからは、こちらの協会の「郵便物選択サービス(Mail Preference Service)」というウェブサイトで、全米の連絡リストから自分のデータを除外(opt-out)できるようになりました。

ただし、こちらはオンラインで行うと5ドル(約500円)の手数料がかかるので、コンピュータ画面で入力したものを印刷し、それを指定の住所に郵送することもできます(これだと切手代だけで済みますが、もともと30日かかる彼らの処理が、90日に延びるとか!)。

それから、必ずしもこの協会に加入し、協会の仲間から住所を入手した会社ばかりとは限りませんので、この方法でダイレクトメールを完全に撃退できるわけではありません。たとえば、近くのお店が送ってくる場合は、近所で利用しているお店や団体から身元が割れることが多いので、こういったケースでは、個別に対応するしかありません。

けれども、アメリカじゅうを網羅しているという点では、ダイレクトマーケティング協会に依頼するのが、もっとも効果的な方法ではあるようです。


そして、ダイレクトメールに加えて、どこからともなく無理やり送りつけられる商品カタログの山。

こちらも、上記の方法で大部分はストップするはずです。

けれども、その後どこかでオンラインショッピングをしたら最後、そのときのデータが次々と転売されて、またカタログが送りつけられるハメになるかもしれません。

実は、わたし自身も、あるお店のウェブサイトでショッピングしたら、最初のうちは「わたしのデータを人にはあげない」という設定をしていなくて、それ以来、どこからともなく知らない会社の商品カタログが舞い込むようになりました。

初めのうちは、チョロチョロと新しいカタログが舞い込んでいたので、数社たまった時点で「あなたの登録リストから除外してよ」と、カタログに記載された住所に個別にお手紙を出していました。

ところが、一年ほどたった今年の4月、まさに「もぐら叩き」の状態になったんです。なぜなら、一社が新しい顧客データを知ると、そこから一気に数社にばらまかれ、またそこから数社にばらまかれ・・・ということになるから。

もう、売るほどカタログが舞い込むようになったんです!

今は、顧客データの転売業者もたくさんいるようですし、こちらが「もぐら」をつぶすスピードが追い付かないのです。

が、アメリカの場合、これにも撃退法があるんです!

こちらは、サンノゼ市役所のウェブサイトで奨励しているのを偶然に見つけたのですが、TrustedID(和訳「信頼できる身元データ」)という会社がやっている「郵便物選択サービス(Mail Preference Service)」です。

こちらのウェブサイトで、まずは自分のメールアドレスと氏名・住所を登録し、送られてきたカタログごとに、自分に割り振られた顧客番号(Customer Number)と情報源コード(Source Code)を登録します。

これで完了。

情報源コードというのは、その会社がどこからデータを入手したかという経路を知らせるもので、これがデータ抹消の役に立つそうです。

わたしの場合は、ある会社から4週立て続けにカタログが送られたことがありましたが、顧客番号と情報源コードはすべて違っていたので、4種すべて登録しておきました。
 すると、今度は連れ合いの名前で送られてきたので、こちらも追加登録しておきました(ひとりが登録しておくと、複数の氏名や住所を削除依頼できるようになっています)。

この選択サービスで登録された場合、加盟する会社は依頼主をすぐにリストから削除することになっていますので、数日後にログオンしてみれば「完了(Delivered)」とか「待ち(Waiting)」とか各社の対応がわかるようになっています。

わたし自身の経験では、一番対応が良かったのは調理器具の『Chefs』、洋服の『L.L. Bean』、靴の『Zappos』でしょうか。当日すぐに「わかりました」とメールが来て、翌日にはデータ処理されていたようです。

逆に、いつまでたっても「ナシのつぶて」という会社もあります。

そして、今までお手紙で「削除依頼」しても何の効果もなかったのに、こちらのオンラインサービスで登録したら、ちゃんと削除してくれた、という会社もあります。

いずれにしても、こちらのサービスで登録したら、すぐにカタログが激減し、一ヶ月たった今では、ほとんど来なくなったのは確かです。

自身の登録ページの下の方を見ると、「これまでみんなで90万本の木を救った」とか「4億ポンドの温室効果ガスを防いだ」と、商品カタログを受け取らない効果が明記されています。

自分が登録した15社だけで「2本の木を救った」となると、せっせと登録しなくっちゃ! と、俄然やる気が出てくるのです。

サンノゼ市役所が奨励していたのも、ゴミを減らしましょう! という運動の一環でしたが、今は「ゴミをつくらない」ことを真剣に考える時代になっていますよね。

追記: ダイレクトメールやカタログといった「紙類」だけではなく、電話でのしつこい勧誘も頭が痛いところです。が、こちらは米国政府がやっているサービスで撃退できますね。

連邦取引委員会(通称FTC)がやっている『全米「電話しないで」登録(National Do Not Call Registry)』というサービスで電話番号を登録しておけば、企業やお店は勧誘の電話がかけられなくなります。
 ただし、慈善団体や政治団体、世論調査、そして過去に取引のあった会社は除外されているので、まったく勧誘電話がなくなるわけではありません。が、効果はバツグンです。

当初は、登録は5年間だけ有効だったのですが、法律改正でずっと有効(!)となりましたので、一度番号を登録するだけでOKです。FTCに「違反者」として告発されると、罰金を課せられるので、効果はてきめんなのです!

と、このお話を載せた翌日、「携帯キャリアのスプリント(Sprint)が750万ドル(およそ7億5千万円)の罰金を課せられた」というニュースが流れました。
 どうやら、電話番号登録制度の「違反者」として調査されていたスプリントと連邦通信委員会(通称FCC)が和解し、罰金と2年以内の改善という罰を受けたそうですが、アメリカって(とくにオバマ政権は)、違反には厳しいですよねぇ。

Couch money(ソファーの現金)

先日、ライフ in カリフォルニアのセクションでは、「いらない家具はどうするの?」というお話をいたしました。

我が家で新しくソファーを買ったので、今までお世話になったソファーをどうしましょう? と頭を悩ませた、というお話でした。

すると、その翌日、こんなニュースが流れたのでした。

ニューヨークに住む若い男女3人が、中古で手に入れたソファー(a couch)の中から、たくさんの現金(a lot of cash)を見つけた! と。

どうやら、お金を見つけたのは4月のことだそうですが、3人のルームメイトが部屋で映画を観ていたら、ちょっと前に中古で買ったソファーの両腕のあたりがゴワゴワするのに気づきました(felt crinkles in two side pillows)。

そこで、腕のクッションを開けてみたら、バブルラップの包みが2、3個出てきて、中からは、たくさんのお札が出てきたのでした。

数えてみたら、全部で40,800ドル(およそ400万円)!

3人は、まさに「近所の人たちが『あの人たち宝くじに当たったんじゃない?』って思うくらいに歓声を上げた(our neighbors thought we won the lottery or something ‘cause we were just screaming)」そうです。

けれども、人のお金ですから、そう簡単に自分のものにすることはできません。名前が書かれた封筒も一緒に出てきて、それで持ち主のレディーを探し出すことができたのでした。

このお金は、91歳のレディーが、家族にも黙って何十年もかけて貯めたお金(life savings)で、何も知らない家族が、慈善団体の救世軍(The Salvation Army)にソファーを寄付してしまったのでした。

それが、めぐりめぐって、お金が入ったまま3人のもとへとやって来た。そして、「やっぱり自分たちでくすねてはいけないよね」と、お金の持ち主を探し出した、という顛末でした。

レディーは、お金を返してくれた3人に感謝を述べながら、こんなこともおっしゃったそうです。

This is my husband looking down on me and this was supposed to happen.
 これは、天国の主人がわたしを見守ってくれている証拠だわ。起きるべくして起きたのよ。

正直にお金を返した3人は、レディーから1,000ドル(およそ10万円)の謝礼をいただきました。

そうやって手に入れたお金は、きっと気持ちよく使えることでしょうね。

Reference cited: “Roommates Found Thousands in Cash Hidden in Couch”, CBS New York-WLNY, Thursday May 15, 2014; photos also by WLNY


と、良いお話ではありましたが、このニュースがひどく気になったのは、ちょうどソファーを寄付した翌日だったし、しかも、寄付した先が話題の救世軍だったからです。

まさか、あのソファーに何か入っていなかったよね? とちょっと気になったのでした。

ま、我が家の場合は、ソファーからお金が出てくるよりも、連れ合いのケータイや車のキーやクレジットカードが出てくる方が、ずっと確率が高いんですけれどね。なぜか不思議とクッションの隙間にモノが入り込んで、「ない、ない!」と探し物をしてるんですよね・・・。

それにしても、couch money(ソファーに隠した現金)。

以前も、「Under the mattress(マットレスの下)」という題名で英語のお話を書いたことがありますが、ソファーに加えて、ベッドのマットレスも、アメリカ人にとっては便利な現金の隠し場所ではあります。

そう、日本の「タンス預金」と同じようなものですが、とくに金融不安で銀行が信用できなくなると、現金を家のどこかに隠したくなるのが人情なのです。

それでも、ソファーの両腕のクッションって、座ってみると違和感があるような気がしませんか?

きっと、このソファーは、ご自身の部屋に置いてあって、普段は彼女しか座らなかったんでしょう。知らない間に家族が寄付して、部屋からこつ然とソファーが消えているのを発見し、顔面蒼白! でも、「あのソファーにはお金が」なんて誰にも言えないし・・・。

いずれにしても、レディーにお金が戻ってきて、めでたし、めでたし。


ちなみに、「ソファー」という英語ですが、こちらのように couch(発音はキャウチ)と言う場合もありますし、sofa(ソゥファー)と言う場合もあります。

一般的には、どちらを使うかは好みの問題とされているようですが、厳密には、ちゃんと違いがあるそうです。

Couch の方は、フランス語の couche から来ていて、もともとはコルセット付きのきついドレスをまとうレディーのための「寝椅子」だったそうですが、現代のアメリカでは、2~3人が掛けられる小型のソファーを指すようです。

Sofa の方は、「ベンチ」を表すアラビア語の suffah から来ていて、アメリカでは、couch よりも大きな4~5人が掛けられるソファーを指すようです。

けれども、日常生活では、どちらか好きな方を使うみたいで、家具屋さんでも sofa のことを couch と言う人は多いです。

たとえば、テレビの前の couch に座って、番組を観ながらスナックをポリポリ・・・という困った状況のことを couch potato(カウチポテト)とも言いますね。

じっとして動かない sedentary lifestyle(定住ライフスタイル)という言葉もあります。

一方、sofa の方は、たくさん掛けられるようにと L字型になっているソファーのことを sectional sofa(セクショナルソファー)と言います。近頃は、こちらの写真のように chaise(寝椅子、発音はシェイズ)が付いているものもポピュラーでしょうか。

その方がモダンだし、場所を取らない利点もありますね。

このカタログの写真は、我が家が購入したものと同じ型なんですが、色が違うと、まったく違って見えるところが驚きです。

というわけで、今日の話題は、couch money

家具を寄付するときには、大事なものを隠していなかったか、再確認した方が良さそうですね!

いらない家具はどうするの?

アメリカって、意外と不便なところがあるんですよね。

たとえば、使わなくなった家具を引き取ってくれるところが、なかなか見つからないんです。

日本だとリサイクルショップがあって、いいものだと買い取ってくれたり、あまりいいものじゃなくてもタダで持って行ってくれたりしますが、アメリカの場合は、ちょっと事情が違うのです。

先日、サンノゼの我が家に新しくソファーを買ったのですが、はて、今まで使っていたソファーはどうしましょう? と迷うことになりました。

テレビなどの電化製品は、電器店が有料で引き取ってくれますが、家具の場合だと、家具屋は引き取ってくれません。

そんなわけで、日本みたいに気軽に引き取ってくれるリサイクルショップがないとすると、ここで、いくつかの選択肢を思いつくのです。

1)自宅でガレージセールを開いて、誰かに買ってもらう
2)インターネットで広告を出して、誰かに買ってもらう
3)市の清掃課か民間のゴミ回収業者に粗大ゴミとして持って行ってもらう
4)慈善団体に寄付する

まず、ひとつ目の、自宅のガレージで売る「ガレージセール」は、すぐに却下です。

なぜなら、我が家のコミュニティーは規則が厳しくて、ガレージセールは禁止事項のひとつだから。

そして、ふたつ目の「ネットで売る」も却下されました。

連絡先をネットに掲載したり、見知らぬ人が我が家を訪問したり、というのがイヤだったからです。

我が家の辺りはセキュリティーが厳しいので、かなり安全ではあるのですが、それでも家の中を物色されて、あとで「泥棒」にでも入られたらイヤですから。

いえ、昨年、そんな騒ぎが立て続けに近所で起きたんですよ。業者を装ってガードマンのいる門をかいくぐり、留守宅と見える家に「空き巣に入る」という事件が・・・。

真っ昼間の出来事ではありましたが、ドアのところに配達のパッケージが起きっぱなしになっていたから、留守だとわかったらしいんです(相手もプロですよね!)。

もちろん、ネット広告を見て買ってくれる人が悪い人だとは限りませんが、とくに匿名性の高いネットの取引は、気をつけた方がいいかなと個人的には思っているのです。

というわけで、「ネットで売る」も却下となりましたが、3つ目の「粗大ゴミ」はどうでしょう?

粗大ゴミにするには、あまりにも立派なソファーなので、これも却下。しかも、業者にしても市の清掃課にしても、持って行ってもらうには、お金がかかるでしょ?

となると、やっぱり慈善団体に寄付しよう! ということに落ち着いたのでした。

誰かに使っていただければ、それほど嬉しいことはありませんし、資源を無駄にしないためにも、モノを「リサイクル」するのは大事なことだと思うのです。


そこで、毎年お金を寄付している慈善団体をいくつか思いつきました。

こういった慈善団体は、寄付された物品を消費者に売る「ショップ」を持つケースが多いので、お金だけではなく、物品の寄付も大歓迎なのです。

服にしても、電化製品にしても、家具にしても、寄付されたモノをときには修理したりして、安く売り払い、慈善事業に役立てるのです。

消費者にとっても、こういったショップでは安くモノが買えるので、ありがたい存在ではあるのです。

それで、まずは Habitat for Humanity(ハビタット・フォー・ヒューマニティー)という団体に連絡してみました。

訳して「人類の住処(すみか)」という団体ですが、こちらは、コミュニティーの中でなかなか家が買えない方々のために、一戸建てや集合住宅を建設しています。

全米を網羅する団体ですが、とくにシリコンバレーのように家の値段もアパートの家賃も高い地域では、住む場所は「希少価値」のあるものですので、土地や建材を寄付してもらったり、ボランティアに建築を担当してもらったりして、コストを抑えながら住宅建設に従事しています。

彼らは ReStore(リーストア)というショップも経営していて、家具や電化製品の寄付も受け付けています(お店の名は、「ストア」に「もう一度」の Re をくっつけたものと、「再生する」という動詞 restore をかけているようですね)。

それで、地域店舗の物流担当マネージャにコンタクトして、メールでソファーの写真を送ってみました。

が、残念ながら、「うちで扱うには大き過ぎる」という返事でした。


そこで、彼女にも勧められた The Salvation Army(救世軍)に電話してみました。

すると、「2週間後になるけど、あなたの辺りにトラックを行かせる予定になっているわ」ということで、おとなしく2週間待つことにしました。

それでも、ソファーとなると基準が厳しいらしく、「シミも、破れもないわよね?(No stain, no tear?)」と念を押されました。

さらにいわく「最終的には、トラックの運転手が持って行くかどうか判断するから、そのつもりでいてね」(え、ということは、持って行ってくれない可能性があるの?)

当日、助手をひとり連れてやって来た運転手の方は、「シミはないよね?」と再確認しながら、ヨイショ、ヨイショと運び出してくれました。

最初はクッション部分をはずして外に出し、次は木枠を壁やドアにぶつけないように用心深く運び出します。

「傷つかないように、きちんと巻いてあげるから」と、トラックに載せる前に、ていねいにシュリンクラップ(業務用のラップ)も巻いてくれています。

ラップを巻かれたソファーは、おとなしくトラックのリフトで上げられ、荷台の中へと運ばれて行きます。

こうやって見ると、なんとなく寂しげで、お別れするのが悲しくなりますが、ちゃんと使ってくれる人のところに行くのが、ソファーにとっても一番幸せなはずですね。

ソファーに加えて小さな物品も寄付したので、ついでに、書斎にある皮のソファーを持って行ってもらえるか聞いてみました。が、こちらにはシミがあったので「ノー」と断られました。やっぱり、家具に関しては、基準はかなり厳しいのです!

それで、興味にかられてトラックの中を見せてもらったのですが、広い空間には、バーベキューグリルや庭のクッションと、奥の方にちょっとだけモノが載せられていました。

「今日は、だいぶ少ないよ」と助手の方がおっしゃっていましたが、まだ午前中なので、これからどんどん増えていくのでしょう。

なんでも、救世軍の物品ピックアップは、朝の7時から夜の9時までやっているそうですから。

物品は外に置いておいてもいいそうですが、家でトラックを待つ場合は、当日の朝まで3時間の訪問時間帯がわからないのが、ちょっと不便なところでしょうか(いつもは早起きしないわたしだって、ちゃんと早起きして自動応答サービスで時間帯をチェックしました!)。

普段は、自分で運べるモノだったら近くの救世軍のショップ兼倉庫に持って行くようにしていますが、ソファーとなると、無料で持って行ってくれるだけありがたいと思わないといけませんね。
 なにせ業者を雇うと、100ドル(約1万円)くらいはかかるそうですから。

そして、近年は、コミュニティーの住民組合(homeowners association)も「粗大ゴミ・リサイクルの日(Waste/Recycle Day)」をもうけていて、一年に一回、救世軍のトラックをまとめて何台も招くようになりました。

粗大ゴミも寄付したいモノも一括して持って行ってくれるので、自分の車で運べるだけドッサリ処分できるのです。土曜日の丸一日やっているので、何回も運べるところも嬉しいでしょうか。

最初のうちは、こちらの写真(7年前)のように小規模だったのですが、毎年だんだんと盛況になっていて、昨年は、救世軍のトラックが列をなして物品を受け付けていました。

まあ、ときには、こんなに古いものでもリサイクルするのかなぁ? と半信半疑で持って行くこともありますが、

捨てる神あれば、拾う神あり(One man’s garbage is another man’s treasure)。

ある人には「ゴミ」に見えても、他の人にとっては「宝物」となることがあるんですよね。

犯人は、だぁれ?

いえ、たいしたお話じゃないんですけれど、ずっと気になっていたことがあるんです。

去年の8月頃でしたか、ある晩、寝ようとしていたら、耳元でブ~ンと蚊の羽音がしたんです。

日本だったら、そんなことは当たり前のことかもしれませんが、サンノゼの我が家では、まったく初めての経験だったので、ちょっとうろたえたのでした。

「うろたえた」というのは、ひとつにサンノゼの夏は乾燥しているので、蚊をほとんど見かけないことがあります。
 ですから、ありがたいことに、夏の夜に庭で食事をしていても、蚊に悩まされることはほとんどありません。

そして、まれに蚊が飛んでいたにしても、二階のバスルームの窓には、はめ込みの網戸がありますから、窓を開けていても、蚊が入って来るはずはないんです。

そんなわけで、なんかヘンだなぁと思っていたんですが、ある日、網戸の角に小さな「穴」を発見しました。

でも、その穴のあき方が、なんとなく不自然なんですよ。網戸の下の方の隅っこで、しかも、何かで「つっついたような」感じ。

けれども、普段はバスルームのブラインドは下げっぱなしで、あまり窓を開けたことがないし、何かで網戸をつっついた覚えもありません。

そこで思い当たったんですが、そういえば、バスルームの外でガリガリと変な音がしていたから、もしかすると、木の枝が風で網戸に当たって、穴があいたのかな? と。


それで、今年の春になってブラインドを上げ、窓を開けようとしたら、なんと、網戸の穴が成長していて、もはや「穴」ではなくなっていたのでした。

きれいに下の方だけ「一文字」に網がなくなっているんです!

これは、どう見ても、誰かが(たぶん小鳥が)盗んだとしか考えられないのでした。

そうか、あのガリガリとした音は、木の枝じゃなくって、小鳥が網戸をつっついて、網をむしり取っていたんだ!

そして、とうとう Gotcha(捕まえた)!

つい先日、動かぬ証拠をつかんだのでした。

小鳥の夫婦がやって来て、奥さんの方が背伸びをして網を盗んでいる、その瞬間を!

ダンナさんは、どうも気が進まないのか「見張り」の役目で、奥さんの方が、せっせとくちばしで網を切り取っているのでした。

一瞬、彼女がこっちを向くと、くちばしには網の切れ端をたくさん詰め込んでいるではありませんか!

う~ん、結構、欲張り!

網は強度が強いので、巣作りには最適なのかもしれませんが、やっぱり小鳥の世界も「母は強し!」なんでしょうか?


毎年、春になると、いろんな小鳥が巣作りをしますが、巣の材料探しって、大切なお仕事なんですよね。

我が家でも、ときどき玄関でガリガリ音がしているなと思ったら、玄関にかけたリースの小枝を小鳥がせっせと盗んでいるんです。

小枝を盗むだけじゃなくて、リース自体を根城にすることもあるんですよね。

いつか何週間か留守にしている間に、玄関のリースに小鳥の巣ができてしまって、大変だったことがありました。

家に帰って来ると、リースの巣に卵が数個産まれていたので、そのままにしておいたのですが、そのあと卵からひな鳥がかえり、玄関で本格的に子育てが始まったので、ドアを開け閉めできない不便な日々が続きました(出入りは、すべてガレージから・・・)。

無事に巣立ったあとも、ドアにくっついた幼鳥のウンチ(!)を掃除するのが大変でしたが、そんなこともあって、昨年また玄関のリースに巣が現れたときには、かわいそうですが、リースごとドアからはずしてしまいました。

こちらが、そのときの巣ですが、なんともフワフワとして心地よさそうでしょう?

けれども、突然に巣を奪われた様子を近くで見ていた小鳥の夫婦が、悲しそうな声を出すんですよ。

いつもの鳴き声とは違って、クークーという、なんとも物悲しい声を・・・。


そんなわけで、近頃は巣作りの季節になると、リースをはずすようになったのですが、その一方で、バスルームの網戸を盗まれるというのも、ちょっと考えモノでしょうか。

たぶん、「窃盗」は昨年の春には始まっていたんでしょうが、「これは、いいわ!」って味をしめた小鳥が、今年も舞い戻ってきたのかもしれません。

はたまた、いろんな小鳥に「クチコミ」が広がって、べつの夫婦がやって来たのかもしれません。

いずれにしても、おかげで網戸は、こんなにひどくなってしまったのでした。

これじゃ、修理をしないと、ボンボン虫が入って来そうですが、修理をしたって、またすぐに小鳥に盗まれるかもしれないし・・・。

けれども、かわいらしい幼鳥を見たら、あんまり厳しいことも言えなくなってしまうのです。

なんだかモゾモゾしていますが、こちらは、巣立ったばかりの小鳥さんが全身の毛づくろいをしているところ。

右の翼をツンツン、左をツンツン、胸をツンツンと毛づくろいに余念がありません。

天気はいいし、きっと最高の気分なんでしょう。

でも、そのうちに、フイっとひっくり返るくらいに、のけぞるんです。

いったい何をしているのかなと見ていると、どうやら、窓の上の方でブ~ンと虫が飛んでいるのを見つめていたのか、はたまた、上空をブ~ンとジェット機が飛んでいるのを眺めていたのか。

とにかくブ~ンという音に敏感に反応していたのですが、それが、獲物を狙う鋭さもなく、ただただ興味津々の様子で、かわいらしいんです。

この世に生まれたばかりで何も知らないから、何にでも興味を抱く。

そんな様子を見ていたら、網戸を修理してまた盗まれたにしても、しょうがないかなぁとも思うんですが。

追記: 小鳥さんって、もともと、とっても独創性のある生き物なんですよね。
 たとえばハミングバード(和名ハチドリ)は、洗濯ロープにくっついている洗濯バサミの上にも巣作りをするそうですよ。
 シリコンバレーは、比較的ハミングバードが多い地域なんですが、いつか地元の新聞に、洗濯バサミの上に乗っかった巣が紹介されていました。すばしっこいハミングバードは、それなりに巣も小さいのですが、それにしたって、洗濯バサミに乗っかるとは!

新しい季節: スーパーグローバルって?

Vol. 177

新しい季節: スーパーグローバルって?

 


DSC_0518Mar2214LevisStadiumsmall.jpg

4月。日本では新入生や新社会人と、新たなスタートを切った方もたくさんいらっしゃることでしょう。

シリコンバレー界隈でも、メジャーリーグ野球の開幕ホームゲームが開かれたり、フットボールのサンフランシスコ49ers(フォーティーナイナーズ)の新スタジアムが完成間近だったり(写真)と、新しいものが目につく季節となりました。

というわけで、「新しい」がキーワードの今月は、学びの場・学校にまつわる雑談を二ついたしましょうか。

<大海原の先は・・・>
世の中って、つくづく不思議なところだと思うんです。

たとえば、子供の頃は、自分の生活の場は「学校」という小さな空間に閉じ込められていて、学校が世界のすべてみたいなところがありますよね。

けれども、長じて「社会」という晴れ舞台に出てみると、学校でどんな成績だったかとか、どれだけ品行方正だったかとか、そんなことはほとんど関係がないではありませんか。

先日、昔の友たちと会する機会があったのですが、それぞれが社会の要職に就かれている様子で、少なからず驚くとともに、鼻が高い気分にもなったのでした。

その場には「病院の事務責任者」「会社の人事部長」「商売をしながら3人の息子を育てあげた肝っ玉母さん」と、いろんな経歴の方が集(つど)いましたが、仲間内には「会社経営者」「銀行の重役」「県警本部の人間」と、それぞれが散らばった先で、立派な肩書きを持たれているようでした。

中でも病院と県警本部は、「へ〜、あいつがねぇ」とまわりが感心するような華麗な変身を遂げていて、とくに捜査二課の知能犯担当刑事あがりの県警くんは、「学校の頃からは想像できない!」と、みんなに賛辞を贈られているようではあります。

ある日、県警くんが学校のまわりで張り込みをしていたのですが、彼を教えたことのある社会科の先生が嬉しそうに話しかけてきて、ひどく困ったことがありました。先生は、そこの教頭に出世していて、ただただ懐かしくて話しかけてきたのですが、それだと目立って張り込みがおじゃんになる! なんてことには、まったく頭がまわらなかったみたいです。
 


P1150761Sailboatsmall.jpg

ま、そんなわけですので、ひとたび学校を出て、大海原に漕ぎ出し、新大陸に着岸したあと、そこでどう成長していくかは、そのときのお楽しみ。

人はそれぞれ、子供の頃にかくれんぼをした裏山や、あめ玉を失敬して大目玉を食らった商店街、ボランティアのゴミ拾いをした人気(ひとけ)のない海辺と、いろんな風景を心に抱いているでしょう。それが10年、20年、30年たったら、思いもよらない展開を見せることもあるのです。

そう、それが人の幅とでも言いましょうか。

人は、いかようにも化けられる生き物です。もちろん、化けるには、それなりの技と忍耐が必要ですが、もしも狐と狸と人間が「化かし合い」をやったら、優勝するのは、きっと人間なんでしょう。

というわけで、お次は、ちょっとだけ真面目なお話をいたしましょう。

<スーパーグローバルって、なに?>
世に「スーパーグローバル」という言葉があるそうな。

日本人の大好きな「グローバル」に「スーパー」が付いて「とってもグローバル」の意と察するのですが、スーパーグローバルハイスクール、スーパーグローバル大学と、学校に使う言葉だそうです。

近年、文部科学省が推進する概念(ゆえに教育現場に国費を投入する行政事業のひとつ)ですが、最初に耳にして思ったのが「その言葉の定義は何?」でした。

文科省の『スーパーグローバル大学等事業』の中では、「世界の大学ランキング・トップ100を目指せる大学(トップ型)」または「日本社会のグローバル化を牽引する大学(グローバル化牽引型)」と定義付けされていて、申請のあった国公私立大学の中から、それぞれ10校、20校を選定し補助金を出すことになっています。

が、もしかすると、当のお役人にも言葉の真に目指すところは理解できていないのかもしれません。

ですから、実社会で経験豊かな方々が、それぞれの立場から助言すべき事柄だと思うのですが、たとえば、テクノロジー業界の観点から技術系大学の現場にこんな提案をした方がいらっしゃいます。

今は、社会人や学生という隔たりもなく、優秀なモバイルアプリをつくれば誰でも世に出せる時代になっている。
だから、たとえば自由研究室をつくって、学生に目新しいガジェットで遊ばせたり、業界から先輩を招いて話をしてもらったりと、アイディアと刺激の場としてみる。そこでアプリコンテストを開いて、その中から芽が出そうなものを選び、彼らにシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト(VC)に話をさせて、創業資金を募るチャレンジを与えてみたら?

なにも無理して英語でプレゼンする必要はない。なぜなら、シリコンバレーにも日本人のVCはいるので、日本語で話ができる。ここで大事なことは、英語を使ってピッチするというような表面的なことではなく、自分のアイディアをビジネスに展開していく実質的なチャレンジをさせること。
 


P1170091PaloAltosmall.jpg

VCと話をすれば、今まで自分の環境では見えなかったものが見えてくる。とくにシリコンバレーのVCとなると、日々世界中からやって来た起業家と接しているので、VCを通して世界が見えてくる。それは、十分に「グローバル」なことと言えるだろう。

ここで学校に戻り、VCから吸収したものを反芻したり、仲間と共有したり、次のアイディアに取り入れたりするわけだが、そのような吸収と伝播のプロセスを何回か繰り返していくうちに、新しいことを考える素地・環境が学内に培われていくのではないだろうか。

もちろん、一年や二年で成し遂げられる構想ではないが、手始めに「シリコンバレーに行ってVCにビジネスプランを提示する」ことをメジャーメント(達成評価基準)として文科省に申請書を出してみたら? と。

これを提案されたのは、こちらの『シリコンバレーナウ』のスポンサーでもあるKii株式会社・代表取締役会長 荒井 真成氏ですが、この話を聞いて、なるほど素晴らしい教育現場へのアドバイスだと思ったのでした。

以前も2012年3月号で書いたことがありますが、「グローバル化」というのは、決して「英語教育」というような表層ではないと、わたし自身は信じています。
ですから、グローバルな社会人になりたいと願うのだったら、仕事の感覚を養う方が先決だという持論を展開させていただきました。なぜなら、英語や日本語という言葉はコミュニケーションの手段のひとつであって、コミュニケーションの中身ではないからです。

コミュニケーションの手段というのは、なにも言葉ばかりではありません。たとえばパン屋さんなら、湿気の多い日本でパリッとした欧風パンを焼き上げるために、材料の配分だとか、焼き加減だとか、素人にはわからないコツが「言葉」となるでしょう。
自然科学者なら数式だったり、エンジニアならプログラムのコードだったり、ブラジルのカポエイラの格闘家なら蹴りや回転の技だったり、そんなものが「言葉」に代わってコミュニケーションの媒体となるでしょう。

だったら、肝心のコミュニケーションの「中身」は何だろう? と考えると、それは「相手に伝えたいもの」だと思うのです。
先述の大学現場へのアドバイスでは、「どうやって僕の(わたしの)モバイルアプリを世界に広げるか」という学生自身のプランが、相手(VC)に伝えたい中身。伝える媒体は母国語の日本語でもいいから、どうしても相手に聞いてもらいたい自分自身のプランです。

相手に伝えたいものは、自分の感覚や経験や熟考から生まれてくるものであって、決して一朝一夕に生まれるものではないし、人から教わるものでもないし、自分にしか伝えられないものだと思うのです。もちろん、それが「最適」「最善」のものである保証などありません。
けれども、自分にしか伝えられないから、普遍性があり、世界に出て行っても通用する、といった感じ。
 


P1170112SanFranciscoCitysmall.jpg

そんなわけで、個人的には「伝えたいものを持っている」のが「グローバル化」だと思っているんです。

どこに住んでいようと、とくにお金をかけなくても、「スーパーグローバル」とスローガンを掲げなくても、心の持ちようで誰にでもできるのがグローバル! と信じているのですが、いかがでしょうか?

夏来 潤(なつき じゅん)

写真の説明: 冒頭の航空写真は、シリコンバレー・サンタクララ市に建設中のフットボールチーム・サンフランシスコ49ersの新スタジアム。8月2日のプロサッカーの試合が「こけら落とし」となります。

第2話の航空写真2枚は、最初がベンチャーキャピタリストの多いパロアルト市周辺を南西から眺めたところ。手前には私立スタンフォード大学、奥のダンバートン橋のたもと(左側、橋と海の間)にはフェイスブック(Facebook)のキャンパスが見えています。
2枚目は、モバイル分野の起業が盛んなサンフランシスコ市を西から眺めたところ。ちょうど写真の右端が市の境界線で、2つの橋は、ゴールデンゲート橋(左)とベイブリッジ(中央)です。



© 2005-2024 Jun Natsuki . All Rights Reserved.